映画と本の『たんぽぽ館』

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ショーシャンクの空に

2010年01月24日 | 映画(さ行)
リタ・ヘイワースだけが知っているアンディの「光」



              * * * * * * * *

この作品は好きという方が多いですね。
私も大好きです。
大好きついでにまた見てしまいました。

無実の罪で無期懲役として刑務所に収監されてしまったアンディ。
彼は元銀行の副頭取。
理知的で思いやりに満ちた彼は次第に周囲の人望を集めては行くけれども、所詮は囚人。
親切心で始めた刑務所経理の手伝いは、逆に汚職の手伝いになってしまう。
次第に生きる希望もなくした様に思われるのですが・・・。


この作品の語り手、モーガン・フリーマンの渋みが何ともいえませんね。
この作品を見て、ファンになったという方は多いのではないかと思います。

また、何十年もの服役ののちに仮釈放となる老人のエピソードが切ないです。
彼はすっかり刑務所内でしか生きることができなくなってしまっているのです。
社会に出ることが恐ろしい。
一般社会では、受刑者は白い目で見られるし、もう年もとっていて迎えてくれる家族もなし。
かろうじて住むところや仕事は世話をしてもらえるのですが、
それでも孤独と不安感で、とうとう自殺してしまう。
刑務所では、初めのうちは塀に自由を奪われていることに憎しみを感じるけれども、
次第に塀に囲まれていることが安心感になってゆく。
突然外へ放り出されると怖いのです。
こういうことが、なんだかリアルに感じられました。

そうしてこのまま行けば、アンディもそうなってしまっていたのかもしれない。
こういう閉塞感が、最後に驚きと感動につつまれる。
この映画の作りがとてもうまいですよね。
最後のどんでん返しまで、私たちにもアンディの「希望の種」のことを知らせない。
確かに伏線はあったのですけれど。


刑務所の中でなくても、
生きていくためには何かほんの小さなことでも、「希望」が無ければだめなんだなあ・・・。
そして、きちんと自分を支えてくれる友人も。


これはスティーブン・キング「刑務所のリタ・ヘイワース」が原作。
なるほど、元々の原作の勝利だったんですね。
たしかに、アンディの秘密は、彼の独房に張られたリタ・ヘイワースのポスターだけが知っていた訳ですから。

ずっと、塀の中の灰色の光景ばかりだったので、
ラストの真っ青な海辺の情景が目にしみます・・・!

1994年/アメリカ/143分
監督・脚本:フランク・ダラボン
出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ウィリアム・サドラー



ショーシャンクの空に [DVD]

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