映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「標的 上・下」パトリシア・コーンウェル 

2016年01月18日 | 本(ミステリ)
復活する、新たなる脅威

標的(上) (講談社文庫)
池田 真紀子
講談社


標的(下) (講談社文庫)
池田 真紀子
講談社


* * * * * * * * * *

休暇旅行を間近に控えたスカーペッタの周辺で、奇妙な事柄が続いていた。
不審なツイートが届いたうえに、何者かに身辺を探られている形跡もある。
そうした中、自宅近隣で射殺事件が発生。
やがてスカーペッタは、それがじつは綿密に仕掛けられた計画犯罪で、
真犯人からの"挑戦状"でもあることを察知した。(上)

それは、十三年の歳月を経た復讐劇の幕開けだった。
スカーペッタの自宅近隣で発生した射殺事件、関係者の殺害。
そして、関連性があるとは思われなかった別の事件が一つところに収まり、
恐るべき全体像が明らかになっていく。
スカーペッタを待ち受ける驚愕の真相。
それを知った時、暗殺者の凶弾が放たれた!(下)


* * * * * * * * * *


また1年が過ぎて、検屍官シリーズの新刊です。
いや、本当に一年経つのは早い!!


冒頭、スカーペッタは、珍しく幸福感をかみしめています。
6月の美しい朝、
その日は、ものすごく久しぶりに取れた休暇で、
夫婦でマイアミへ旅立つことになっていたのです。
ところが、もう想像がついてしまいますが、さっそく事件が起こる。
それも自宅のすぐ近くの射殺事件。


本作では、最新のテクノロジーを用いた武器や兵器が
殺人に用いられることが多いのですが、今回はスマートライフル。
つまりコンピュータによって極度に精度が高められた高機能のライフル。
それならド素人が撃ってもゴルゴ13なみの狙撃が可能?などと思ったのですが、
でも重い機材を抱えて打つ瞬間に若干標準がずれたりするので、
やはりそう簡単ではないということのようでしたが・・・。
この事件に先駆けて、スカーペッタのカードが不正使用されていたり、
脅迫状めいた不気味なメールが届いていたり、
嫌な前兆があったのです。
そしてまた引き続いて起こる殺人事件・・・。
やはり休暇はお流れです・・・。
お気の毒。
が、そんなことを言っている場合ではない。
この事件の犯人について、スカーペッタには嫌な予感がし始めるのです。
このICTを自在に使いこなす技、
ヘリコプターのような高所から撃ち下ろしたとしか思えないライフル銃の銃弾。
・・・が、しかし、その点の不安は当たりませんでしたが、
真犯人はなんと13年前の・・・!


う~ん、13年前に出てきたキャリー・グレゼン?
残念ながら、私は殆ど読み返すことはないので、記憶があやふやです。
でも問題児のルーシーと関係が深かった超危険人物ということで、
そういえばそんなこともあったかも・・・?
くらいのところまでは思い出しました。
しかし正直、私的には今さら13年前を持ちだしてほしくはなかったな、と。
よほどネタがなかったのかと思ってしまいます。
で、この復活した殺人者は、この度も上手く逃げおおせたので、
今後もまた登場することでしょう。
スカーペッタにはどこまでも安息の日は訪れそうにありません。
しかし本作のラストにはかなり驚愕の出来事が。
いや、そもそもスカーペッタがわざわざこんな危険な仕事までする必要はないのではないか?
と思わないでもないのですが、でも、やられますね。
執拗にスカーペッタを付け狙う敵が、こんなところで待ち受けているとは・・・。

「標的 上・下」パトリシア・コーンウェル 講談社文庫
満足度★★★☆☆