”セルフ”解釈 平成25年4月11日
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セルフとキリスト教
心療内科のもとになる心身内科を、日本で初めに打ち出した
池見博士は”セルフ”を見つけだし、その復帰を提唱を
している。
セルフとは何かを、これまでのブログで見てきている。
セルフとは、単に自我ということではなく、心身を
統括する、均衡のとれた、”真我”のことであり、ある意味、
”神の創造した姿に最も近しい資質”をもつ、と博士は、
定義している。
そうして、心の中に 真の理による、統括がなされたとき、
体に現れている、神経的な病や症状が、自然治癒の発動により、
もっとも自然な形で癒えていくことを、実例として、あげた。
難病奇病に悩める、現代文明に生きる多くの人たちの、
精神の中に、神の存在(あえて、そう呼ぶのなら)が
亡くなっていることが要因でもあると、博士は仮説をたてている。
引用する。
”現代人が、神を忘れることにより ’神を見失うことによって、
自らを破滅へと駆り立てている”
さらに聖書のキリストの言葉をいくつか取り上げて、
セルフの意味を説明している。
“バイブルに、富者と知者が天国に入るのは、ラクダが
針の穴を通るよりも難しいと説かれている。
物欲や色欲といった、本能的な欲求(C)(数日前のブログ参照)
の満足をむさぼっている人、世間的な成功や、科学的な知性(A)
を重視している人, 自分なりの善行に満足している人(P)
にとって、セルフの回復は、ラクダが針の穴を通るより
も難しいことだろう。“
としている。
この言葉の行間は、どういう意味があるのだろうか?
博士のいう、セルフとは、徹頭徹尾の謙虚さと、万物の中にある
生命と 自己の命の最大公約数を ”愛”として、互いに愛を
基盤に、尊重しあう、調和に充ちた全体の平和の一辺を
創る”個”であり、その平和を謳歌する主体でもある。
池見博士は、ここで、キリストの言葉を引用されているので、
もう少しこのS(セルフ)を、探ってみたい。
マタイ伝5~7章の山上の垂訓という、有名な節がある。
”心の貧しき者、幸いなるかな” とイエスはのべているが、
貧しきものとは、池見博士は上記で述べている、”富者”の反対
でもあり、経済的な貧しさというよりは、”謙虚で高慢でない人”
をさしている。
高慢な人とは、どういう人をいうのか?
キリスト意識、つまり、他者への愛に目覚めた意識、は セルフを
具現するために 謙虚に精進する、
謙虚な彼らは、内なる目を開き、他者との比較ではなく、
自分のS(セルフ)を基準においた、評価を自ら下し、反省を重ね、
Sに近づこうとする人たちである。
反対に、傲慢な人は、自分自身の価値観を絶対なるものとし、
何か失敗や不幸が襲ったとき、人のせいにして、人を責め、
苦しいときの神頼みをするような人たちを さしている。
そして、不幸が去れば、また、神を忘れ、生かされている恩寵
も感じず、自己の価値観と他者の目や社会の評価を気にしながら、
Aの知恵とCの本能によって、生きていく。
心の貧しい人は、不幸が訪れたときは、謙虚に何か自分に
落ち度はないか?
自分がセルフ[真我]から離れているから、こうした、
理不尽な不幸があるのか?と足元から自分を見るだろう。
前者が一般的、後者はSに目覚めつつある人たちの、
目線の違いである。
それほど、セルフの確立は難儀なものだと、池見博士はいう
のだが、それは、ある意味、キリストのいうような、真に
信仰的な人になることかもしれない。
つまり、自分の業の深さと 知らず知らずに行う利己的な態度
や傲慢さ(CやA,時にはP)を反省できる人に徹して、初めて、
可能だから。
そのことを 博士は、次のような言葉で語っている。
“CからCAへ、CAからCAPへの 成長過程は連続的であるが、
CAPからS(セルフ)への発展は非連続の連続である。
(CAPの定義に関しては前日のブログ参照)(非連続とは)、
超越が必要であり、百尺竿頭一歩を出なければならない。”
池見 酉次郎(いけみ ゆうじろう)博士について:、
大正4年(1915年)6月12日 - 平成11年(1999年)6月25日)
日本の心身医学、心療内科の基礎を築いた草分け的な日本の医学者。
旧制福岡中学(現福岡県立福岡高等学校)、九州帝国大学医学部卒業。
戦後、アメリカの医学が日本に流入した際、心身医学の存在を知る。
昭和27年(1952年)にはアメリカミネソタ州のに留学し、帰国後、
日野原重明、三浦岱栄らと共に昭和35年(1960年)日本心身医学会
を設立し、初代理事長になる。
翌昭和36年(1961年)九州大学に国内最初に設立された
精神身体医学研究施設(現在の心療内科に当たる)教授に就任し、
内科疾患を中心に、心と体の相関関係に注目した診療方法
を体系化、実用化に尽力した。
九州大学医学部名誉教授、自律訓練法国際委員会名誉委員長、
日本心身医学会名誉理事長、
国際心身医学会理事長、 日本交流分析学会名誉理事長などを歴任。
著書に「心療内科」、「セルフコントロールの医学」などがある。
平成11年(1999年)6月25日肺炎のため、福岡市内の病院で死去。84歳。
参考)
”セルフ・コントロールの医学” s・57年9月1日 日本放送出版協会
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