映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

FLOWERS フラワーズ

2010年06月19日 | 映画(は行)
夢の共演。命をつなぐ女たち



             * * * * * * * *

花。
その題名通り、花のような6大女優の夢の共演。
どなたも主役級ですから、これは絢爛豪華。


始めはモノクロシーンです。
昭和11年。
親が勝手に決めた縁談で、迎えた結婚式当日。
この結婚に納得できない凛(蒼井優)は、
白無垢の花嫁衣装のまま、家をとびだしてしまう。
そういえばウエディングドレスを着て疾走する女性のドラマもどこかにあったなあ・・・。
それはともかくとして、シーンは現代に移ります。


ピアニストを夢見て東京へ出たけれど、芽が出ないままの奏(鈴木京香)。
恋人とは別れ、この先の身の振り方を考えなければならないというところ・・・。
その妹、佳(広末涼子)は結婚し、一児の母。
彼女は自分の出生時に母が命を落としたことに責任を感じているのですが、
だからこそ一生懸命生きようと、明るく前向き。

実はこの二人は冒頭の凛の孫だったんですね。
では結局凛さんは、やはり結婚したのだなとわかる。
では凛の子供たちは・・・?ということで、またそれぞれの道が語られます。
昭和30年代といったところでしょうか。
長女、薫(竹内結子)は結婚後まもなく夫を事故で亡くしたのでした。
母凛とは違って、相思相愛の結婚だったように伺えますが、
だからこそ、失った存在の空虚さが痛ましい・・・。
しかし、実家の庭で水をまく、どこか心が遠くにあるような茫洋としたそのムードは、
何ともいえずステキです。
次女、翠(田中麗奈)は、キャリアウーマンの走りですね。
これからの女性は自立しなければ、とばかり出版社で張り切っている。
しかし、まだ時代が時代でもあり、
周りは男性ばかりで、その気持ちが空回りしている。
そんなとき、プロポーズをされて自分の気持ちに迷いが出る。
三女、彗(さと)(仲間由紀恵)。
幸せな結婚をして一児の母。
二人目の子供ができたけれど、彼女は体が弱く、医者からは危険だと言われている・・・。


2時間足らずの作品で6人もの女性の人生を語るのは、
食いたりなさが残るのではないか・・・と、実は思っていました。
けれど、断片を集めたからこそ、見えてくるものはあるんですね。
それぞれの女性の個性。
愛の形。
人生の形。
それぞれに悩んだり、躓いたりしながら命をつないでゆく。
うーん、やっぱり女は子供を産めと言うことなの?
といってしまえば実もフタもないのですが、
女にしかできないことであるのは確かですし、
出産がなければ人類滅亡・・・、ということでまあ、良しとしますか。


最後に予想通り、冒頭のモノクロシーンに戻ります。
家を飛び出した凛のその後。
まあ、もちろん答えはお見通しなのですけれど。
この家系は女系家族ですね。おまけに美形!!

それにしても昭和中期あたりの色調、衣装、ヘアスタイル。
実にうまくその時代色を醸し出していますねえ。
なつかし~い感じでした。
今の若い女優さんが、当時のファッションで現れるというのも、なんだか不思議な感じ。
私は竹内結子さんのほんわか笑顔と、ややミステリアスな行動の謎
・・・そこのところが一番気に入りました。

監督:小泉徳宏
出演:蒼井優、鈴木京香、竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、広末涼子