こうまで急速流行するとは思わなかったぜ、コロナ第3波!「日本人は命令されなくても3密回避のマスク着用、民度が違うんだ」なんてたわごと、言ってないで、しっかり備えをしとけばよかったのに。ベッドは増やさない、(いやそれどろこか減らす施策に予算付けてる)、医療従事者への手立てもしない、PCR検査は相変わらずの少数しみったれ実施?!挙句は国会議員が検査前に亡くなるわ、待機施設で軽症者が朝にはご遺体。ある意味、政府による故殺じゃねえか。
毎日数字で届く死者の数。そこには一人一人掛け替えのない人生の終焉があるってことを想像しようぜ。十把一絡げにコロナ死、じゃ犠牲者だって浮かばれない。って、ことで、死者にお線香をあげるつもりで、コント?を一つ。菜の花座公演『ディスタンス』の中の1話だ。
第13話『孤独な死』
病院の遺体安置所。コロナで死んだ男、台上に横たわっている。服装は、病院のパジャマの上にビニールの納体袋ですっぽり覆われている。苦しがって、顔の前のビニールの合わせ目から無理やり顔を出す。
男 く、く、苦しい!ふう、死ぬかと思った。なんだよ、ビニールなんかでくるみやがって!俺は生ごみじゃねえぞ。入院中の患者に、なんて扱いだい。
体を撫でまわして、
あれっ?管とか付いてねえなぁ。誰だよ、抜いちまったのは。あれなかったら呼吸できねえんだぞ。コロナで肺やられてんだからな。咳き込み続いて、息すんのも容易じゃねえんだ。
わかってんのか?咳が続いてそのわずかな合間に空気吸う苦しさ。胸、締め付けられるんだぞ。熱で頭ん中スズメバチが飛び回ってそこら中に毒針刺してやがんだ。つれぇんだよ!苦しいんだよ!助けてくれよ。
って、咳?出てねえなぁ。胸、苦しく、ない。頭、ぽわぁんとしてるけど痛かない。
あれっ、あれれ、あれれれれっ!
ってことは。ってことはだよ。俺、死んだんだ。
あらら。ダメだったんだ。なんとなぁ!あっけねぇなぁ。死んじゃったよ、俺。
死んだ、死んだんだ。・・おらは死んじまっただぁ、おらは死んじまっただぁ、天国行っただぁ
と、踊る。ふと気づき、
・・・って、ここ、天国じゃねえし。
それに、この恰好。死装束ってないのかよ。白い着物とか、三角の布とか。ベッドにいた時のまんま。ビニールでぐるぐる巻きしやがって。きっと死に水だって取ってないんだろうな。
こんなんで、成仏しろってのかよ。いっくら感染の恐れありったって、酷いだろ。
もしかして、このまんま、焼き場直行?坊主のお経もなし?それって、それって、生ごみの焼却処分と同じだろうが!
地獄だよ、行先は絶対地獄だ!嫌だよ、地獄。助けてくれよ、天国、天国だろうが、行くなら。
天国良いとこ一度はお出で、酒は美味いしねぇちゃんはきれいだ・・・
踊る。が、むなしくなって、
そりゃ身寄り頼りなしの天涯孤独のジジイだよ。でもさぁ、友達とか知り合いくらいはいるんだぜ。線香の1本も手向けたいって人だっているんだぜ。
大切な女(ひと)、だっているんだぜ。
一目会うこともなしかよ。お別れもなしかよ!
このまま、骨になるのかよ!
俺が何したって言うんたよ。
良いことしてもいないが、悪いことだってしてないぜ。
なのに、俺が何したっていうんだよ!
会いてえなぁ、女将!一緒にビール飲みてぇなぁ。食いてえなぁ煮込み!
第13話 完