姿形がそのままで、記憶さえもそっくりそのままならば、それは本人?
* * * * * * * *
モカさんには1972年ソ連作品の「惑星ソラリス」を勧められたのですが、
悲しいことに私の利用しているTSUTAYA DISCASに、品揃えがありませんでした・・・。
それでといっては何ですが、わりと新しいアメリカ作品、「ソラリス」を見ました。
もともと、スタニスラフ・レムの原作の映画化という点では同じなのですが、
解説によると、ややストーリーというか、設定は異なるようです。
しかし、こちらのスタッフ・キャストがなかなか豪華なんですよね。
けれど浮ついたところはなく、ひんやりした肌触りの、
切ないハードSFロマンとなっています。
精神科医ケルビンのもとに、
惑星ソラリスの探索に出ている友人から助けを求める連絡があり、
その探索機を訪れたケルビン。
そうはいっても事情が全くよくわからない。
そんなおりに突然、いるはずのない彼の妻が現れる。
地球から遠く離れた星であることはもちろんなのですが、
実は彼の妻は数年前自殺して亡くなっていたのです。
どうしたわけか、この星では個人の思いを実体化して、そのままそっくりの人物が出現する。
そしてそれ(その人?)は、本人の記憶をも所有している。
だからここにいるのは当然本物の妻ではなく、ニセの何者かなのです。
どうして、何のためにそんな現象が起こるのか、全く謎のままです。
しかし、何かの悪意とも思えない。
それは、地球上の常識では全く考えも及ばない、
惑星ソラリスにおいての「自然現象」なのだろう・・・と、
おぼろげながら思ったりするわけですが、
まあそれを深く追求するのがこの作品の狙いではありません。
偽物とわかってはいるけれども、ケルビンの妻への思いはつのっていくのですね。
姿形がそのままで、記憶さえもそっくりそのままならば、それは本人ではないのか?
実際には、彼がきちんとわかってあげられなかったが故に、
妻の自殺を招いてしまったことが心の傷になっていたケルビンは、
その罪の意識と愛情がない交ぜになり、平常心を失っている。
さて、その「妻」として出現した方も切ないですよ。
自分自身、全く偽物という意識がない。
そこへ、自分がこの惑星の「力」によって生み出された偽物だと知ったとき・・・。
自己のアイデンティティを喪失するのです。
自分の意識というのは何なのでしょう。
自分の認識=現実だとしたら、これは真実の「妻」なんですよね。
深く考え始めると、今の自分自身の存在さえも疑わしくなってしまうという、
そんな作品なのでした。
ラストもなかなか謎めいていますが、
結局これは永遠の愛と生を受ける話なのかもしれない・・・。
惑星ソラリスの幻想的なたたずまいが魅力的です。
その星自体が、何かの意志を持っているようにも感じられます。
やはり、旧ソ連作品も是非見てみたいですね。
2002年/アメリカ/99分
監督・脚本:スティーブン・ソダーバーグ
制作:ジェームズ・キャメロン
出演:ジョージ・クルーニー、ナターシャ・マイケルホーン、ジェレミー・デイビス
ソラリス (特別編) [DVD] | |
ジョージ・クルーニー,ナターシャ・マケルホーン,ジェレミー・デイビス | |
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン |
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モカさんには1972年ソ連作品の「惑星ソラリス」を勧められたのですが、
悲しいことに私の利用しているTSUTAYA DISCASに、品揃えがありませんでした・・・。
それでといっては何ですが、わりと新しいアメリカ作品、「ソラリス」を見ました。
もともと、スタニスラフ・レムの原作の映画化という点では同じなのですが、
解説によると、ややストーリーというか、設定は異なるようです。
しかし、こちらのスタッフ・キャストがなかなか豪華なんですよね。
けれど浮ついたところはなく、ひんやりした肌触りの、
切ないハードSFロマンとなっています。
精神科医ケルビンのもとに、
惑星ソラリスの探索に出ている友人から助けを求める連絡があり、
その探索機を訪れたケルビン。
そうはいっても事情が全くよくわからない。
そんなおりに突然、いるはずのない彼の妻が現れる。
地球から遠く離れた星であることはもちろんなのですが、
実は彼の妻は数年前自殺して亡くなっていたのです。
どうしたわけか、この星では個人の思いを実体化して、そのままそっくりの人物が出現する。
そしてそれ(その人?)は、本人の記憶をも所有している。
だからここにいるのは当然本物の妻ではなく、ニセの何者かなのです。
どうして、何のためにそんな現象が起こるのか、全く謎のままです。
しかし、何かの悪意とも思えない。
それは、地球上の常識では全く考えも及ばない、
惑星ソラリスにおいての「自然現象」なのだろう・・・と、
おぼろげながら思ったりするわけですが、
まあそれを深く追求するのがこの作品の狙いではありません。
偽物とわかってはいるけれども、ケルビンの妻への思いはつのっていくのですね。
姿形がそのままで、記憶さえもそっくりそのままならば、それは本人ではないのか?
実際には、彼がきちんとわかってあげられなかったが故に、
妻の自殺を招いてしまったことが心の傷になっていたケルビンは、
その罪の意識と愛情がない交ぜになり、平常心を失っている。
さて、その「妻」として出現した方も切ないですよ。
自分自身、全く偽物という意識がない。
そこへ、自分がこの惑星の「力」によって生み出された偽物だと知ったとき・・・。
自己のアイデンティティを喪失するのです。
自分の意識というのは何なのでしょう。
自分の認識=現実だとしたら、これは真実の「妻」なんですよね。
深く考え始めると、今の自分自身の存在さえも疑わしくなってしまうという、
そんな作品なのでした。
ラストもなかなか謎めいていますが、
結局これは永遠の愛と生を受ける話なのかもしれない・・・。
惑星ソラリスの幻想的なたたずまいが魅力的です。
その星自体が、何かの意志を持っているようにも感じられます。
やはり、旧ソ連作品も是非見てみたいですね。
2002年/アメリカ/99分
監督・脚本:スティーブン・ソダーバーグ
制作:ジェームズ・キャメロン
出演:ジョージ・クルーニー、ナターシャ・マイケルホーン、ジェレミー・デイビス