映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

アバター

2010年01月03日 | 映画(あ行)



パンドラ探訪のドキュメンタリーが観たい

               * * * * * * * *

さて、先に「カールじいさんの空飛ぶ家」で3Dアニメを観たところですが、
懲りずにこちらも3Dに挑戦しました。
これまでにないデジタル3D。
ジェームズ・キャメロン監督が構想14年、制作に4年を費やして、
現代考え得る最先端の技術を用いたというこの作品。
やはり敬意を表して、3Dで観てみなくてはね。


何しろ、この衛星パンドラの世界観には圧倒されます。
その地の美しい自然と独自の生物たち。
そして先住民ナヴィ。
彼らの自然と融合した独自の文化にも心惹かれます。
浮遊する巨岩。
キノコ好きの私は、ついうっとりしてしまうシーンもたっぷり。
これが奥行きのある3D映像で映し出されるのは
やはり意義のあることと思います。
臨場感たっぷり。


この星には地球で大変希少価値のある鉱物が眠っている。
なんとしても、この鉱物を手に入れたい。
このプロジェクトを実行するのは、
地球のどこの国とかではない、一企業なんですね。
このあたりが、実に現代を反映している。

さて、そのためにはナヴィたちがジャマな訳です。
ナヴィたちの懐柔策として、
ナヴィと人間の遺伝子から作られた肉体に人間の意識を送り込むという
“アバター・プログラム”が実行されます。
足が不自由なジェイクはアバターに意識を送り込むことで、
自由に駆け回り、木々や岩山を伝い、巨大な鳥で飛翔さえできる。
彼は次第にどちらが夢でどちらが現実なのか、わからなくなり、
そして、アバターの自分の方に余計現実を感じるようになっていくのです。
初めての飛翔のシーンには、心躍りました。
あの開放感、高揚感。
見事です。
私たちも心は空を飛んでいました。
そして、この星パンドラが大好きになってしまいます。

ナヴィの姿形は、予告編を見たくらいでは違和感がありますが、
観ているうちにとても魅力的に思えてきます。
特にしっぽがいいですね。
何のためにあるのか、よくわからないながら、
感情がそこに見え隠れしそうで、実際あれば楽しいのに・・・と思います。


さて、ところが、その美しい星パンドラの自然を蹂躙する、
何とも無骨なマシン。
銃弾にミサイル。
この違和感に胸が痛んでしまう。
でも、これって地球上で何度も繰り返された光景ですよね。
平和な美しい土地が、戦争によって焼かれ、たくさんの命が失われ・・・。
当然こういうことが思い浮かんでしまう。
ナヴィからすると、人間がエイリアン。
私たちは、権利や利益を求める余り、
何かにとってのエイリアンにもなり得るのです。
常に視野は広く持たなければね。

・・・と、このように映画のメッセージは確かにあるのですが、
主役はやはりこのパンドラの星、だったと思います。
衛星パンドラ探訪のドキュメンタリー(?)作品があったら、みたいくらいです。




空中を浮遊するあのクラゲみたいなの(名前、覚えてない・・・)
いいですよねえ。


・・・ということで、3Dを堪能したことは確かなのですが、
これもまた、何しろ3時間近い作品中ずっと3Dメガネをかけているのは
なかなか苦痛です。
字幕が読みにくいし、画面も暗い。
今後もこのような3D作品が増えるというのなら、ちょっと憂鬱です。
そこをあえて2Dで観るのは悔しい気がするし・・・。
始めから2Dで作ってもらった方がありがたい・・・。


ということで、まあ、せっかくなので3Dで観ることはオススメですが、
これが必ずしも万全の環境ではないことは確か。
最新技術もいいのですが、
先日観た「第三の男」のように、
モノクロ作品でさえうなるほどすばらしい技術はまだまだ生きていると思うのです。
何でもかんでも3Dという方向にならないことを望みます。

2009年/アメリカ/162分
監督・制作・脚本:ジェームズ・キャメロン
出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーバー、ミシェル・ロドリゲス