そんなことはありえないと科学者は言うけれど 2-14・9・5
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50年以上飲まず食わずで生きていた 聖女ギリバラ
かなり前にTVの特番で何も喰わず飲まずで生きているという
ヨギ(現存)を紹介していたが、そのコメントで日本の学者が
”そんなことは考えられない。
まず、有り得ません。” と 事実を容認しがたいと言っていた。
ヨガナンダ師がアメリカに渡ったのちもなお、インドを訪れて
会いたいと思い続けていた人に名もなき聖女がいた。
その人は、弟の家庭教師をしていた人から若いころ聞かされた
人だった。
ベンガル州の小さな村で、人知れず、50年の間 何も食べず、
飲まず、したがって排泄物も何もないといわれていた。
そのエピソードをあるヨギの自叙伝の第46章からご紹介したい。
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その断食の聖女の名前は ギリバラと言った。
ヨガナンダ師の言葉を引用すると:
”私は 弟の家庭教師をしていたスティーティー・ラール・
ナンディ―氏から初めて彼女の話を聞いたのだ。彼はこう
話してくれたー
’ギリバラのことを良く知っています。 彼女は食べ物を
取らずに食べて生きてゆくことのできる、あるヨガの
テクニックを用いているのです。
私は以前 イチャプールの近くのワーフガンジーにいた
とき、彼女の家のすぐ隣に住んでいました。
私は 特に気を付けて彼女を観察していたのですが、
食べたり飲んだりした形跡は一度も見つけることが
できませんでした。
あまり不思議だったので、私はとうとうある手づるを得て、
バードワンの大公に調査を薦めてみました。”(引用終わり)
こういうわけで、大公はギリバラを宮廷に招いて、テストをした。
宮廷の中、ある部屋に軟禁状態になり、2か月間 ギリバラが
食事をとらなくても生きれるかどうか、所謂 実験を試みた。
それが証明されたが、さらに、20日間、そして三度目には15日間
の宮廷滞在で厳重な審査を受けた結果、やはり、いずれも、
ギリバラが完全な絶食状態でいるということを断定したというのだ。
この話をヨガナンダ師はその家庭教師から聞いて以来、忘れられず、
アメリカから一時帰国した折、ブルリア周辺に住む、その聖女を
訪ねようと決心していた。
1936年5月5日、朝の10時半にブルリアに住むギリバラの弟の
家を訪ねた。ギリバラの、消息を尋ねた。
弟の話から、いまだに姉ギリバラが断食を続けていること、
住まいは、ベンガル州バードワン地方のビワール近辺にある
ということがわかった。
夕方5時過ぎにはビワールにたどり着いた。
再び著書から引用すると:
”狭い道のわきに車(スダ注:アメリカから持ってきた
フォード車、アメリカ人弟子が運転していった)、
を止めると、30メートルほど前方にギリバラの
先祖代々の家が見えた。
長い悪路との悪戦苦闘がついに、報われた。
ほっとした満足の喜びが皆の顔に浮かんでいる。
一行は日干し煉瓦の小さな家々の中にひときわ目立つ、
二階建ての、レンガと漆喰(しっくい)でできた
立派な家に近づいた。
家はちょうど修理中で周りには熱帯特有の竹垣が
めぐらしてあった。
我々は期待に満ちた興奮と悦びを抑えながら、空腹を
知らぬという彼女の家の戸口にたった。村人たちは
年寄も若者も、服を着たものも着ていないものも、
相変わらずびっくりしたように、口を開けている。
女たちは遠くから好奇心の眼を光らせ、男や子供たちは
恥ずかしげもなく我々の後ろにつったってこの空前の
出来事に目を見張っている。”
(引用終わり)
当時はまだ車などみたことのない人達だったろう。
ましてやこうした辺鄙なところまで車を乗り入れてきた
僧侶(スワミ)とアメリカ人という奇妙な組み合わせは
村人たちをびっくり仰天させるに十分だっただろう。
さて、いよいよ、門をたたくと、ギリバラが現れる。
”鈍い金色の絹のサリーに身を包んだ小柄な女性”だった。
”インド婦人らしくつつましく、控えめ、目がキラキラ輝き、
慈悲深そうな悟りの境地を思わせる顏”にヨガナンダ師は
”魅せられてしまった”と本の中に、記している。
ヨガナンダ師はベンガル語でギリバラに語りかけるのだ。
”マタジ(注:年上の女性の尊敬した呼びかけの言葉、本来は
お母様の意味)私は25年も前から、一度あなたにお眼にか
かりたいと思っていました。”
そして 会って話したことを公けに発表すること(取材)
も、許された。
”マタジ、いろいろな質問であなたを煩わすことをお許し
ください。どうかあなたが応えても良いと思われる質問に
だけお答えください。
あなたが黙っておいでになれば、私にはその意味がわかり
ますから。”と謙虚に ヨガナンダ師が申し出ると、マタジは
”私のようなつまらないものの答えでよろしければ、喜んで
お答えしましょう。私はみなさんの、ただの召使いえございます。
お料理を作って他の方に御馳走するのが好きなんでございます。”
と答えた。
ヨガナンダ師は これは断食の聖女に似合わない趣味だと
内心驚いた。
”マタジ、あなた自身の口からお聞かせください。
あなたは実際 何も食べずに生きていらっしゃるのですか?”
”その通りでございます。私は12歳4か月から68歳の今に
至るまで56年以上の間、食べ物も飲み物も一切口にして
いません。”
食欲はないという、生きているためののエネルギーはでは、
どこから取り入れているのか・・・しかし、ヨガナンダ師には
わかっていた。
”あなたは、空気や日光の霊妙なエネルギーから栄養を取って
いらっしゃるのですね。それに、延髄から流入する宇宙エネルギ
ーからも。”
ギリバラはその通りだと頷く。
何故、こうした力が与えられたのか?
どのような子供時代を送ったのか?
ヨガナンダ師は さらに、興味を持って、訊いてみる。
ギリバラは その過去、食べなくても生きていける術を学んだ
いきさつを語りだした。
”私は森に囲まれたこの土地で生まれました。
子供のころの私は「とりたててお話しするようなこともない
普通の子供でしたが、ただ、飽くことを知らぬ食欲に
取りつかれていました。
9歳になったとき、私は婚約させられました。
母はよく、私を戒めて言いました。
’お前のその食いしん坊だけは早く直しなさい。今に
お前が夫の家族と一緒に住む様になったとき、そんなに
食べてばかりいたら、皆になんて言われるかわかりませんよ。’
母の心配はとうとう事実になってしまいました。
ワーフガンジの夫の家族と一緒に住む様になったのは、
まだわずか12歳のときでしたが、夫の母親は私の大食の
ことで、朝昼晩と私に恥じをかかせました。
けれども、これは、かえって、私にとっては幸いになった
のです。そのために、私の内に眠っていた、霊性が
目覚まされたのですから。
或る朝、姑は私を情け容赦もなく嘲笑しました。
’それなら見ていてください。 私はもう金輪際(こんりんざい)
死ぬまで食べ物には手も触れませんから’骨身にこたえた私は
こういいました。
姑は嘲笑いながら、言い返しました。
’そんなに大食らいのお前がどうやって何も食べずに生きて
いけるんだね’”(引用終わり)
こうしたやり取りのあと、ギリバラは 全身全霊でこう
祈った。
”主よ、どうか私に食べ物ではなく、あなたの光によって
生きる方法を教えてくれる師をお遣わしください”
すると 突然恍惚状態に包まれたという。
ギリバラはこう回想する。
”私を祝福してくれるような不思議な力に惹かれて
私はガンジス河のナワーブガンジガートに出かけました。
途中、夫の家に出入りしているお坊さんに会いました。
’御坊様’私は嘆願するように呼びかけました。
’どうか食べずに生きていける方法を教えて下さい’
彼は私の顏をまじまじと見つめていましたが、やがて
慰めるように言いました。
’今晩寺にいらっしゃい。
あなたのために、特別にヴェーダのプージャ(儀式)をして
あげよう。’
この漠然とした返事は私が求めていた答えではありません
でした。私はなおもガートに向かって歩いて行きました。
朝陽が水の中にまでも射しこんでいました。
私はあたかも、これから霊の導きを受けるかのようにガンジス
河に入って、体を浸し、禊ぎをしました。
濡れたサリーを身にからませながら、私が川岸を離れて
帰ろうとしたとき、太陽のまばゆい光の中に突然、
私の求めていた師が姿を現したのです。
’子供よ’師は私を愛おしむように言われました。
’私は、お前の熱心な祈りをかなえるために、
神様から遣わされたお前の師だ。
神はお前の風変わりな願いをお聞きになられた。
今日からお前を 霊の光によって生きられるように
してやろう。
お前の肉体の原子は、無限のエネルギーによって、
養われるようになるだろう’”(引用終わり)
こうして この不思議な聖者からある秘法が授けられた
のだった。
それは、
”あるクリアの秘法でした。ある種のマントラと、普通の人には
難しい一種の呼吸法からなるものです。
薬や魔術は一切用いておりません。
クリア[須田注:ヨギの行うクリアヨガの一種]だけです。”
こうしてギリバラの話は終わる。
最後にヨガナンダはこの秘法を世の中の人達に教える事は
可能か尋ねると、
”それは、できません。
私は師からこの秘密を漏らすことを固く禁じられています。
創造に関する神様のご計画にむやみに干渉することは、先生
のお望みにかないません。
もし、私が食べずに生きる方法を人々に教えたら、お百姓
たちはさぞ、私を恨むことでしょうし、おいしい果物も
地面に落ちて無駄になるばかりです。
不幸や飢えや病気は、私たちに人生の真の意義を探究
させるためのカルマのムチではないでしょうか?”
ならば何故、ギリバラのみ、このような秘法が伝授
されたのだろう?
それに対してこう答えた。
”人間が霊であることを証明するためでございます。”
写真 ”あるヨギの自叙伝”から