ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

いろいろあるもんだ、本番は!

2015-06-06 07:59:36 | シニア演劇
 本番の朝、朝食の会場で、一大事故勃発を告げられた。

 主役のヒロコさん、声が出ないぃぃぃ!!!

 声がかすれると、前夜祭でもジュースで済ませていたが、とうとう、ものの見事に本番にどんぴしゃで発症してしまった。さあ、どうする?まずは、医者だろ。元看護士のナヲコさんが付き添って、最寄りの耳鼻科医院に行ってもらった。
 
 最悪の場合どうする?どうするったって、どうしよもないわけなので、ひたすら回復を祈るしかない。かすれていようと、小さかろうと、声さえ出れば、後はピンマイクを着けるとか、拾いマイクを使うとか、方法はある。二人が通院する間に、他のメンバーは会場で稽古することにした。

 練習会場は、パフォーマンス広場、すでにサックスやらトロンボーンを吹き鳴らす人たち、ジャグリングの稽古に精出す少女、社交ダンス練習の二人連れやブレイクダンスに熱中する少年たちなど、練習場所を求めてやってきた人たちが思い思い場所を取って稽古に励んでいる。その中に割り込むようにして菜の花プラザシニア団、人数多いから、いつの間にか円形舞台を独り占めしてしまった。



 まずはストレッチ、担当はノブコさん。地声の大きN01、反響するサックスの音にも負けず指示を出す。次は発声練習、こちらは代表の音頭取りながら、さっぱり聞こえず、みんなして小さく集まっては指示を聞き取り、元に戻って声を出した。響き渡るスイングジャズに負けまいと声を張り上げた。楽器の音でほとんどせりふが聞こえない中での通し小返し、細かいダメだしは出来ないので、ひたすら感を取り戻し、せりふを呼び戻すことを主眼におこなった。なんせ、まるまる2日間、まったく稽古していないのでね。

 途中、医者に寄ってきたヒロコさんとナヲコさんが合流。医者が、風ですね、2、3日すれば治ります、と言うのを、今日声が欲しいんです!と哀願・強要?して、薬ではなくきつ~~い注射を打ってもらったとのことで、どうにか声が聞こえる程度には回復していた。せっかく出始めた声をつぶしては大変なので、ヒロコさんには囁きで稽古に加わってもらった。

 どうにか通しも終わったので、昼食休憩、昼寝!さすがシニア!!メイク、衣装着け、そして、最後にダンスの合わせを行って、いざ本番!何度も立て込み練習をしておいたせいもあって、時間内でスムーズに終了できた。驚いたのは、我々の前の劇団、舞台が終わったら、道具の椅子なんか全部そのままにして、さっさと引き上げて行ったんだよ!なるほど片づけすべてスタッフがやることにしてたのか、だから大量にスタッフが必要だったんだ。照明、音響、舞台合わせて12~3人はいたな。でも、それって良くないことだぜ。シニアったって、元気な人多いんだから、自分の舞台は自分で撤収する習慣つけなくちゃ!甘やかしちゃだめよ、お年寄りだからって!舞台出るなら自分で仕込み・撤収!



 シニア団の舞台の方は、最初躓いて、あっ、やべっ!と心配したが、さすが代表、長い舞台経験にものを言わせて、どうにかこうにか辻褄を合わせてくれた。課題だった笑いの方は、川西以上に不発。どうもダジャレは人気がないようだ。井上さんがある時期からダジャレに決別していった理由も、そんなところにあったのかな。言葉遊びにもっともっと敏感になってほしいと思うんだけど。

 ヒロコさんの声は、しっかり気を張ってせりふを出してくれたお陰で、緊張感のある言い回しになって、普段以上の出来だったように思う。観客も400超と沢山入っていて、笑いはないものの、物語にはかしっと食らいついてくれているのが感じられた。散発ながら、ラストのダンスに手拍子も起こって、その後団員が聞いた感想も悪くなかったようだ。菜の花座シャツで動き回っていたカナミに、菜の花座のファンになりました!って声を掛けてくれた人も居たってことだから、まずまずだったのだと思う。

 続いての舞台は、仙台太白区の劇団「カトレアプロジェクト」、いや、これがなんともお見事!役者も個性的かつ巧みなら、演出も懲りに凝っていて、あの名作「ゴジラ」を疾風のごとく演じきった。これがシニア?シニアの可能性、大きく広げてくれてるなぁ!観客動員も圧倒的で、ほぼ満席。日頃からこの劇団の舞台を見慣れているのか、乗りも桁違いにいい。爆笑と拍手、時には声さえかかる大衆演劇的人気だった。凄い!高校生の好きな演目だけど、高校生以上に動きのある切れ味鋭い仕上がりだった。ただ、後で聞いた所では、今回はプロデュース作品で、劇団以外からも寄せ集めてのキャストだったってことで、ちょっと、がっかり、ちょっと安心。それでも、シニアにはこういうパロディもの、向いてるんじゃないか?って書いた前回の記事をさらに納得させるような舞台だった。

 東京のかんじゅく座の作品は、自衛隊にシニア部隊が作られたという斬新な設定、展開の面白さが予想されたてワクワクしたが、残念、反戦や反原発など作者の強い思いが溢れて出てしまって、ちょっと引いてしまった。どの主張にも大賛成なんだけど、せりふとしてしゃべらせるにはしっかり劇の中にはめ込まれてなくちゃいけないんじゃないかな?

 地元の劇団が登場したということもあって、観客数は、常に300を上回り、熱気溢れる会場だった。幕間の音楽や小演劇も好評だったようで、菜の花座は準備と片づけで今日は見られなかった、シニア演劇の祭典と呼んでもおかしくない盛り上がりを見せていた。鯨さんをはじめとする事務局の努力、並大抵じゃなかったろうな。地元劇団「まんざら」のメンバーも集客には半年掛けて積み上げたって言っていた。ご苦労様でした。劇都仙台の底力、まざまざと見せつけられた。

 

  
コメント
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