老スタローンもまた良し
* * * * * * * * * *
ロッキーは1作目からもう40年になるのだそうですが、
これはまたそのロッキーの流れをくむ新たな物語。
ロッキーのライバルであり朋友であったアポロ・クリードの息子、
アドニス・ジョンソン(マイケル・B・ジョーダン)の戦いが始まります。
アポロ・クリードの息子と言っても、いわば隠し子。
私生児として生まれ、母もすぐに亡くなったため、施設で育ちました。
彼は施設の生活の中で、ケンカに強くなければ生きていけない、
そういう闘争心を培ったわけです。
でもそんな少年時代、アポロの正妻に養子として引き取られます。
その後は母の愛を受け裕福に何不自由なく成長し、
会社へ就職、そして昇進も決まった。
いわば順風満帆の生活。
しかし、そんな中で彼が本当にやりたいこと、ボクシングへの情熱がくすぶっていた・・・と。
それはまた、彼が生まれる前にすでに亡くなっていた偉大な父・アポロ・クリードへの憧れでもあるのです。
彼はついに会社をやめ、フィラデルフィアのロッキー(シルベスター・スタローン)の元を訪れ、
彼にトレーナーになってほしいと頼むのです。
おお、出ました! ロッキー!
ロッキーのシリーズはずっと見ているので、彼が急に老けたとは思いませんが、
さすがにもう、若々しくはありません。
始めは渋っていた彼も、アドニスの熱意に負けて指導を引き受けます。
しかし、そんな中ロッキーの体調が崩れて・・・。
本作は、もちろんこれまでのロッキーを見たことがない方が見てもいいと思うのですが、
若き日のロッキーを知っている人のほうが、より感慨も大きいのではないかと思います。
これは別に若き日のロッキーのノスタルジーではない。
多くの人は、この若く強かったロッキーとともに
年齢を重ねて生きてきたわけなんですよね。
だから、老ロッキーにすごく自分を重ね合わせてしまうのです。
体が重くなって動きが鈍くなり、肌の艶も失われ・・・。
でも、ただこれでおしまいにしてしまうのは惜しい。
まだ何かできるのではないか。
自分を必要とする人のために・・・。
そんな風に自分でも思っているのです。
なんだかジーンとしてしまうほどに、ロッキーがアドニスを見る目が終始優しいのですよ。
もちろん練習はキビシイ。
けれども、彼の、若き弟子を愛おしみ包み込むような目は、若い頃にはなかったものです。
私はシルベスター・スタローンの特別なファンなどではないのですが、
この期に及んで、この老スタローンもいいなあ~、と思ってしまいました。
ロッキーが練習メニューのメモを書いてアドニスに渡そうとするのですが、
アドニスはスマホのカメラでパチリ。
メモの紙を持って行こうとしません。
「おい、そのケータイをなくしたらどうするんだ。」
「クラウドにあるから大丈夫。」
クラウド・・・?
わけが分からず、空の雲を見上げるロッキー。
たまりませんねえ。
ロッキーよ、お前もか。
今時のテクノロジーについていけない年寄りだ・・・。
だから私たちも余計親しみを感じてしまうわけです。
そんなわけで、このアドニスも
昔のようにただ「ど根性」を振りかざす泥臭いボクサーではない。
どこか現代風な若者像のようでもあり、
時代が変わったことを思い知らされるのです。
けれど、最後の最後に力を振り絞って戦う。
この姿は今も昔も私たちの心を熱くさせます。
あのロッキーのテーマは封印され、ほんの少しだけさわりのフレーズが使用されるのみ。
ザンネンではありますが、これはこれでいい。
パンチの音が「ズシン」と骨に応えるような音を出していました。
なかなかの迫力。
実は、また似たようなボクシングのサクセス・ストーリー?と思っていたのですが、
なかなかどうして、ただそれだけではない、素敵な作品でした。
「クリード チャンプを継ぐ男」
2015年/アメリカ/133分
監督:ライアン・クーグラー
出演:マイケル・B・ジョーダン、シルベスター・スタローン、テッサ・トンプソン、フィリシア・ラシャド、アンソニー・ベリュー
老いもまた良し度★★★★☆
シリーズの後継度★★★★☆
満足度★★★★☆
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ロッキーは1作目からもう40年になるのだそうですが、
これはまたそのロッキーの流れをくむ新たな物語。
ロッキーのライバルであり朋友であったアポロ・クリードの息子、
アドニス・ジョンソン(マイケル・B・ジョーダン)の戦いが始まります。
アポロ・クリードの息子と言っても、いわば隠し子。
私生児として生まれ、母もすぐに亡くなったため、施設で育ちました。
彼は施設の生活の中で、ケンカに強くなければ生きていけない、
そういう闘争心を培ったわけです。
でもそんな少年時代、アポロの正妻に養子として引き取られます。
その後は母の愛を受け裕福に何不自由なく成長し、
会社へ就職、そして昇進も決まった。
いわば順風満帆の生活。
しかし、そんな中で彼が本当にやりたいこと、ボクシングへの情熱がくすぶっていた・・・と。
それはまた、彼が生まれる前にすでに亡くなっていた偉大な父・アポロ・クリードへの憧れでもあるのです。
彼はついに会社をやめ、フィラデルフィアのロッキー(シルベスター・スタローン)の元を訪れ、
彼にトレーナーになってほしいと頼むのです。
おお、出ました! ロッキー!
ロッキーのシリーズはずっと見ているので、彼が急に老けたとは思いませんが、
さすがにもう、若々しくはありません。
始めは渋っていた彼も、アドニスの熱意に負けて指導を引き受けます。
しかし、そんな中ロッキーの体調が崩れて・・・。
本作は、もちろんこれまでのロッキーを見たことがない方が見てもいいと思うのですが、
若き日のロッキーを知っている人のほうが、より感慨も大きいのではないかと思います。
これは別に若き日のロッキーのノスタルジーではない。
多くの人は、この若く強かったロッキーとともに
年齢を重ねて生きてきたわけなんですよね。
だから、老ロッキーにすごく自分を重ね合わせてしまうのです。
体が重くなって動きが鈍くなり、肌の艶も失われ・・・。
でも、ただこれでおしまいにしてしまうのは惜しい。
まだ何かできるのではないか。
自分を必要とする人のために・・・。
そんな風に自分でも思っているのです。
なんだかジーンとしてしまうほどに、ロッキーがアドニスを見る目が終始優しいのですよ。
もちろん練習はキビシイ。
けれども、彼の、若き弟子を愛おしみ包み込むような目は、若い頃にはなかったものです。
私はシルベスター・スタローンの特別なファンなどではないのですが、
この期に及んで、この老スタローンもいいなあ~、と思ってしまいました。
ロッキーが練習メニューのメモを書いてアドニスに渡そうとするのですが、
アドニスはスマホのカメラでパチリ。
メモの紙を持って行こうとしません。
「おい、そのケータイをなくしたらどうするんだ。」
「クラウドにあるから大丈夫。」
クラウド・・・?
わけが分からず、空の雲を見上げるロッキー。
たまりませんねえ。
ロッキーよ、お前もか。
今時のテクノロジーについていけない年寄りだ・・・。
だから私たちも余計親しみを感じてしまうわけです。
そんなわけで、このアドニスも
昔のようにただ「ど根性」を振りかざす泥臭いボクサーではない。
どこか現代風な若者像のようでもあり、
時代が変わったことを思い知らされるのです。
けれど、最後の最後に力を振り絞って戦う。
この姿は今も昔も私たちの心を熱くさせます。
あのロッキーのテーマは封印され、ほんの少しだけさわりのフレーズが使用されるのみ。
ザンネンではありますが、これはこれでいい。
パンチの音が「ズシン」と骨に応えるような音を出していました。
なかなかの迫力。
実は、また似たようなボクシングのサクセス・ストーリー?と思っていたのですが、
なかなかどうして、ただそれだけではない、素敵な作品でした。
「クリード チャンプを継ぐ男」
2015年/アメリカ/133分
監督:ライアン・クーグラー
出演:マイケル・B・ジョーダン、シルベスター・スタローン、テッサ・トンプソン、フィリシア・ラシャド、アンソニー・ベリュー
老いもまた良し度★★★★☆
シリーズの後継度★★★★☆
満足度★★★★☆