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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

クレイジー・ハート

2010年08月29日 | 映画(か行)
見かけはしょぼくれでも、歌とギターはいぶし銀



        * * * * * * * *

昔は名を馳せたカントリー歌手で、
現在は落ちぶれ、ドサ回りでやっと食べているバッド・ブレイク(ジェフ・ブリッジス)。
アル中。
そんな男ではありますが、ギターの腕と歌声は衰えてはいない。
酒場はかつての彼のファンでうまり、ささやかながらも盛り上がりを見せる。
そんなある日、女性ジャーナリスト、ジーンのインタビューを受けたことがきっかけで、
二人はつきあい始めるのですが・・・。



ストーリー自体は良くあるパターンですよね。
割と最近見たものでは「レスラー」も同様の話でした。
一人の男。
若い頃から何か一つのことに打ち込んできたけれど、年を取ってそれも下降気味。
食べるのもやっと。
結婚はしたことはあるけれど、妻には愛想を尽かされてとっくに離婚。
なにやらしょぼくれた毎日。
でも、愛に仕事に、再起を図ろうとするのだけれど、そう簡単にはいかない。

これって、結構万人向けのテーマですね。
中高年を過ぎれば誰でも若い頃のようにかっこよくは決まらないし、
でもまだ人生は捨てきれない。
まだまだやれると思っている。
こういうところが妙に共感を呼ぶわけです。



そんなわけでこの作品、ありがちではあるのですが、
どこかひと味違う。

まず音楽がいいです。
カントリーはほっこりと心にしみますね。
音楽はT=ボーン・バーネットによるものですが、
歌もギターもちゃんとご本人ジェフ・ブリッジスがやっています。
実際聞き惚れてしまいます。
私は早速、サントラCDを買ってしまいました!!
しょぼくれた、おっさんだけれど、
音楽にかける熱意は本物。
この一本の芯が見事に決まっているから、心地いい。
事故で、病院のベッドで意識を取り戻したバッドの第一声は
「俺のギターは?」
でした。
バッドが、かつての弟子(コリン・ファレル)の前座を務めるハメになってしまうという
シーンがあるのですが、この二人のデュオがまたすばらしい。
良く気遣いができる、カッコイイ奴なんです、コリン・ファレル。



そしてアル中の彼は、せっかく彼女とうまくいきそうだったのに、
お酒で失敗してしまいます。
そうした後の彼の行動が実に潔い。
何というかしょぼくれた中にも、凛とした歌手としてのプライドと、
男のハートがあるんですね。
ステキでした。
アカデミー賞主演男優賞は納得です。



どこまでもまっすぐな一本道、
バッドがつい居眠り運転で事故を起こしてしまうシーンがあります。
先日のアメリカでの日本人を乗せた観光バスの事故を連想してしまいました。
場内、一瞬皆さん、はっとした様子でした。
北海道にも多いですが、あの原野の中につづく直線道路は、
実際眠気が来て危険ですね。
気をつけましょう・・・。

2009年/アメリカ/111分
監督:スコット・クーパー
出演:ジェフ・ブリッジス、マギー・ギレンホール、ロバート・デュバル、コリン・ファレル、トム・バウアー

クレイジー・ハート~オリジナル・サウンドトラック
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