シニア演劇全国大会が終わって、一息つく間もなく、新作『お遍路颪』の稽古に入った。ぎりぎり頑張ったシニアの女優陣には、惨いようだが、引き続きの出番だ。口には出さないけど、きっと不満たらたらだろうな。ちっとは休ませてよって。わかってる、わかってる。でも、心を鬼にして、手伝ってもらうことになった。若手女優3人じゃどうしたって無理だもの。文句も言わず稽古に出てくる女性たち、ありがとう!
どうせ出てもらうなら、これまでまったく経験したことのないような芝居にしよう。菜の花プラザの看板路線、軽く明るくコミカルに!とは正反対の、重く暗くシリアスに!で行ってみよう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/89/04fcb4fa6f42b9316332736f00bd88c6.jpg)
題材の秩父事件については、すでに解説した。秩父の山奥の村々を舞台におこった農民蜂起をなぞりつつ、その事件の裏側に目を注いだ作品だ。テーマは、女と男。事件から10年後、あるいは刑死し、あるいは逃亡し、あるいは殉職した男たちの妻や母たちがお遍路となって秩父の寺々を巡り、やはり事件で主人を失った遍路宿に投宿する。そこに現代の女性二人が時間を超えて引きづり込まれる、という設定だ。
このプラザに通うようになった頃から、玄関前の野外劇場には心惹かれるものがあった。古代ローマの円形劇場をちらっと、あくまでちらっと思い浮かばせるような造りは、中央に立って、朗々とせりふを発するにふさわしい仕掛けだ。舞台奥につながる天神森は、神々の居所のようで、舞台奥壁の中央に開かれた天神森に通じる道は、天の岩屋への暗い洞窟を彷彿とさせるものがある。
こんなスペースで演じる芝居と言ったらなんだろう?闇夜を彩るかがり火に相応しい芝居、自然の懐に深くかき抱かれた芝居。神々しい生と死、愛と憎しみ、戦いと挫折。コンクリートの舞台構造などものともしない圧倒的な実在感。解き放たれた空間を縦横に疾駆する役者たち。炎にぎらぎらと照らし出される顔。星空を背景に語る亡き夫への挽歌。
声は通らない。照明は限られる。場合によっては降り敷く雨の中での公演になるやも知れない。マイナス要素は数限りない。楽屋はどうする?雨天の際の観客対応は?越えていかねばならぬ課題は山積みだ。もしかしたら、ここまでか細く繋がってきた菜の花座の奇跡という名の幸運も断ち切られる公演となるかもしれない。大失敗に打ちのめされ、再起不能に陥る可能性だって浮かんでくる。無難にホールでやったら、心の底のつぶやきは、きっとみんなのものだ。
でも、やっぱりやる。今がこの大冒険に相応しい時期なのかどうかはわからない。劇団としてもっと成熟するのを待つべきなのかもしれない。力量が整ったとはとても言い難い。相変わらずのスタッフ不足だ。役者だって、シニアの手助けでどうにかこうにかだ。でも、でも、でもやっぱりやる。
もう書いてしまったし、もうやるって宣言しちまったし、人間も劇団も、どっかで闇雲に跳んでみる時があるんだと思う。
それにしても、暗い芝居なんだ。本読み終えたメンバーの第一声が、暗い!だった。お客さん、来てくれるだろうか?それも心配だ。そう、そこも冒険!
どうせ出てもらうなら、これまでまったく経験したことのないような芝居にしよう。菜の花プラザの看板路線、軽く明るくコミカルに!とは正反対の、重く暗くシリアスに!で行ってみよう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/89/04fcb4fa6f42b9316332736f00bd88c6.jpg)
題材の秩父事件については、すでに解説した。秩父の山奥の村々を舞台におこった農民蜂起をなぞりつつ、その事件の裏側に目を注いだ作品だ。テーマは、女と男。事件から10年後、あるいは刑死し、あるいは逃亡し、あるいは殉職した男たちの妻や母たちがお遍路となって秩父の寺々を巡り、やはり事件で主人を失った遍路宿に投宿する。そこに現代の女性二人が時間を超えて引きづり込まれる、という設定だ。
このプラザに通うようになった頃から、玄関前の野外劇場には心惹かれるものがあった。古代ローマの円形劇場をちらっと、あくまでちらっと思い浮かばせるような造りは、中央に立って、朗々とせりふを発するにふさわしい仕掛けだ。舞台奥につながる天神森は、神々の居所のようで、舞台奥壁の中央に開かれた天神森に通じる道は、天の岩屋への暗い洞窟を彷彿とさせるものがある。
こんなスペースで演じる芝居と言ったらなんだろう?闇夜を彩るかがり火に相応しい芝居、自然の懐に深くかき抱かれた芝居。神々しい生と死、愛と憎しみ、戦いと挫折。コンクリートの舞台構造などものともしない圧倒的な実在感。解き放たれた空間を縦横に疾駆する役者たち。炎にぎらぎらと照らし出される顔。星空を背景に語る亡き夫への挽歌。
声は通らない。照明は限られる。場合によっては降り敷く雨の中での公演になるやも知れない。マイナス要素は数限りない。楽屋はどうする?雨天の際の観客対応は?越えていかねばならぬ課題は山積みだ。もしかしたら、ここまでか細く繋がってきた菜の花座の奇跡という名の幸運も断ち切られる公演となるかもしれない。大失敗に打ちのめされ、再起不能に陥る可能性だって浮かんでくる。無難にホールでやったら、心の底のつぶやきは、きっとみんなのものだ。
でも、やっぱりやる。今がこの大冒険に相応しい時期なのかどうかはわからない。劇団としてもっと成熟するのを待つべきなのかもしれない。力量が整ったとはとても言い難い。相変わらずのスタッフ不足だ。役者だって、シニアの手助けでどうにかこうにかだ。でも、でも、でもやっぱりやる。
もう書いてしまったし、もうやるって宣言しちまったし、人間も劇団も、どっかで闇雲に跳んでみる時があるんだと思う。
それにしても、暗い芝居なんだ。本読み終えたメンバーの第一声が、暗い!だった。お客さん、来てくれるだろうか?それも心配だ。そう、そこも冒険!