映画と本の『たんぽぽ館』

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「流れ星が消えないうちに」 橋本 紡

2010年02月12日 | 本(恋愛)
流れ星のように美しく輝いていて、はかなく消えた思い。
けれども、大事に胸の奥にしまっておこう。

            * * * * * * * *

流れ星が消えないうちに (新潮文庫)
橋本 紡
新潮社

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美しく切ない恋愛小説です。
高校の時に出会った、加地君と巧君と奈緒子。
けれどもこのストーリーは、いきなり加地君が“今は亡き人”というところから始まります。
奈緒子は何故か家の玄関ホールに布団を敷いて寝ている。
ここだと眠ることができるという。
少したって事情がわかってくるのですが、つまり、
自分の部屋だと大好きだった加地君と一緒に過ごしたことが思い出されてしまって、眠れない・・・。
加地君は一人旅の途中で事故にあって亡くなってしまったのです。

その加地君の親友だったのが巧君。
突然に大切な人を失ってしまった二人は、
いつしか寄り添い、つきあい始めていたのですが、何故か罪悪感が抜けない。
そしてまた加地君との思い出が大きすぎて、忘れることが出来ない。
二人の間では加地君のことを口に出すのがタブーの様になってしまっていて・・・。

高校時代の3人の出会いを絡めながら、今を生きている二人の身辺が語られます。
奈緒子の父親のこと。家族のこと。
巧のボクシングのこと。姉のこと。

今はもういない加地君。
心にしめる加地君の割合があまりにも大きくてどうしていいのかわからない。
それでも今を生きて行かなくてはならない二人が、
この大きすぎる過去の思いとどう折り合いをつけてゆくのか・・・、
そういうストーリーなのだと思います。

プラネタリウムとフォークダンスのエピソードが秀逸です。
彼ら三人の思いは、いわゆる三角関係というのとも違って、全くドロドロ感がない。
それぞれがそれぞれをとても大事に思っていることが伝わって、心が温かくなってきます。
時にはこのようにピュアで切なくて温かいラブストーリーを楽しむのもいいものですね。

私も、自分の高校時代の甘酸っぱい思いなどを思い出してしまいます・・・・・・。
何十年前ですって?
はい。
ジャネット・リンが活躍した、札幌オリンピックの頃でございますよ・・・。
トホホ


満足度★★★★☆