で、初の音響さん、結果の方は?
中盤まではバンバンよぉ、ミスもなし、音量も適切。いや、そんなことより、会場が舞台に引き付けられていい雰囲気。何故、わかんの?客席の様子。そりゃ音響さん兼記録係だからね、音出し済ますと、一気に走って客席奥の扉から覗いちゃパチ、パチ、パチリ!してたわけさ。
オープニングのダンスも次の手品もさらには歌もドジョウ掬いも、客席と出演者がほぼ一体になってた。客席のおしゃべりも比較的少なくて、舞台に見入る人の方が断然多い。よしよし。
ところが、民話一人芝居になって徐々にその舞台への集中が途切れてきた。そう、酒が回り出したんだよ。もともと舞台に興味薄の男たちの声高のおしゃべりが堰を切ってあふれ出した。声が聞き取り難いことがますます拍車を掛けて、舞台なんてやらせとけ、酒宴は賑やかに楽しみゃいいんだ、ってほら、結婚披露宴のスピーチ状態になっちまった。
音響さんとしちゃ慌てたねぇ。なんとかバウンダリーマイクの音量上げて、役者の声、拾おうとするんだけど、ボリュームいっぱいに上げると、ハウリングしてしまうんだ。必死でフェーダーと取っ組み合ってみたが、結局諦めるしかなかった。悲惨な状況は、次のコントでも続いて、
ついには主催者の一人が、ハンドマイクを舞台に上げてくれたりもしたが、動き回る役者たちの声を拾えるわけもなく、聞こえない!の不満が次々寄せられる中、最後まで押し切るしかなかった。
この宴会場公演に対処するために買い込んだ新兵器・バウンダリーマイクだったが、目論見はもろくも打ち破られてしまった。舞台の音を拾う、たって、ハンドマイクを口元に付けて話すような具合にゃ行かない、考えてみりや当たり前のことだ。そんな高性能だったら、セリフ以外の足音からなにやらみーんな拾っちまう。バウンダリーマイクってやつはあくまで、舞台の補助用なんだよな。
ここまで盛り上がった酒席を制圧するとすれば、出演者全員がピンマイクを着けるしか方法はない。が、そんなことまでしてコントをやる意味があるのか?って根本の問題にぶち当たる。それより、ガンガン流せる音楽をバックに歌や踊りで舞台を構成する方が、現実的な対策かもしれない。ダンスのレパートリーを増やしたり、ドジョウ掬いみたいなコミカルな踊りや日本舞踊演歌ショー的なものを取り入れるってことだろうな。立ち回りとか、アクロバティックな演技とかできると良いんだけどねぇ。まっ、そこまで行くと劇団というより、芸能集団ってことになっちまうから、そこまでやる意味があるか?ってことだよ。
声を掛けてくれた主催者のAさんの、声、聞こえなかった、と不満の声に、いたく恐縮したが、片付けの際、近くの寺院の和尚さんから、お寺の夏祭りに出てくれないか、との熱心なオファーをいただけたので、見る人は見ているってことで少し気分は持ち直せた。
そうなんだよ。別にこっちの演技が拙いとか、失敗したとかじゃないんだもの。でかい顔してりゃいいんだ。酒席をコントで制圧しよう、なんて思惑がそもそもの誤りだったってことさ。ただ、まだ酒が回らず、舞台への興味関心が薄れぬうちにコントや民話劇をやってしまえばよかったんだ、という反省はたしかにある。席が乱れ始めたら、見るだけでわかる出し物にする、こうプログラムを組めば良かったんだ。そこは、明らかに、構成・演出の大きなミスだ。ゴメン!騒がしい中で最後までやけにならずに頑張って演じてくれた役者たち。本当に、つらい思いをさせてしまった。改めて、ゴメン。