![]() | フィッシュストーリー (新潮文庫)伊坂 幸太郎新潮社このアイテムの詳細を見る |
4篇からなる短編集です。
どれもおもしろいのですが、
やはりこの表題となっているフィッシュストーリーが最高でした。
「フィッシュストーリー」というのは、ほらばなしのことですね。
誰しもつった魚のことは誇張して言うもの・・・。
「ビッグ・フィッシュ」という映画もありましたが、そちらもおもしろいですよ~。
さて、これは、その映画とは全く別のストーリー。
いくつかの章立てがしてありまして、
二十数年前
現在
三十数年前
十年後
という風に、時系列が正しく並んでいないのです。
そこがこの作品のおもしろいところ。
だから、話はそれぞれ独立していて、一見脈絡がないように思える。
でも、最後まで読むと、
ああ、そういう話だったのかと、
ジグゾーパズルが完成したみたいに、最後に全体像を見渡すことができる。
これがなんだか快感なのです。
ストーリーとしては、たとえば「風が吹けば桶屋が儲かる」
そんな風。
ある売れないロックグループが、解散寸前にレコーディングをする。
その中の一曲、なんと数十秒もの無音部分ができてしまったのだけれど、
どうせ売れないし、解散だから・・・と、
やけくそのようにそのまま発売されてしまいました。
確かに全然売れなかった曲なのですが、
その曲が後々地球を救うことに貢献するという、これは壮大なお話なのです。
そんなことある~?
なんて野暮なことはいいっこなし。
だって、これはフィッシュストーリーなんですから。
やはり、伊坂幸太郎。
短編でもあなどれませんねー。
満足度★★★★☆