まあね、自然てのは毎年繰り返すもんだから、農業だって、基本は前年踏襲、慣習尊重なんだが、そこはやっぱり生き物相手、何から何まで同じってわけにゃいかんさ。
今年みたいな真夏日ほとんどゼロの夏だってあるわけだし、蝶々の登場も、去年の乱舞が嘘のよう。蜂もめっきり少なくなった。おっと、これは、多分農薬のせいだけど。
同じ品種植えたって、苗の育ち具合やその後の生育の仕方で収穫は大きく異なったりする。まして、新しい品種だったりすりゃぁ、所詮メロンはメロンなんて行かない場合も多い。
そう、今年の加工トマトはまったくの想定外だった。今までの品種とは明らかに違う。知り合いに分けてもらう苗だから、わからない、贅沢は言えない。
まず、実の着きが遅い!夏場はじゃかじゃか枝葉が茂るだけ、実なんてなるんかい?って有様だったが、秋に入って伸び放題のぶっとい茎がべたりと左右に倒れた、と思ったら、小さなトマトがたっぷりついていた。
これはとれるゾ!熟すのが楽しみじゃ、と、しばし日をあけていざ収穫!な、なんじゃい、赤く色づいた実はみんな虫に食われてるじゃないか!ほら、加工トマトって地這いだろ、いくら藁で株元をマルチしてやっても地面に接する部分は腐り易いわけさ。しかも、実割れがひどい!収穫適期の実は、ほぼ全滅!あちゃちゃ。
熟すそばから割れ、色づけば途端に虫が侵入!せっかく立派に育ったっていうの、最後の最後に諦めろ、って言うのかよ。ここまでの苦労がすべて水の泡?!生食トマトで2回ケチャップは作っているが、1年通して自家製で賄うにゃ、あと2回、ウィスキー瓶にして6本は必要だ。加工トマト、あてにしてたのにぃぃぃ。
虫に食われるくらいなら、まだ青さが残るうちにとっちまっえ。若いうちなら実割れも少ない。家の中で少しは赤く色づくだろう。
青いままならそれはそれ、隣家の鶏さんにやればいい。虫にやられよりはいいさ。で、ともかく、とるだけとった。
それから1週、2週。見てくれ、この色づき!左が1週間前収穫のもの、右は2週間前。
なんと、見事に色づいてるじゃないか。早めに収穫したので、傷みもほとんどない。これなら煮るにゃ十分だ。よしよし、この調子で早め早めに摘み取っていって、後で追熟させりゃ、かなりの量、収穫できるってことだ。
これぞ臨機応変の対応ってやつだよ。加工トマトは熟してから収穫、って頭にこびりついてた先入観を取っ払えば、ちょっと品種に問題あっても、天候が意に添わなくても、なんとかなるってことだ。状況に合わせて作戦を変えれば、窮地を脱することができる、これ、何事によらず真理だよな。
臨機応変で行き詰まりを突破せよ!なんて、言うほどのことじゃないか。