今は亡き女優にまつわるコレクション
* * * * * * * *
若竹七海氏のミステリ、というよりはホラーです。
失業中の"わたし"に、金沢のホテルから仕事が舞い込んだ。
そのホテルの創業者は、ある伝説的女優にして作家、曾根崎繭子のパトロン。
曾根崎繭子はこのホテルで、最後のひとときを過ごし、
自殺したのですが、
このパトロンは、繭子にまつわる膨大なコレクションを残していたのです。
"わたし"は、この度そのコレクションを整理し、
展示室を作る仕事を任されました。
ところが、実際に見てみると、
そのコレクション、半端な量ではない。
しかも内容は、彼女がまとったドレスはもちろん、
果ては下着や毛髪、彼女が使った割り箸、
これはもう、病的としかいいようがない。
そして彼女がホテルに住み込み、忙しく準備を進めるうちに、
数々の不気味な出来事が・・・。
繭子の幽霊らしき姿も怖いですが、
このホテルの創業者の変質的な行為が何よりも怖いですね。
そうしてまで囲われていた繭子が、幸福であったはずがありません。
しかし、なにやらエキセントリックで孤高の雰囲気の漂う繭子という存在が
とても魅力的で、全体に不思議な雰囲気を漂わせています。
ところで、この"わたし"は、元々学芸員であったわけですが、
このコレクションの整理と展示という仕事におもしろみを感じて、
熱中していくのですが、その面白みが私にもよくわかります。
展示プランの決定、
展示品の選択、
パネルの作成、
パンフレットの原稿書きと印刷発注・・・。
う~ん、こういう仕事、実は私も好きだな・・・。
そんな仕事につきたかったな・・・と、
相当手遅れなんですがそんな風に感じてしまいました。
ラストはまさにミステリではなくホラー風なオチとなりますが、
それもまた良しですね。
私は彼女の弟子的存在となる、ぶっきらぼうで粗野なタケル君がお気に入りでしたが、
ハッピーエンドにはならなくて残念。
読み出したら止められない一冊ではあります。
満足度★★★☆☆
遺品 (光文社文庫) | |
若竹 七海 | |
光文社 |
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若竹七海氏のミステリ、というよりはホラーです。
失業中の"わたし"に、金沢のホテルから仕事が舞い込んだ。
そのホテルの創業者は、ある伝説的女優にして作家、曾根崎繭子のパトロン。
曾根崎繭子はこのホテルで、最後のひとときを過ごし、
自殺したのですが、
このパトロンは、繭子にまつわる膨大なコレクションを残していたのです。
"わたし"は、この度そのコレクションを整理し、
展示室を作る仕事を任されました。
ところが、実際に見てみると、
そのコレクション、半端な量ではない。
しかも内容は、彼女がまとったドレスはもちろん、
果ては下着や毛髪、彼女が使った割り箸、
これはもう、病的としかいいようがない。
そして彼女がホテルに住み込み、忙しく準備を進めるうちに、
数々の不気味な出来事が・・・。
繭子の幽霊らしき姿も怖いですが、
このホテルの創業者の変質的な行為が何よりも怖いですね。
そうしてまで囲われていた繭子が、幸福であったはずがありません。
しかし、なにやらエキセントリックで孤高の雰囲気の漂う繭子という存在が
とても魅力的で、全体に不思議な雰囲気を漂わせています。
ところで、この"わたし"は、元々学芸員であったわけですが、
このコレクションの整理と展示という仕事におもしろみを感じて、
熱中していくのですが、その面白みが私にもよくわかります。
展示プランの決定、
展示品の選択、
パネルの作成、
パンフレットの原稿書きと印刷発注・・・。
う~ん、こういう仕事、実は私も好きだな・・・。
そんな仕事につきたかったな・・・と、
相当手遅れなんですがそんな風に感じてしまいました。
ラストはまさにミステリではなくホラー風なオチとなりますが、
それもまた良しですね。
私は彼女の弟子的存在となる、ぶっきらぼうで粗野なタケル君がお気に入りでしたが、
ハッピーエンドにはならなくて残念。
読み出したら止められない一冊ではあります。
満足度★★★☆☆