映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

のだめカンタービレ 最終楽章 後編

2010年05月08日 | 映画(な行)
のだめをここへ連れてくるために、神様は僕を日本に留まらせていたのかもしれない・・・。


              
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さて、お楽しみの“のだめワールド”。
ついに最終楽章後編となりました。
前編では、主に千秋中心に話が進み、彼の音楽界での成長が描かれていました。
こちらはいよいよ、のだめの出番。
自分だけどんどん先に行ってしまう千秋。
その上彼は、アパートを出てしまう。
取り残された感ののだめは、それでも必死にがんばる。
あるときラヴェルのピアノ協奏曲を聴いて、
これこそ、いつか千秋と共演したい曲!!と夢見たのもつかの間、
なんと、千秋はRuiと先に共演してしまう。
いよいよ落ち込んだのだめは、
ふと訪れたシュトレーゼマンに共演を誘われ・・・。



千秋との恋の行方も気にはなりますが、
音楽の高みをめざすことの厳しさ、際限のなさ、そういうことも伝わりますね。
音楽に限らず、様々なことで頂点を目指そうとする人は、
必ずこういう思いを味わっているのではないでしょうか。

そしていつも千秋の後を追う形ののだめが、
ここでは千秋を置き去りにするという快挙(!)。
こういうところがおいしいのです。
千秋はシュトレーゼマンと共演するのだめを見て、思わずこうつぶやくのです。

「のだめをここへ連れてくるために、
 神様は僕を日本に留まらせていたのかもしれない・・・。」

いえいえ、変人のだめをここまで引き上げたのは
やはり、千秋くん、あなたの力!



音楽で落ち込むのだめを、千秋は愛の言葉やキスで慰めたりはしません。
音楽は音楽で。
初めてピアノの楽しさに目覚めた、のだめと千秋の原点へ誘うのです。
こういうところが千秋先輩の千秋先輩たるところ。
いいですよねえ・・・。
思えば元々、幼稚園の先生になりたかったのだめ。
そんな気分もちょっと味わってみたり。
高みへのぼった後の原点回帰。
これぞ、最終楽章をかざるフィナーレにふさわしいと想います。
コンクールで優勝して終わりというのではなく。
2人の音楽はこれからも長く続く、ということなんですね。
満足しつつ、終焉のさみしさもちょっと感じてしまった今作でした。

・・・しかーし!
原作コミックの方ももうすっかり終わってしまったと思っていたら
なんと、24巻 「アンコールオペラ編!」というのが出ていました!!
のだめと千秋が久々の帰国。
千秋がR☆Sオケでオペラの指揮をすることになったのです。
ごくささやかな市民コンサートなんですが、おもしろそうですよ!
となれば、これもいずれ映画になるかも知れませんねえ・・・。

のだめカンタービレ(24) (KC KISS)
二ノ宮 知子
講談社


2010年/日本/123分
総監督:武内英樹
監督:川村泰裕
原作:二ノ宮知子
出演:上野樹里、玉木宏、瑛太、水上あさみ、小出恵介