映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「しがみつかない死に方」 香山リカ

2010年08月21日 | 本(解説)
結局は、今生きている自分のために

しがみつかない死に方 孤独死時代を豊かに生きるヒント (角川oneテーマ21)
香山 リカ
角川書店(角川グループパブリッシング)


          * * * * * * * *

以前、同じ著者で「しがみつかない生き方」を読みました。
この度は、なんと、「しがみつかない死に方」。
精神科医である著者の元に、最近孤独死を非常に恐れる人が多く訪れるそうなのです。
飯島愛さんなど著名人の孤独死がマスコミによって伝えられたときに、
一人暮らしの女性たちは皆恐ろしくなってしまった様なのです。
「お一人様の老後」の本でも、
死をどう迎えるかは大きな問題として取り上げられていました。
私は今のところ家族と同居ですが、やはり気になってしまうのは、
結局、ほとんどの女性は最終的に「お一人様」であることが多いためです。
平均的には男性の方が寿命が短いですし、
しかも夫婦であれば男性が年上の場合が多い。
必然的に夫に先立たれることが多いということです。
子供たちも、当てになどできない。
はい、むしろこれは当てにしてはいけない、
と「お一人様の老後」では言っていましたね。


この本では「孤独死」にならないため、
また、仮に一人でいるときに不幸があってもなるべく早く気づいてもらうために、
いろいろな手立てが書かれています。
また、自分の死後の葬儀とか財産の始末の仕方なども・・・。
しかし、これらで万全を期そうというのはつまり、
結局は「まだ生きている今のため」ということになるのではないかと、著者は言います。
どんなに完璧に準備をし、計画を立てても、
いざというときや自分亡きあと、
それが確実に実行されるかどうかはまったくわからない、と。

その通りですね。
実際なるようにしかならないだろうし、
たとえ思ったようにならなくても、自分では解らないですからね。


まあ、そこで私は考えるわけですが、
やはり、なにがしか自分の死後の準備はしておきたい。
それは確かに自分の心の安定のためであります。
自分で満足できればいいので、完璧を期す必要も無い。
葬儀はごくごく内輪に簡潔に・・・。
(その費用だけは残しておきたいものです!)
部屋の荷物は極力少なく片付けておいて・・・。
ある程度の財産の処分は遺書として書き留めておくけれども、
まあ、希望としてうけ止めてもらって、それがダメならどのようにでも・・・。
あえて正式な「遺言状」までは必要ありません。
(そんな大それた財産もないし)
・・・と、こんな感じ?

しかし、問題はその日がいつ来るかわからないということですね。
こんなことを書きながら、私はそれが明日だとは思っていない。
だから部屋はぐちゃぐちゃだし、
まだ遺書を書いておこうなどという気にもなっていません。
が、それが甘いのですよね。
その日は明日かも知れないというのに・・・。
いやはや、結局全然覚悟ができていない私なのでした。

でも、皆さん長患いはしたくないと言うじゃありませんか。
人に気づかれず突然死できたら、
それは意外とラッキーの様な気もしますが・・・。

満足度★★★★☆