映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ライトスタッフ

2010年09月03日 | 映画(ら行)
男たちの夢とロマン
~何度見てもすごい50本より~

           * * * * * * * *

1947年、アメリカ。
二次大戦が終わったところですが、
ソ連を意識して軍事の増強も怠ることはできない、そんな時代でしょうか。
当時、“音速の壁”と言われて、
マッハ1以上のスピードを出すことができなかったんですね。
その壁を初めて破ったのが、米空軍パイロット、チャック・イェーガー。
この作品は、このようなスピードや宇宙にかける夢を追う男たちの物語。
すべて実話。

さて、このように、パイロットたちがスピードにかける夢を追っているころ、
宇宙開発が進んできたのです。
しかし、初の人工衛星も、有人宇宙飛行も、ソ連に先を超されてしまい
悔しい思いがいっぱいのアメリカ。
負けてはいられないということで、
アメリカの有人宇宙飛行計画、“マーキュリー計画”が推進されました。
1959年から63年のこと。
その宇宙飛行士には非常に厳しい適正検査・テストの上7人が選ばれました。
先に挙げたチャック・イェーガーはここで道を分かち、
宇宙飛行士は希望しなかったのですね。
しかし、彼は彼の道をさらに進みます。


それにしても、宇宙開発というのは、
米ソの熾烈な競争があったからこそ、進んだと言ってもよさそうです。
ロケット打ち上げの数々の失敗もあったようなのですが、
いったい、どれだけの費用を費やしたものだか・・・。
まあ、そんなことを言うのもヤボですけれど。

映画中にもあるのです。
とにかく命を失う危険性が非常に高いテストパイロットの妻たちが、
「男って本当にしょうがないわねえ・・・」
とため息混じりに語り合うところが。
ほんと、ほんと・・・、と私も肯きたくなります。
でもこの映画では、女たちがなかなか理解しがたい男たちの夢・ロマンを
雄弁に語っていますねえ。
結構説得力があって、その夢を共有させてもらいました。
この作品、193分ととても長いのですが、それほど長く感じませんでしたから・・・。


この作品は、宇宙開発の推進を、政治的立場とか技術的立場ではなく、
あくまでもパイロットたちの夢やロマンの立場から見ているところが眼目なのです。
しかし、その政治的なこと、技術的なことがとても大きな足かせになるし、
そもそもそれらがなければ何もできない、というのが現実。
このあたりとの絡みがまた、とても興味深いですね。

この後、アメリカはいよいよ“アポロ計画”で、月へと突き進みますが、
そこにはまた数々のドラマがあったはず。
興味は尽きませんね。

ライトスタッフ スペシャル・エディション [DVD]
サム・シェパード,スコット・グレン,デニス・クエイド
ワーナー・ホーム・ビデオ



1983年/アメリカ/193分
監督・脚本:フィリップ・カウフマン
原作:トム・ウルフ
出演:サム・シェパード、エド・ハリス、スコット・グレン、デニス・クエイド、ジェフ・ゴールドブラム