運命は変えられるのか
* * * * * * * *
この本は短編集ですが、連作となっています。
キーパーソンは、江戸川圭史。
彼は人の非日常的な未来のビジョンが見えるという特殊な能力を持っています。
表題作「6時間後に君は死ぬ」では、
美緒という女性がいきなり見知らぬ青年圭史から
「6時間後に君は死ぬ」と言い渡されてしまう。
6時間後、路上で胸を刺されている彼女の姿が見えたというのです。
半信半疑ながら、彼女はその殺人者を捜し出し、
事件を避けようとするのですが・・・。
う~ん、どうなんでしょう、
私なら家に閉じこもって一歩も外に出ないようにしますけれどね・・・。
この冒頭の一作は、こんなことを言うこの青年こそ犯人・・・?
と思わせておいて実は・・・、という、
ミステリの醍醐味が味わえる作品ではあります。
WOWOWの二時間ドラマともなったそうで。
けれど、どうも私にはあまりピンとこなかったですね。
なんだか人物に魅力がない。
もう少し会話文などにユーモアを持たせて、おしゃれな雰囲気にならないかな・・・、
などとちょっと惜しい気がしました。
しかし、この本はなかなか侮れません。
その後、読み進むうちにだんだんよくなっていく気がします。
主人公が一作ごとに入れ替わり、
この圭史に未来を予言されるというストーリー運びになります。
そしてなんと最後の「3時間後に僕は死ぬ」では、冒頭作の美緒と圭史が再会。
こちらは3時間という短く限られた時間の中で、
大惨事を何とか防ぐことはできないか、
圭史の見たビジョンは絶対的な運命なのか、
変えることは不可能なのか、
最後の最後まであきらめない美緒の奮闘がスリリングに描かれています。
この2作が対になってドラマ化となっていたのですね。
それなら、納得です。
私が好きだったのは、「ドールハウスのダンサー」。
これは番外編と言っていいかもしれません。
圭史は直接的には登場しません。
ダンサーを目指す一人の女性の生き様がファンタジックに語られていきます。
夢は必ずしも叶わない。
それでも、きちんと別の生き甲斐は見つかるものだし、
そういう人生もアリだよ・・・と、
やさしく語りかけてくれるような一篇。
いいですね。
満足度★★★☆☆
6時間後に君は死ぬ (講談社文庫) | |
高野 和明 | |
講談社 |
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この本は短編集ですが、連作となっています。
キーパーソンは、江戸川圭史。
彼は人の非日常的な未来のビジョンが見えるという特殊な能力を持っています。
表題作「6時間後に君は死ぬ」では、
美緒という女性がいきなり見知らぬ青年圭史から
「6時間後に君は死ぬ」と言い渡されてしまう。
6時間後、路上で胸を刺されている彼女の姿が見えたというのです。
半信半疑ながら、彼女はその殺人者を捜し出し、
事件を避けようとするのですが・・・。
う~ん、どうなんでしょう、
私なら家に閉じこもって一歩も外に出ないようにしますけれどね・・・。
この冒頭の一作は、こんなことを言うこの青年こそ犯人・・・?
と思わせておいて実は・・・、という、
ミステリの醍醐味が味わえる作品ではあります。
WOWOWの二時間ドラマともなったそうで。
けれど、どうも私にはあまりピンとこなかったですね。
なんだか人物に魅力がない。
もう少し会話文などにユーモアを持たせて、おしゃれな雰囲気にならないかな・・・、
などとちょっと惜しい気がしました。
しかし、この本はなかなか侮れません。
その後、読み進むうちにだんだんよくなっていく気がします。
主人公が一作ごとに入れ替わり、
この圭史に未来を予言されるというストーリー運びになります。
そしてなんと最後の「3時間後に僕は死ぬ」では、冒頭作の美緒と圭史が再会。
こちらは3時間という短く限られた時間の中で、
大惨事を何とか防ぐことはできないか、
圭史の見たビジョンは絶対的な運命なのか、
変えることは不可能なのか、
最後の最後まであきらめない美緒の奮闘がスリリングに描かれています。
この2作が対になってドラマ化となっていたのですね。
それなら、納得です。
私が好きだったのは、「ドールハウスのダンサー」。
これは番外編と言っていいかもしれません。
圭史は直接的には登場しません。
ダンサーを目指す一人の女性の生き様がファンタジックに語られていきます。
夢は必ずしも叶わない。
それでも、きちんと別の生き甲斐は見つかるものだし、
そういう人生もアリだよ・・・と、
やさしく語りかけてくれるような一篇。
いいですね。
満足度★★★☆☆