映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ザ・シークレット・サービス

2010年06月04日 | クリント・イーストウッド
暗殺者と護衛官の心理戦

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このシークレット・サービスというのは、まあ、護衛の用務なんですね。
そう。ここでのクリント・イーストウッドは、もう定年間近のシークレット・サービスのエージェントという役どころ。
彼、ホリガンは若い駆け出しの頃にケネディ大統領の護衛にあたっていたんだね。
しかし、ご存じの通り、大統領は凶弾に撃たれて亡くなってしまった。
護衛についていながら、何もできなかったことが彼のトラウマとなっている。
そんな過去を抱えた男に、かかってきた電話。
これが現在の大統領の暗殺予告、ということだね。
うん。これがね、電話を逆探知するために、関係者一同がみな、話の内容を聞いているんです。
逆探知に時間がかかるので、うんと話を引き延ばさなきゃならない。
犯人にもそれはわかっていて、わざとホリガンの傷をえぐるようなことを言うわけ。
おまえは護衛なのに何もできなかった。
一発目の銃声の後、大統領の前に出て二発目を自分が受けて
大統領をかばうこともできたはずだ・・とか。
大勢の前で、心の奥底を言い当てられてしまうホリガンは、しかし、淡々と受け止めている・・・。
なかなか渋くていいですよね、この辺。
そう、大勢が聞いていることを前提とした2人の会話
・・・というシチュエーションはなんと、ラストの最も重要なシーンにも使われるのです。
よく出来た脚本ですよね。


それから、特異なのがこの犯人像。
これは・・・単に血に飢えた殺人鬼問いかサイコキラーというのではなくて・・・。
そうだね。暗殺オタクとでもいうのでしょうか・・・。
自分の変装術の巧みさとか頭の良さに酔ってる感じ。
これ、ジョン・マルコビッチなんだよね。いや、はや、さすがの怪演というか・・・。
存在感ありましたねー。これは犯人役が別人だったら、もっと平凡な作品になっていただろうね。
ダーティーハリーほどアクション性があるわけではないけれど、同様に彼には若い相棒がついていて。
やっぱり、悲惨な目にあってしまうのですね・・・。
ほとんどお約束だ。
それはともかく、全体にトーンは靜かで、渋め。だけど暗すぎない。
暗殺者と護衛官の心理戦。
なかなかの良作だと思います。

ザ・シークレット・サービス [DVD]
クリント・イーストウッド,ジョン・マルコビッチ,レネ・ルッソ,ディラン・マクダーモット
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント


1993年/アメリカ/128分
監督:ウォホルフガング・ペーターゼン
出演:クリント・イーストウッド、ジョン・マルコビッチ、レネ・ルッソ、ディラン・マクダーモット