世界に流布する笑いの法則
* * * * * * * *
この本は2005年に発行されたものですが、
その時点で著者はすでに病床にあり、闘病しながら仕上げたもののようです。
状況はちょっと辛いのですが、そのようなことはみじんも感じさせない、
ユーモアに富んだ小咄満載となっています。
著者は、世界に流布する笑いの法則を突き止め、分類し、笑いの本質を探っていきます。
―――曰く
詐欺のような手口
悲劇喜劇も紙一重
木を見せてから森を見せる
誇張と矮小化
絶体絶命の効用
・・・等々。
たとえばこんなのはいかが。
高層ビルの屋上に上った男が今にも飛び降りそうだというので、
黒山の人だかりとなっている。
しかし、男はなかなか飛び降りない。
野次馬の1人がぼやいた。
「ああ困ったわ、あたし。
早く飛び降りてくれないと、バスに乗り遅れちゃう」
人の生死という一大事が、
一瞬にしてバスに乗り遅れるという些細なことに矮小化される例として上げられています。
全く、不謹慎ではありますが、笑っちゃいます。
実際ありそうですし・・・。
次は絶体絶命の例。
サーカスの丸天井の下で、空中ブランコが行われている。
左右のアクロバットが鮮やかに軽やかに交差する瞬間、
一方がもう一方に向かって怒鳴りつけた。
「このどアホ、なんでジャンプするんだ!!
オレがジャンプしてお前が捕まえる番だろうが!!」
まさに、笑い事じゃないんですけどね。
ぷっと吹き出してしまいますね。
私はどうもこの絶体絶命シリーズが気に入ってしまいました。
何故か窮地に陥った人間の必死の姿は笑いを誘うのであります。
もちろん、「小咄」という前提の上ですよ・・・。
こんな話の中で、著者は、当時の小泉首相の発言を小咄にたとえて用いています。
そのものずばり、
「詐欺のような手口」とか、
「木を見せてから森を見せる」とか・・・。
さすが米原万里さん。ちくちく効いています。
しかし、小泉発言の場合は、全然笑えないのでした・・・。
欧米ではこのような「小咄」というのがよく用いられるようなのですが、
日本ではあまりないように思います。
日常のお笑いはギャグであったり、駄洒落であったり・・・。
落語ではちゃんと「小咄」はあるんですが。
ブラックなユーモアの効いた、大人の「小咄」がもっと日常的にあるといいですね・・・。
しかし、この本の中では、例題として応用問題形式となっているところもあるのですが、
ぜんぜん考えつきません。
難しいなあ・・・。
創作小咄なんて、私には無理っぽい。
満足度★★★★☆
必笑小咄のテクニック (集英社新書) | |
米原 万里 | |
集英社 |
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この本は2005年に発行されたものですが、
その時点で著者はすでに病床にあり、闘病しながら仕上げたもののようです。
状況はちょっと辛いのですが、そのようなことはみじんも感じさせない、
ユーモアに富んだ小咄満載となっています。
著者は、世界に流布する笑いの法則を突き止め、分類し、笑いの本質を探っていきます。
―――曰く
詐欺のような手口
悲劇喜劇も紙一重
木を見せてから森を見せる
誇張と矮小化
絶体絶命の効用
・・・等々。
たとえばこんなのはいかが。
高層ビルの屋上に上った男が今にも飛び降りそうだというので、
黒山の人だかりとなっている。
しかし、男はなかなか飛び降りない。
野次馬の1人がぼやいた。
「ああ困ったわ、あたし。
早く飛び降りてくれないと、バスに乗り遅れちゃう」
人の生死という一大事が、
一瞬にしてバスに乗り遅れるという些細なことに矮小化される例として上げられています。
全く、不謹慎ではありますが、笑っちゃいます。
実際ありそうですし・・・。
次は絶体絶命の例。
サーカスの丸天井の下で、空中ブランコが行われている。
左右のアクロバットが鮮やかに軽やかに交差する瞬間、
一方がもう一方に向かって怒鳴りつけた。
「このどアホ、なんでジャンプするんだ!!
オレがジャンプしてお前が捕まえる番だろうが!!」
まさに、笑い事じゃないんですけどね。
ぷっと吹き出してしまいますね。
私はどうもこの絶体絶命シリーズが気に入ってしまいました。
何故か窮地に陥った人間の必死の姿は笑いを誘うのであります。
もちろん、「小咄」という前提の上ですよ・・・。
こんな話の中で、著者は、当時の小泉首相の発言を小咄にたとえて用いています。
そのものずばり、
「詐欺のような手口」とか、
「木を見せてから森を見せる」とか・・・。
さすが米原万里さん。ちくちく効いています。
しかし、小泉発言の場合は、全然笑えないのでした・・・。
欧米ではこのような「小咄」というのがよく用いられるようなのですが、
日本ではあまりないように思います。
日常のお笑いはギャグであったり、駄洒落であったり・・・。
落語ではちゃんと「小咄」はあるんですが。
ブラックなユーモアの効いた、大人の「小咄」がもっと日常的にあるといいですね・・・。
しかし、この本の中では、例題として応用問題形式となっているところもあるのですが、
ぜんぜん考えつきません。
難しいなあ・・・。
創作小咄なんて、私には無理っぽい。
満足度★★★★☆