付記::::2023年⒓月17日
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ヴァカバッド・ギータは、インドの古代聖典の一つです。
といっても、ヒンズー教の教義の聖典だけではありません。
ギータには、世界最古の哲学、ヴェーダ哲学の真髄がクリシュナ(当時の王族で
あり、ヴィシュヌ神の化身とされる)の言葉にちりばめられているからです。
ギータの舞台はまさに、インドの黄金時代が衰退し始めてきたころ。
主人公は、クリシュナ神と、アルジュナと5人の兄弟たち(パンダヴァ兄弟)
です。彼らは、同族でありながら、敵対関係になり、闘いあうのです。
ギータが入っているMahabharata(マハバラータ)という一大叙事詩には、
クリシュナ神が生まれる前から、3代にわたっての物語が、描かれています。
つまり、バガバッド・ギータは、”Mahabharata” という、18巻からなる
叙事詩の一部であり、ギータが 小ヴェーダと呼ばれる所以もこのギータに
あります。
クリシュナ神がアルジュナに語る言葉の端々に、にじみ出る その真理性に
よるのでした。
その真理性とは、”ADVAITA思想”といわれ、ヴェーダ哲学の根本に流れる
普遍的哲学です。
日本語では、(不二一元論)と訳されています。
クリシュナは、実在していたといわれ、政治の陰謀と策略の罠にかかった
クリシュナの父、国王、Vasudeva は、生まれたばかりの王子、クリシュナ
の命を守るために、ヤムナ川に隣接する、ブリンダバンに幼子を置き去りました。
その時、クリシュナを育てた養母が、Yasoda, 養父が牛飼いのNandaです。
そのあたりの背景をもう少し詳しくお話しすると・・・・
当時、ヤーダヴァ族と言われる豪族の頂点にたつ、王カンサは、多くの悪行を
働いていました。
そこで、天上の神々は、王カンサを打つべく、対策を協議し、ヴィシュヌ神
に対して、 王カンサの妹、デーヴァキーの胎内に宿り、地上に生まれ出るよう、
願い出たのです。
そうして、ヴィシュヌ神の化身が、人の身体をもち、地上に誕生しました。
その名を、”クリシュナ”と命名されました。
ある時 悪党のカンサ王は妹のデーヴァキーと、その夫のヴァスデーヴァを
乗せた馬車に、御者として乗りました。
その都へ上がる途上、どこからか 「お前の妹、デーヴァキーの8番目の子が
お前を殺す」 という声が聞こえたのでした。
その予言に、恐れをなしたカンサ王は ヴァスデーヴァとデーヴァキーを牢に
閉じ込め、そこで生まれてくる息子達を次々と殺していきました。
デーヴァキーとヴァスデーヴァ は 7番目の子バララーマ と 8番目の子、
クリシュナが生まれると直ちに 皇子たちの命を救うために智慧を絞りました。
ヤムナー河のほとりに住む、牛飼いのナンダの娘 (同日に生まれた)と
すり替え、皇子2人をゴークラの町にかくまうために、牛飼いに預けました。
こうして、牛飼いの村で育った、クリシュナは、幼い時から その腕白さと
怪力を発揮し、後世に、彼特有のさまざまなエピソードを残してます。
たとえば、ミルクの壷を割る悪戯に、幼いクリシュナは、継母の ヤショーダー
に大きな石臼に縛られました。
ところが、クリシュナは、その臼を引きずって、2本の大木の間にすり寄り、
その大木を倒すほどの、怪力を見せます。
また、ヤムナ川 に住む、竜王の カーリヤが悪事をなしたときは、クリシュナ
がこれを追い払いました。
さらに、インドラ(雷神)の祭祀の準備をする牛飼い達に、クリシュナは
インドラの代わりに、家畜や山岳を祭る事を勧め、それを見て怒ったインドラが
大雨を降らせたことがありました。
その時、クリシュナはゴーヴァルダナ山を引き抜いて、1本の指に乗せ、
牛飼い達を その大雨から守ったと言い伝えられてます。
マハバラータ物語の中には、こうした、幼少期のクリシュナ神が。神としての
本領を発揮した逸話が、数々残されていて、絵画や彫刻のモチーフになって
います。
成長したクリシュナは、恋人のラーダと一緒にブランコに乗るのが、好きでした。
それが、’フルートを吹くクリシュナ神と、恋人のモチーフ’になり、絵や彫り物に
残されているわけです。
一方、カンサ王は クリシュナが生きている事を知り、すぐさま配下のアスラ達
を刺客として送り込みました。
が、悉く返り討ちにされ、カンサは クリシュナとバララーマをマトゥラーの都
へ呼び寄せて 殺害を謀るも 失敗に終わりました。
ギータは、ヴィシュヌ神の生まれ変わりである、クリシュナ神が、パーンドゥ
家の5人の息子たちとともに、ドリータラ―シュトラ家の百人の王子たちと闘う
物語です。
ブランコに乗る フルートを持ったクリシュナとラーダ