天啓とは・・・?
* * * * * * * * * *
山岸凉子さんの新しい物語が始まりました。
「レベレーション」は、英仏の100年戦争時にフランス軍を率いて戦ったという、
ジャンヌ・ダルクを描いた作品です。
バレエでも怪奇ものでもなく・・・というのは意外な気がしますが、
考えてみたらあの「日出処の天子」も、歴史上の人物を描いたものでしたね。
この表紙のように、強く刺すような目をした少女がどのように生きていくのか、
しっかり見届けたいと思います。
冒頭にまず、いきなりジャンヌの処刑シーン。
ずっと自分に「啓示」を与えてきた神によって、自分は必ず解放される、と
これまで信じてきたジャンヌだったのですが、
未だに"救いの手"はなく、刑場に引き立てられている。
では、まだ幼いといえるほどの、あの日見た"あれ"は何だったのか。
彼女の束の間の回想が、ストーリーとなって語られていきます。
1400年代のフランス。
ジャンヌは片田舎の貧しい農家の家に生まれました。
当時ほとんどの農民がそうであったのと同様、字を読むこともできません。
13歳のその日、彼女は突然に眩い光を浴び、ある声を聞く。
そんなことが何回かあったのです。
はじめのうちは、誰に言っても信じてもらえないと思い、黙っていたのですが、
空に天使の顔を見て、
「フランスへ行け。王を助けよ。」
という声を聞くようになってからは、自分の役割を確信していきます。
とは言え、女性が戦争へ行くなどとは誰も考え付きもしない、
そういう時代です。
周りの人は気が狂ったと思うか、ばかにするかのどちらか。
それでも神の「啓示」を受けたと信じる彼女は、
自分の意志を貫き通し、ついに故郷を後にし旅立つ、と本巻はそこまで。
中世。
「ルネサンス」期に多少の科学的思考が芽生える時代以前のこと。
杉浦日向子さんの描く江戸以上に、
神や悪魔、迷信に囚われていた時代。
だから「天啓」だと言われればそれは確かにあったのだろうし、
でも逆にそれは"異端"と呼ばれる危険なことでもあったのでしょう。
しかし、著者はここに一人、現代に近い思考をする人物を登場させます。
それは教会の司祭。
彼はジャンヌに警告します。
「神の声を聞いたという者に過去に何回か会ったけれども、
彼らは皆"逃げたい現実"を持っていた。
もしお前がそうではないというのなら、
それでも人はその"声"に心を囚われてはならない。
それをすれば、お前の身が滅びる・・・。」
神の「天啓」というのは、実は当人の精神の変調なのではないか・・・という、
現代的見地を彼が代弁しているわけですが、
物語はそれについての答えを出しません。
多分最後までそれはないのでしょう。
私たちは、彼女がどのようにそれと向き合うのかを見守るのみ。
今後の展開が楽しみです・・・、
と言うか、結末はわかっているのですが。
「レベレーション(啓示)1」山岸凉子 講談社モーニングKC
満足度★★★★☆
レベレーション(啓示)(1) (モーニング KC) | |
山岸 凉子 | |
講談社 |
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山岸凉子さんの新しい物語が始まりました。
「レベレーション」は、英仏の100年戦争時にフランス軍を率いて戦ったという、
ジャンヌ・ダルクを描いた作品です。
バレエでも怪奇ものでもなく・・・というのは意外な気がしますが、
考えてみたらあの「日出処の天子」も、歴史上の人物を描いたものでしたね。
この表紙のように、強く刺すような目をした少女がどのように生きていくのか、
しっかり見届けたいと思います。
冒頭にまず、いきなりジャンヌの処刑シーン。
ずっと自分に「啓示」を与えてきた神によって、自分は必ず解放される、と
これまで信じてきたジャンヌだったのですが、
未だに"救いの手"はなく、刑場に引き立てられている。
では、まだ幼いといえるほどの、あの日見た"あれ"は何だったのか。
彼女の束の間の回想が、ストーリーとなって語られていきます。
1400年代のフランス。
ジャンヌは片田舎の貧しい農家の家に生まれました。
当時ほとんどの農民がそうであったのと同様、字を読むこともできません。
13歳のその日、彼女は突然に眩い光を浴び、ある声を聞く。
そんなことが何回かあったのです。
はじめのうちは、誰に言っても信じてもらえないと思い、黙っていたのですが、
空に天使の顔を見て、
「フランスへ行け。王を助けよ。」
という声を聞くようになってからは、自分の役割を確信していきます。
とは言え、女性が戦争へ行くなどとは誰も考え付きもしない、
そういう時代です。
周りの人は気が狂ったと思うか、ばかにするかのどちらか。
それでも神の「啓示」を受けたと信じる彼女は、
自分の意志を貫き通し、ついに故郷を後にし旅立つ、と本巻はそこまで。
中世。
「ルネサンス」期に多少の科学的思考が芽生える時代以前のこと。
杉浦日向子さんの描く江戸以上に、
神や悪魔、迷信に囚われていた時代。
だから「天啓」だと言われればそれは確かにあったのだろうし、
でも逆にそれは"異端"と呼ばれる危険なことでもあったのでしょう。
しかし、著者はここに一人、現代に近い思考をする人物を登場させます。
それは教会の司祭。
彼はジャンヌに警告します。
「神の声を聞いたという者に過去に何回か会ったけれども、
彼らは皆"逃げたい現実"を持っていた。
もしお前がそうではないというのなら、
それでも人はその"声"に心を囚われてはならない。
それをすれば、お前の身が滅びる・・・。」
神の「天啓」というのは、実は当人の精神の変調なのではないか・・・という、
現代的見地を彼が代弁しているわけですが、
物語はそれについての答えを出しません。
多分最後までそれはないのでしょう。
私たちは、彼女がどのようにそれと向き合うのかを見守るのみ。
今後の展開が楽しみです・・・、
と言うか、結末はわかっているのですが。
「レベレーション(啓示)1」山岸凉子 講談社モーニングKC
満足度★★★★☆