ネトフリドラマばっかり見てるわけじゃないからね。
そうさ、本だって読むんだ。って力まなきゃいけないあたりが、老化進行形の今ってところかな。
以前なら、面白けりゃずんずん読み進んだもんだけど、最近はすぐに飽きが来ちまう。小説なのに、3日も4日もかかったりして、もう、どこまで根性なしなんだ、喝!
久しぶりの伊坂幸太郎『マリアビートル』もそう。
面白いのさ、たしかに。
これって何かに似てるなぁって、あぁ、そうだ!ルービックキューブだ。
話しのほとんど東北新幹線、東京=盛岡間の車内で進む。ほら、すっごく限定的だ。さらに登場人物はほぼ全員殺し屋!何人いるんだ?9人か?10人か?それが次々と動いて、動かされてしだいに正解への進んで行く。ほら、同じ立方体が組み合わさったキューブと同じだろ。
違いと言ったら、殺し屋の人柄、得意技、行動パターン。一つの立方体が一人の殺し屋だとすると、色の違いとか材質や肌触りが異なってる進化系のルービックキューブだな。
頭使って、ゲームが進む、ってところ、まさに、ルービックキューブさ。
この小説、ハリウッドが映画化するってうたい文句に引きずられて読んだんだが、うーん、難しいよなぁ。ブラッド・ピット主演って言うんだけど、ブラピが似合いそうな登場人物なんているのか?
って、首を傾げちまうのは、伊坂幸太郎独特のコミカルで強引な作りにある。殺し屋一人一人、えっそんな!ってキャラになってるんだが、一人だけネタバレさせると、機関車トーマスが大好きで常にこの童話を引用しながら行動する殺し屋とか。
なっ、突っ切っちまてるだろ。他にもぞろぞろ驚きのキャラと奇想天外の展開が最後の最後まで待ち受けている。
こういう、人を食ったようなエスプリが好みの読者には堪えられない作品だぜ。随所にちりばめられた蘊蓄も納得するもがある。例えばルワンダの虐殺を例に「人間は同調する生き物なんだ」とかな。
でも、ここいらは嗜好の分かれるところだ。シリアスな殺し屋サスペンスがお好みの人には、なんじゃこれ!?の語り口だろうし、洒落た謎解きの連続技が好きな人でも、やり過ぎだろ!って、なんかオタクのマニアックさを感じてしまう。
閉じられた空間、限られた時間の中で、目一杯殺し合いさせるとなると、どうしたって、無理・無茶な荒技を繰り出さざるを得ない。ラストの大楕円を導く伝説の殺し屋夫婦、あっ、言っちゃった!なんて、もう、ずるいよ、そこまでやっちゃルール違反だろ!って本を投げ出したくなろうってものだ。
だが、それが伊坂幸太郎!それぞ、伊坂の本領ってほくそ笑める人たちにはたまらないノワールスイーツだろうな。
ちなみに、ほっと一息つける紅茶やコーヒー、あるいは味わい深いウィスキーワンショットなんてまるで用意されていないから、読む人はそのおつもりで!
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