映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

イニシエーション・ラブ

2016年01月02日 | 映画(あ行)
都会の絵の具に染まらないで帰って・・・



* * * * * * * * * *

青春ラブストーリーが最後の2行で驚愕のミステリへ変貌するという、
乾くるみさん原作の映画化。
ラストにどんでん返しがあるということで、
公開時に興味はあったのですが、見逃していました。



1980年代後半の静岡、そして東京が舞台です。
奥手な大学生鈴木(松田翔太)が歯科助手のマユ(前田敦子)と出会い、
付き合うようになるsideA。
その後、東京へ行った鈴木と静岡に残ったマユの遠距離恋愛。
そして、東京の女、美弥子の出現を描くsideB。



ごく普通の物語のように思われます。
特に、マユが東京へ出る鈴木を見送るシーンに流れる「木綿のハンカチーフ」。
♪都会の絵の具に、染まらないで帰って♪
もうこれでこの二人の運命もわかったような気にさせられますが・・・。
そして実際その通りにストーリーは進んでいきます。
一体どこにどんでん返しになる可能性があるのか、全然わかりません。

・・・が、実際、ラストには驚かされました!

巧みに罠が張り巡らされていました。
う~ん、参りました、という感じ。



まあヒントといえば、なぜ繭子が、
いくらなんでもこんなにサエない鈴木にこんなに興味を持って近づいてくるのか、
という辺りですね。
甘えるように呼びかける「たっくん」が、すでに罠であるという。



電話機に送信者が表示される今の電話では成り立たないストーリーなのかも。
だから、ギリギリ80年代なのでしょうね。
バックにこの頃のヒットソングが流れます。
「ルビーの指輪」、「君は100%」、「SHOW ME」・・・
私の年では、今流行の曲はわからないけれども、
この辺りのヒット曲にはすごく馴染みがあるので、なんとも懐かしい。


イニシエーション・ラブとは、子どもが大人になる恋愛の通過儀礼。
純情な大学生鈴木はその通過儀礼を経て大人になったのか?
・・・いや、そうではなく。

イニシエーション・ラブ DVD
松田翔太,前田敦子,木村文乃,森田甘路
バップ


「イニシエーション・ラブ」
2015年/日本/110分
監督:堤幸彦
原作:乾くるみ
出演:松田翔太、前田敦子、木村文乃、三浦貴大

驚愕度★★★★☆
満足度★★★★☆