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綾辻行人新作。このボリュームに、わくわくしてしまいますね。
著者は本格推理の作家として名を馳せていますが、ホラー系も多いですね。
夜見山北中の3年3組には不可解な言い伝えがある。
何も知らずにそのクラスに転校してきた榊原恒一は、
ある不思議な存在感を持つ少女に興味を覚える。
しかし、クラスの他のものにはその少女が見えていない様なのだが・・・。
そんな中、クラス委員長の少女が悲惨な死を遂げる。
でもそれは、後の謎と恐怖のほんの幕開けにしか過ぎなかった。
学校の七不思議とはよく耳にしますが、
これはそのスケールをさらに押し広げたものになっています。
夜見山というここの地名は「黄泉」につながっている・・・。
死にとても近いのです。
うう・・・、いやな設定ですよね~。
ことの始まりは26年前。
3年3組のある生徒が急死。
ショックを受けたクラスメイトの1人が、
「いや、死んでなんかいないよ。ほら、ちゃんとそこにいる。」
・・・と言ったことに端を発して、
クラスの皆はまるで本当にそこに本人がいるようにふるまって一年間を過ごし、
卒業したのだという。
そして、その卒業の集合写真の中には、
くっきりと亡くなったその生徒が一緒に写っていた・・・。
黄泉の世界との通路ができたとでも言うのでしょうか・・・。
それ以来、この学校の3年3組に時折降りかかる災難。
"それ"が始まった年には、3組の生徒やその家族に死者が続出するという、
これは単に『伝説』と言ってすませられない恐怖。
恒一は、この恐怖とどのように向き合って行くのか。
この年の「余計な1人」とはいったい誰なのか・・・。
このボリュームにもかかわらず、どんどん読まされてしまいます。
地下の人形館の中で突然出くわす、少女。
・・・いやあ、ドキドキしますね。
これは「呪い」というよりは、「現象」なのだという。
もうすでに人智の及ばない怪異・・・。
けれども、ここはさすが推理作家、理論の通るところは通す。
そして何より、作者が私たちに仕掛けた罠もちゃんとあって、
本格推理ファンも納得・満足の仕上がりとなっています。
さて、読後に考えてみれば、この現象は、とりあえずこのたびの決着はついたわけですが、
すべてが終わった訳ではないですね。
新年度の新しい3年3組では、また同じことが起こる可能性がある・・・。
いや、対処方法はわかっているのです。
・・・でも、本当にそれをするのでしょうか?
考えるとこれも怖いです・・・・。
この学校は早く廃校にした方がいい。
あ、生徒数の減少で2組までになっちゃったと言うのが一番の解決策かな。
ま、余計なお世話ですが。
満足度★★★★★