ここに書いてはいないけど、シニア演劇4期生も着実に講習の成果を上げている。ストレッチやって発声やって、今回はせりふの読みとエチュードだった。
せりふは、井上ひさしさんの『いーはとーぼの劇列車』の最終章、劇中劇で宮沢賢治に扮した死に行く農民のせりふ「ひろばがあったらなぁ・・・」を、ひとりひとり思いを込めて読んでもらった。劇の全体構造を説明し、このせりふが置かれた位置と、そこに託した井上さんの思いなどを話してから、たっぷりと時間をかけて黙読し、一人客席に向かって語りかけてもらった。
注意事項としては、気持ちは十分に入れつつも安易な感情表現、つまり泣きのせりふにならないこと。難しいんだけどね。幸い、今回の受講生には変に上手い、生半可自信のある人がいなかったので、全員、とてもすなおに読めていた。
休憩の後、今度はエチュード、初めての挑戦だ。設定、友人同士二人、片方はなんとか借金を頼みたい、片方は適当にはぐらかし逃げる、その攻防ということにした。3組に組み分けをしていざやってみると、これがなかなか面白い。目星を付けていたとおり、巧みにちゃらんぽらんな男を演じる男性。居酒屋の暖簾をくぐる格好なんか唸るほど様になっていた。生真面目一筋、役に成りきるには少し壁があるかなと思っていた女性は、迫真の演技でねっとりと金を貸してくれないかと繰り返し、あまりのリアルさに、見ている方も声を呑むほどだった。
次の設定は、井上さんのコントからヒントを得たもの。会社の上司と部下、ただし、二人は幼なじみで、少年時代部下はガキ大将として上司を事ある毎に庇ってきたという設定。他の社員の前では、会社の上下関係で動いているが、ひとたび他人の目が無くなると、途端に部下は大きな態度に出て上司に無理難題をふっかける。うーん、かなり複雑で難しい。でも、まずものは試しでやってみた。
ひたすら律儀に部長役をこなす人がいたと思えば、無能な上に図々しく人間関係に無頓着な部下を熱演する女性もいたりと、与えられた設定からまるではみ出してはいたが、これはこれで面白いキャラクターコントになっていて、感心した。事務局の仕事をこなしつつ講習にも参加しているGさんもそつのない演技で上手に芝居を回していた。
見えてきたぞ!4期生の人柄が。いや、得意技とか固有の動きとか考え方とか、いろんなことが見えてきた。11月の本舞台で使いたいような滑稽なやり取りやコミカルな仕草とかもいろいろあった。そうか、この人ならこんなこと出来そうだ、とか、このシチュエーション生かしたいな、とか、この仕草はぜひ組み込もうとか、台本書きとして大いにそそられた。
うん、これなら出来る!これなら書ける!これなら喜劇だ!
これから何度か繰り返して、もっともっと正体をつかみだそう。さらに芝居にかける思いや、役に対する願望なんかも聞き取りしつつ、来月にはいよいよ台本執筆の開始だぁぁぁぁ!