映画と本の『たんぽぽ館』

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「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」 万城目学

2010年02月24日 | 本(その他)
発想がユニークで行動力に満ちた女の子、かのこちゃん

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かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)
万城目 学
筑摩書房

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万城目学氏はあの「鴨川ホルモー」を書いた方ですね。
私はまだそれしか読んでなかったのですが、
そのイメージからすると、この本はかなり異色と言っていいと思います。

何しろ主人公は小学校一年生のかのこちゃん。
そしてマドレーヌ夫人というのは猫です。
外見はマドレーヌの色に似たアカトラの普通の猫ですが、
なんと、彼女は外国語が話せる!
英語? 
フランス語? 
いえいえ、犬の言葉がわかるのですよ。
猫なのに。
だからマドレーヌは、かのこちゃんの家の老齢の柴犬、玄三郎の奥さんであり、
一緒に仲良く暮らしているのです。
しかし、実はマドレーヌの秘密はそれだけではなくて・・・・・・・。


メルヘンチック、現実にはあり得ない話ながら、
実生活とうまく絡み合わせて、
暖かく感動に満ちた物語世界を作り出しています。
私は、つい大島弓子さんのコミックを連想してしまいました。
猫が登場するからかもしれませんが、
かのこちゃんのイメージからでもあるんですね。
きっと、柔らかなウエーブがかかった明るい色の天然パーマの髪を
顔の両脇でちょこんと結んでいて、
好奇心に満ちたくりくりの大きな目。
発想がユニークで行動力に満ちた元気な女の子。
そんな女の子なんじゃないかな。
大島弓子さんのコミックに出てきそうな。
ふんわりパステルカラーのイメージの作品です。


そんなかのこちゃんと似たもの同士のお友達すずちゃんとの交友が楽しい。
小学一年生は小学一年生なりに、緊張のある日々。
・・・そうですよね。
ただ楽しいばかりではない。
そんな中で少しずつ成長していくかのこちゃんが、とても頼もしく思えます。
「茶柱」のエピソードはなんと言っても最高でした。
この作品を大島弓子さんがコミック化したら、
やっぱりマドレーヌ夫人は人間の姿で出てくるかな? 
これは是非観てみたい!!
でも、人間の姿をそこで出してしまうと、やっぱり後で困ったりするので無理か・・・。

思いがけず、いいものを読んでしまった・・・と思います。

満足度★★★★★