映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ホテルルワンダ

2010年05月23日 | 映画(は行)
命の軽さに抗うように・・・



                 * * * * * * * *

1994年、アフリカのルワンダで起こった実話の映画化です。
ツチ族とフツ族間の対立から、大虐殺が起こる。
およそ100日間に100万人の犠牲者が出たというのですから、ただ事ではありません。
そんな中、ルワンダの高級ホテルの支配人が、
1200人の難民をホテルに匿い、命を守り抜いた。
大変重い実話です。
見かけでは全然わからないツチ族とフツ族の違い。
どうしてこんなことになってしまったのか。
さほどに憎しみあい、殺し合わなければならないほどの何があったのか。
それはやはり一言では語ることが出来ない、長い間の憎しみの連鎖なのでしょう。
どちらがいいとか悪いとかという問題ではなく。

このホテルは外国人ジャーナリストや国連平和維持軍が在中していたこともあって、
一種治外法権のような場になっていたのです。
しかし、このようにほとんど一方的な虐殺が繰り広げられる状況になっても、
平和維持軍は何もせず、無力。
外国人たちも引き上げてしまう。


当時たぶん、そんなニュースは日本の私たちの元にも届けられていたのでしょうね。
けれど遠いアフリカの小さな国の内紛と聞いて、
へえ、そうなのというくらいの感想しか抱かなかったに違いない。
けれど、それはこんな風に起こっていた。
ちょっと恥ずかしいですね。
無知は一種の罪ではないかと思ってしまう。
けれど、もしそれをしっかり認識出来たとして、何が出来たのだろうか、
と思うと、これまた無力感に襲われます。
今も世界のどこかでこんな悲惨な状況が繰り返されているに違いないのですが、
なんにしても傍観者で居るだけの世界、日本、そして自分が歯がゆいですね。
命の重さはみな同じはずなのですが、
なんでこんなに軽んじられる命がたくさんあるのでしょう。

この作品は、ことさら残虐なシーンは避けながら、淡々と語られるのですが、
その命の軽さに抗うように、
せめて自分の身の回りの人たちだけでも何とか助けたいという
男の懸命さに心打たれていきます。

自分に出来ることをまずする。
結局はそこが原点なんでしょうね。
是非多くの方に見てもらいたいと思う作品でした。

ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション [DVD]
テリー・ジョージ,ケア・ピアソン
ジェネオン エンタテインメント


2004年/南アフリカ・イギリス・イタリア/122分
監督:テリー・ジョージ
出演:ドン・チードル、ホアキン・フェニックス、ソフィー・オコネドー、ニック・ノルティ、ジャン・レノ