Credidimus Caritati 私たちは天主の愛を信じた

2024年から贖いの業の2000周年(33 - 2033)のノベナの年(2024-2033)が始まります

ヴィガノ大司教:主イエズス・キリストに立ち返ることによってのみ悪魔を打ち負かすことができる、主の掟に従うことによってのみ、祖国に自由と調和と繁栄を見いだすことができる。

2022年03月17日 | カトリック・ニュースなど

【参考情報】ヴィガノ大司教、ロックダウンのオーストラリアに語り掛ける

2022年3月1日(火曜日)

Archbishop Viganò Addresses Locked Down Australia

カルロ・マリア・ヴィガノ大司教

親愛なるオーストラリア人の皆さん。

今、人類は世界的なクーデターによって脅かされています。グローバリストの犯罪者たちによる寡頭制が、政府や国際機関の最高レベルにその支持者を据えることに成功したのです。私たちは、一国だけに限定された現象について話しているのではありません。オーストラリアからカナダまで、フランスからイタリアまで、ドイツからオーストリアまで、多くの国々に広がる計画なのです。民主主義と人権という神話は、近代性と進歩ということをドグマとしてその神話を構築したまさに同じ人々によって、今日、組織的に破壊されています。人々の意志は侵害され、個々の国の利益は無視され、社会的・経済的構造は破壊され、労働者とビジネスの保護は踏みにじられ、人々の健康は製薬会社の利益に対する障害物とみなされているのです。そして、この2年間、スキャンダラスな自然権剥奪を正当化するために、パンデミックの緊急事態が押しつけられてきたように、すでに彼らは新しい緊急事態を計画しています。それは、気候緊急事態、コンピューター緊急事態、エネルギー緊急事態、戦争緊急事態などであり、そのすべては、引き起こされたこの災難を悪化させ、恒久化することを意図したものなのです。

「皆さんを統治する人々が権力を行使するのは、皆さんの利益のためではなく、むしろこのグローバリスト・エリートの利益を実現させるためなのです」

このクーデターを経験したのはオーストラリア人の皆さんだけではなく、憲法上の権利が侵害され、法の支配という最も基本的な原則が否定されたのも、皆さんだけではありません。皆さんを統治する人々が権力を行使するのは、皆さんの利益のためではなく、むしろこのグローバリスト・エリートの利益を実現させるためなのです。その利益とは、経済的性質と思想的性質を持つ利益であって、中身は、「グレート・リセット」によって富と権力を収奪すること、中国共産党独裁政権によって実験された社会信用システムの奴隷にすること、そして、法律で全ての人に強制される実験的血清によって免疫系を破壊された慢性疾患者の集団にすること、なのです。明日、戦争という口実のもと、彼らはこう言うでしょう。消費財の需要が増加し、ガスが入手できにくくなるため、新たな制限と新たな放棄が不可欠であり、自分たちの不幸な決断のもたらす悲惨な結果の代償を大衆に支払わせるのだ、と。

これらのことはすべて、不幸な偶然の積み重ねではなく、細部まで準備され、自らの建築家によって発表された犯罪計画の成果なのです。国連の「アジェンダ2030」と世界経済フォーラムの「グレート・リセット」は、世界各国の政府に押し付けられた台本であり、ほとんどがクラウス・シュワブの「明日のための若きリーダーたち」プログラムで訓練された民間の超国家機関の使者たちである人々によって作られたものです。それは、世界の平和、個々の国の主権、そして市民の生活そのものを脅かす破壊的なプロジェクトです。もし政府の指導者、裁判官、法執行機関のメンバーの共犯を利用しなかったならば、すでに非難され、断罪されていたであろうプロジェクトなのです。

「国民経済の破壊は最終目的ではありません――この破壊は、反キリストの出現の前提となる新世界秩序の確立を不可逆的にするためという目的の手段に過ぎないのです」

しかし、私たちは騙されるのを許してはなりません。国民経済の破壊は最終目的ではありません――この破壊は、反キリストの出現の前提となる新世界秩序の確立を不可逆的にするためという目的の手段に過ぎないのです。なぜなら、彼らが望んでいることは、世界の金融を適切に掌握するだけでなく、それによって皆さんのあらゆる行動を決定する力を持ち、何が正しくて何が間違っているかを確立し、皆さんのあらゆる動き、行動、思考の一つ一つを支配すること――皆さんを奴隷にし、皆さんを強制的に、アイデンティティーを持たない霊魂なき機械人形にすることなのです。

そのすべての背後には、「初めから人殺し」である人類の敵による地獄の働きがあるのを認めないわけにはいきません。彼は、真、正義、美であるすべてのものを憎んでいます。なぜなら、彼はそこに、創造主、主、贖い主である天主の完全性の光を見いだすからです。人間は天主の似姿として創造されましたが、サタンはこの天主の刻印そのものを取り消して、子どもの無垢なほほ笑みを絶やし、人々の正直さと正義を堕落させ、善への衝動を妨げ、不正で罪深く、悪質で、非人間的なものすべてを促進させようと望んでいるのです。サタンは、肉体と霊魂の両方が死に支配され、天主の法と福音の優しいくびきが、悪と反抗と憎悪の忌まわしい専制に取って代わられる世界を望んでいるのです。

「悪に打ち勝つ唯一の方法は、善をもって悪に対抗することです。この反キリスト教的の独裁体制を倒す唯一の方法は、皆さんの人生、皆さんの仕事、家族、そして国家で、王たるキリストに支配していただくことなのです」

親愛なるオーストラリア人の皆さん、この歴史的な戦いは、以下のことを知った上で戦わなければならないということを理解するよう、私は皆さん全員に強く勧めます。それは、私たちの主イエズス・キリストに立ち返ることによってのみ、皆さんが悪魔を打ち負かすことができるということ、主の掟に従うことによってのみ、皆さんが祖国に自由と調和と繁栄を見いだすことができるということ、キリストが支配するところでのみ、キリストの平和も支配することができるということです。Pax Christi in regno Christi.(キリストの支配によるキリストの平和)

もし皆さんが、主の御怒りを招き続け、主の法に違反し、主の御名を冒涜するために自由を求めるなら、皆さんの抵抗はすべて無駄であり、失敗に終わるでしょう。悪に打ち勝つ唯一の方法は、善をもって悪に対抗することです。この反キリスト教的な独裁体制を倒す唯一の方法は、皆さんの人生、皆さんの仕事、家族、そして国家で、王たるキリストに支配していただくことなのです。また、キリストとともに、御摂理の命令によって、いにしえの蛇の頭を踏み砕き、悪しき者【悪魔】を決定的に破壊する聖母、元后たる至聖なるマリアに支配していただくことができますように。

ですから、皆さんの行動の一つ一つを、私たちの主と無原罪の童貞のご保護のもとに置き、天主の恩寵のうちに身を置きながら、信仰をもって祈ってください。聖なる四旬節の始まりは、超自然的な精神をもって、苦行、断食、犠牲を捧げ、この世が与えることのできない平和、私たち全員を天主の父性を共にする兄弟姉妹とする一致、道、真理、命であるキリストに基づく自由を、天主の御稜威に懇願するようにすべての人を駆り立てるのです。

「キリスト信者の助け」なる南十字星の聖母、そしてオーストラリアの保護聖人である聖フランシスコ・ザビエルが、皆さんを祝福してくださいますように。私も皆さんを祝福します。
in nomine Patris, et Filii, et Spiritus Sancti. Amen.(聖父と聖子と聖霊との御名によりて、アーメン。)

大司教カルロ・マリア・ヴィガノ

2022年2月27日
五旬節の主日
Dominica in Quinquagesima

動画

OGPイメージ

Archbishop Viganò Addresses Locked Down Australia

 

 

 


【参考情報】ヴィガノ大司教:ロシアとウクライナは今日、キリスト教文明の復興において歴史的な役割を担い、世界に平和の時代をもたすことに貢献できる。

2022年03月17日 | カトリック・ニュースなど

【参考情報】ヴィガノ大司教:グローバリストは新世界秩序の専制政治を確立するためにウクライナの戦争を扇動した(その2)

Abp. Viganò: Globalists have fomented war in Ukraine to establish the tyranny of the New World Order

2022年3月7日(月曜日)

その1からの続き】

法と基準への敬意

NATO、米国、欧州連合によるウクライナへの介入は、正当性がないように見えます。ウクライナはNATOの加盟国ではないため、加盟国の防衛を目的とする団体の支援の恩恵を受けることはできないはずです。数日前にゼレンスキーを招聘した欧州連合も同様です。一方、ウクライナは2014年以降、米国から25億ドル、さらに2021年だけで4億ドルを受け取っており(こちら)、その他にも合計46億ドルの資金を獲得しています(こちら)。

プーチンの側は、ウクライナを破綻から救うために150億ドルの融資を行っています。欧州連合側は、個々の国から送られる資金に加えて、1700万ドルの資金を送りました。しかし、これらの支援は、ウクライナの人々にとって最低限の恩恵にしかなっていません。

さらに、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、欧州連合の名によりウクライナの戦争に介入することで、リスボン条約第9条、第11条、第12条に違反しています。この分野における欧州連合の権限は、欧州理事会と上級代表のものです。いかなる場合も、欧州委員会委員長には属しません。フォン・デア・ライエン委員長は、どのような立場で欧州連合のトップであるかのように振る舞い、自分に属さない役割を簒奪しているのでしょうか? 特に、ロシアの報復の可能性によって欧州市民がさらされている危険を考えると、なぜ誰も介入しないのでしょうか?

さらに、現在ウクライナに支援や武器を送っている国々の憲法は、多くの場合、紛争に突入する可能性を規定していません。例えば、イタリア憲法の第11条にはこうあります。「イタリアは,他国民の自由を侵害する手段および国際紛争の解決手段としての戦争を否認する」。NATOや欧州連合の一員ではない国に武器や兵士を送ることは、その国と交戦関係にある国(この場合はロシア)に対する事実上の宣戦布告に当たるため、イタリア憲法78条「(議会の)両院は,戦争状態を決定し,政府に必要な権限を与える」が予見しているように、宣戦布告の事前審議が必要なはずです。

今日に至るまで、両院がこの意味での意思表示を求められたことはなく、共和国大統領が憲法の条項の遵守を要求するために介入したこともないように思われます。イタリアの破壊と超国家的権力への決定的な隷属のためにグローバリストの陰謀団によって任命されたドラギ首相は、市民の意志を世界経済フォーラムのアジェンダの実行を妨げる厄介な障害と考えている多くの国家政府の長の一人です。この2年間、基本的権利と憲法を組織的に侵害してきた彼が、自分を権力の座に就かせた人々の利益よりも、イタリア国民の利益を優先させたいと思うとは考えにくいのです。それどころか、彼の政府が採用した制裁措置の効果が悲惨であればあるほど、彼は自分に権力を与えた人々から評価されていると考えることができるでしょう。サイコパンデミックの緊急事態によって引き起こされたクーデターは、今日も、意気地なしの議会によって批准された、新しい不幸な決定によって進行しているのです。【参考資料:イタリア憲法日本語訳

また、イタリア市民、それも政府の多数派メンバーや政治指導者が、外国の軍団への入隊を求めるウクライナ大使による訴えに応じることを認めることは、イタリア刑法第288条に違反します。「何人も、(イタリアの)領土で、政府の承認なしに、外国に有利になるように市民を(軍隊に)入隊させたり、武装させたりした者は、4年から15年の期間、禁固刑で罰せられる」。少なくとも今のところ、この犯罪に責任ある人々を罰するために介入した裁判官はいません。

もう一つの違反は、2004年法律第40号に違反して、イタリアの夫婦が申し込んだ代理母出産によって得られた子どもを、ウクライナからイタリア(おそらく他の国も含む)に移送する行為に見られますが、この犯罪の犯人や共犯者には何の罰も科せられていないのです。

また、忘れてはならないのは、ロシア連邦とその大統領に関する政府メンバーあるいは政治指導者の発言や、ロシアに対して採られた制裁措置、また、ロシア人であるという事実だけでロシア市民、企業、芸術家、スポーツチームに対する恣意的な差別が繰り返されていることは、ウクライナ危機を穏やかで平和的に解決するために避けなければならない挑発であるだけでなく、イタリア市民の安全(およびロシアに対して同様の態度を採用している他の国々の市民の安全)を大変な危険にさらしている、ということです。このような軽率な行動を取る理由は、相手の反応を誘発しようとする意図的な考えがない限り、理解できないものです。

ロシアとウクライナの紛争は、ウクライナ、ロシア、そして欧州諸国に対して仕掛けられた非常に危険な罠なのです。

ウクライナは熟練の処刑人の最新の犠牲者

ロシア・ウクライナ危機は、1カ月前に突然発生したものではありません。それは長い間準備され、煽られてきたもので、米国のディープ・ステートが反ロシアの鍵として望んだ2014年のホワイト・クーデターから始まっているのは確かです。このことは、「ロシア人を殺すための」CIAによるアゾフ大隊の訓練(こちら)により、さらに2015年に議会が行った同大隊への援助を禁止する修正案の取り消しをCIAが強要したことで、とりわけ疑問の余地のない事実として証明されています。

ジョー・バイデンやハンター・バイデンによる介入も、同じ方向に向かっています。このように、NATOの東方への容赦ない拡大と一致する、長期的な計画性の証拠があるのです。「ユーロマイダン」のカラー革命、および世界経済フォーラムとジョージ・ソロスが訓練した「新支配層」(homines novi)で構成される親NATO政権の樹立は、ウクライナをNATO圏に従属させ、ロシア連邦の影響から取り除くための条件を整えることを意図したものでした。この目的のために、メディアのプロパガンダに支えられた、このハンガリーの慈善家【ジョージ・ソロス】のNGOの破壊活動は、ゼレンスキーのスポンサーであるのと同じ人々によって資金提供された、ネオナチの準軍事組織の犯罪について沈黙を守っているのです。

しかし、西側諸国の主流メディアが行った洗脳が、現実を完全に歪曲した物語(ナラティブ)を伝えることに成功したとすれば、ウクライナに対しては同じだとは言えません。ウクライナ国民は、権力にある政治階級の腐敗と、それがウクライナ国民の真の問題から遠ざかっていることをよく認識しています。私たち西側諸国は、「オリガルヒ」はロシアにしかいないと信じていますが、実際には、「オリガルヒ」はかつてソ連を構成していた国々全体に存在し、彼らが外国の「慈善家」や多国籍企業の意のままになるだけで、自分の富と権力を蓄積することができるのです。彼らの海外のオフショア口座が、これらの国の市民の貧困、医療制度の後進性、官僚の過剰な権力、公共サービスのほとんど皆無、戦略的企業の外国支配、主権と国家のアイデンティティーの漸進的喪失の主要原因であるかどうかは、彼らにとってほとんど問題ではありません。それよりももっと重要なことは、自分たちが「金を稼ぐ」こと、政治家、銀行家、武器商人、国民を飢えさせる者とともに、自分たちが不滅であることなのです。

そして、ヴェルシリアやアマルフィ海岸のおしゃれなリゾート地にやって来て、故郷の親戚にわずかな給料を送金するオデッサ出身のウェイターやキエフ出身の掃除婦に、ヨットやプラチナカードを見せびらかすのです。キッパをかぶったウクライナの億万長者たちは、腐敗し堕落した西側にウクライナを売り渡し、自分たちの幸福と引き換えに、同胞を、世界を支配している利権屋の奴隷とし、どこでも同じ冷酷で不道徳なシステムを使っている人々なのです。彼らは過去には、アテネやテッサロニキの労働者の給料をカットしましたが、今日では、単に欧州全体にその領域を広げただけであり、人々は、最初は健康独裁、次は環境独裁が押し付けられる中、いまだに信じられない思いでこれを見ているのです。

一方、戦争という口実がなければ、どうやってガスや燃料の価格高騰を正当化し、貧しい大衆を支配するために高みから押し付けられた「環境保護的な」(ecological)転換のプロセスを強要できたでしょうか? パンデミックという茶番劇が解明され、巨大製薬会社が犯した人道に対する罪が明るみに出たとき、彼らはどうやって西側世界の人々に、新世界秩序の専制政治の確立を呑ませることができるのでしょうか?

EUや政府首脳が差し迫った災難をロシアのせいにしている間に、西側エリートは、ホロドモールの恐怖を世界規模で適用するために、農業の破壊を望んでさえいることを示しています(こちら)。【注:ホロドモールは、ウクライナで1932年から33年にかけてスターリンによって計画的に起こされた人工的大飢餓のこと】

一方、多くの国々(イタリアを含む)で、水路の民営化が理論化されています――水は放棄されえない公共財です――それは、多国籍企業の利益のためであり、目的は、農業活動を管理し制限することです。親NATOのキエフ政府は、8年間、クリミアからドニエプル川の水を奪い、畑の灌漑を妨げ、国民を飢えさせたのです。今日、ロシアに課せられている制裁と穀物供給の大幅な減少を考慮すると、ビル・ゲイツが農業に巨額の投資を行っていることが理解できます(こちら)。ワクチンキャンペーンで経験したのと同じ冷酷な利潤追求の論理に従ったものなのです。

ウクライナ国民は、どの民族に属していようとも、超国家的全体主義体制によって知らないうちに人質となってしまった最新の人々に過ぎません。この体制は、世界人口を減少させ、残った者を回復不可能なほど免疫力の低下した慢性的な病気の患者に変える必要性について公に理論化した後、コロナウイルス感染症という欺瞞によって、全世界の国民経済を屈服させたのです。

ウクライナ国民は、NATOやEUの介入を求めることについて、よく考えるべきです。ただし、それを行うのが本当にウクライナ国民であって、権力者に雇われた人種差別主義の傭兵やネオナチ集団の助けを受けている腐敗した支配者ではないとするならば、です。なぜなら、ウクライナ国民は、侵略者――かつて大ロシアの一部であったという共通の宗教的・文化的遺産を共有する――からの自由を約束されていますが、実際には、皮肉なことに用意されているものは、彼ら自身の決定的な取り消し、つまり、アイデンティティーや主権、国境といったものの保護を除いてすべてを予見している「グレート・リセット」の奴隷となることなのです。

ウクライナ国民に、欧州連合の国々に何が起こったかを見てもらいましょう。繁栄と安全保障という幻想は、ユーロとブリュッセルのロビーが残した瓦礫をよく考えてみれば消え去ります。犯罪や売春を増大させる不法移民に侵略され、「政治的に正しい」イデオロギーによって社会構造が破壊され、無謀な経済・財政政策によって故意に破産に向かわされ、労働・社会保障の保護が取り消され、家族の破壊と新しい世代の道徳的・知的腐敗によって将来を奪われた国々です。

かつては繁栄し独立した国家であり、それぞれの民族的、言語的、文化的、宗教的特質を持つ国々が、今では理想もなく、希望もなく、信仰もなく、支配する者たちの虐待や犯罪に対抗する力さえもない、形のない人々の集団と化してしまいました。

企業の顧客集団となりさがり、詐欺の証拠を前にしても、パンデミックという茶番劇によって押し付けられた詳細な管理システムの奴隷のままなのです。QRコードでしるしを付けられ、まるで集約農場の動物のように、あるいは巨大なショッピングセンターの商品のように、個人のアイデンティティーを持たない人々の集団。もし、これが、すべての国――例外なくすべての国!――EUという巨大な詐欺に身を任せたすべての国が、国家主権を放棄した結果だとすれば、なぜウクライナが違うはずだというのでしょうか?

ドニエプル川のほとりでウラジーミル大公とともに洗礼を受けたとき、皆さんの父祖が求めたもの、希望したもの、望んだものとは、こういうことなのでしょうか?

この危機の中で、私たち一人一人が認識できる好ましい面があるとすれば、それは、グローバリストの専制政治の恐ろしさ、その冷酷な冷笑主義、触れるものすべてを破壊し消滅させるその能力を明らかにしたことです。EUやNATOに加盟すべきなのはウクライナ人ではありません。むしろ他の国々こそが、最終的には誇りと勇気に揺り動かされてEUやNATOを離れ、この憎むべきくびきを振り払い、自らの独立、主権、アイデンティティー、信仰、そして何よりも魂を再発見すべきなのです。

はっきりさせておきましょう。新秩序は逃れられない宿命ではなく、世界の人々が、明らかに犯罪者だとわかる寡頭制に欺かれ、だまされてきたことに気づきさえすれば、覆すことも糾弾することもできるということです。彼らはいつか、今日自分たちの前に屈服しない人には誰でも平気で適用している制裁や資金ブロックの責任をとらなければならないのですから。

第三のローマ【モスクワ】に訴える

ロシアにとっても、この紛争は罠です。なぜなら、商業的・文化的関係においてロシアを欧州の文脈から決定的に追い出し、中国の腕の中に押し込むという米国のディープ・ステートの夢が実現するからです。おそらく、北京の独裁者がロシア人を説得し、これまでロシアが少なくとも部分的には回避できてきた社会信用制度やその他の「グレート・リセット」の側面を受け入れさせることができるという希望を米国ディープ・ステートが抱いているのでしょう。

この紛争が罠だという理由は、ロシアがウクライナから過激派グループを「排除」し、ロシア語を話すウクライナ人に保護を保証したいと考えるのが間違っているからではなく、まさにこうした理由(理論的には筋が通っている)が、ロシアを刺激してウクライナに侵攻するように仕向けるために、ディープ・ステートやグローバリスト・エリートが以前から準備していたNATOの反応を引き起こすような形で、特別に作られたからなのです。

この詭弁は、紛争の真の加害者たちが、プーチンからまさにそのような反応を得られると知って、意図的に計画したものなのです。そして、プーチンが正しいかどうかは別として、その罠にはまらず、逆にウクライナに紛争を継続しない名誉ある和平の条件を提示することが重要なのです。プーチンは自分が正しいと思えば思うほど、挑発に乗らず、国家の偉大さ、国民への愛情を示す必要があります。

預言者イザヤの言葉を繰り返すことをお許しください。
Dissolve colligationes impietatis, solve fasciculos deprimentes, dimitte eos qui confracti sunt liberos, et omne onus dirumpe; frange esurienti panem tuum, et egenos vagosque induc in domum tuam; cum videris nudum, operi eum, et carnem tuam ne despexeris. Tunc erumpet quasi mane lumen tuum; et sanitas tua citius orietur, et anteibit faciem tuam justitia tua, et gloria Domini colliget te.
【不正の鎖を破り、くびきの結びを解き、虐げられる者を自由に放ち、すべてのくびきをほどくことだ。パンを飢える人に与え、屋根を持たぬあわれな人を宿らせ、裸の人を見て服を着せ、肉身の者をないがしろにしないこと、これではないか。そうすれば、光は暁のようにのぼり、傷は早く閉じ、おまえの前を正義が歩み、後ろに主の栄光がつき従う(イザヤ58章6-8節)。】

伝統的な社会の解体が準備されている今の世界の危機は、カトリック教会をも巻き込んでおり、位階階級は権力の廷臣である背教者たちによって人質に取られています[4]。かつて、教皇たちや高位聖職者たちは、王の中の王であるイエズス・キリストの声によって語ることを知っていたため、世間体を気にすることなく王と対峙していた時期がありました。

チェザルたちと教皇たちのローマは、今や責務を放棄し、沈黙しています。それはちょうど、何世紀にもわたって第二のローマであるコンスタンティノープルが沈黙を守ってきたように、です。おそらく御摂理は、第三のローマであるモスクワが、今日、世界の目の前で、反キリストに対する終末論的障害物である「κατέχον(カテコン)」(テサロニケ後書2章6-7節)の役割を担うよう命じたのでしょう。共産主義の誤謬がソ連によって広められ、教会の内部にまで押しつけられるという段階にまであるとすれば、ロシアとウクライナは今日、キリスト教文明の復興において歴史的な役割を担い、世界に平和の時代をもたすことに貢献できるのであり、それによって、教会もよみがえり、その役務者は清められ、新たにされるのです。

米国と欧州諸国は、ロシアを疎外するのではなく、むしろロシアと同盟を結ぶべきです。それは、すべての人の繁栄のための貿易の回復のためだけでなく、キリスト教文明の再建のためであり、それだけが、世界をグローバリズムのテクノヘルス・トランスヒューマンの怪物から救うことができるのです。

最後の考察

世界の諸国民の運命が、エリートの手に握られていることに大きな懸念があります。彼らは、自らの決定について誰にも説明責任を負わず、自分より上位の権威を認めず、自らの利益を追求するために、その役割にある政治家や主流メディアの共謀をもって、安全保障や経済、何十億もの人々の生活そのものを危険にさらすことを躊躇しないのですから。事実の偽造、現実のグロテスクな改ざん、ニュース拡散の際の党派性は、反対の声の検閲と並んで、ロシア市民に対する民族的迫害の形を取るに至っています。ロシア市民らは、民主的で基本的人権を尊重すると言っている、まさにその国々で、差別されているのです。

新世界秩序の圧制に対抗して世界の諸国民を団結させる反グローバリズム同盟の設立を求める私の訴えが、共通善、国家間の平和、すべての国民の調和、すべての市民の自由、新しい世代の未来を切望する諸国民によって受け入れられることを、私は切に希望しています。そして、それ以前に、私の言葉が――多くの知的に誠実な人々の言葉とともに――、ウクライナでの戦争に関する大きな不安の時でさえ、嘘と欺瞞を利用して自らの犯罪を正当化する人々の共謀と腐敗を明るみに出すことに貢献しますように。

「不正の中で弱くならないように、強者が私の声に耳を傾けますように。もし権力者がその権力を破壊ではなく、人民の支援、秩序と仕事の平穏のための保護を望むなら、私の声に耳を傾けますように(ピオ十二世、「戦争の危険が差し迫っている世界の国家指導者と国民へのラジオメッセージ」、1939年8月24日)」。

聖なる四旬節が、すべてのキリスト信者を、天主の聖なる法を踏みにじる者たちの天主の御稜威に対して罪の赦しを求めるように導きますように。苦行と断食が、主なる天主があわれんでくださるよう促す一方で、私たちが、預言者ヨエルの次の言葉を繰り返すことができますように。
Parce, Domine: parce populo tuo; et ne des hæreditatem tuam in opprobrium, ut dominentur eis nationes.

(主よ、赦し給え。主よ、御民を赦し給え。そして、御身の嗣業を非難にさらし給うな、諸国の嘲笑にさらし給うな)(ヨエル2章17節)。

+大司教カルロ・マリア・ヴィガノ
前駐米教皇大使
2022年3月6日
四旬節第一主日

[2]国家院議員であるロシアの政治家ヴィクトル・ヴラディスラヴィッチ・ズバレフによると、ゼレンスキーはコスタリカのドレスナー銀行に12億ドルを預け、マイアミの別荘を3400万ドルで購入しているとも言われている(こちら)。より包括的なイメージは、ウクライナの独立系調査報道機関Slidstvo-infoによる調査(こちら)を参照のこと。

[3]イタリアのロベルト・チンゴラーニ環境・国土・海洋保全相は数日前、「エネルギー面でも具体的な援助として」ウクライナに石油資源の一部を売却することを決めたが、これはパンデミックの際に彼が中国に数百万個のマスクを配り、その後すぐに北京から買い戻したのと同じである(こちら)。

[4]週刊誌「ファミーリア・クリスティアーナ」(Famiglia Cristiana)は3月6日号で、聖エディジオ共同体の創設者アンドレア・リッカルディの記事について、「戦争を止め、新世界秩序を築こう」という見出しをつけてコメントしている(こちら)。


【参考情報】ヴィガノ大司教:グローバリストは新世界秩序の専制政治を確立するためにウクライナの戦争を扇動した

2022年03月17日 | カトリック・ニュースなど

【参考情報】ヴィガノ大司教:グローバリストは新世界秩序の専制政治を確立するためにウクライナの戦争を扇動した

Abp. Viganò: Globalists have fomented war in Ukraine to establish the tyranny of the New World Order

  • ウクライナ国民は、どの民族に属していようとも、超国家的全体主義体制によって知らないうちに人質となってしまったばかりの人々に過ぎない。この体制は、コロナウイルス感染症という欺瞞によって、全世界の国民経済を屈服させた。

2022年3月7日(月曜日)

(LifeSiteNews)―「平和で失うものは何もありません。戦争ではすべてが失われてしまうでしょう。人々に理解力を取り戻させましょう。人々に交渉を再開させましょう。善意と互いの権利の尊重をもって交渉し、真摯で積極的な交渉があれば、名誉ある成功が決して妨げられないことを理解させましょう。そして、集団的であれ私的であれ、熱情の声を沈黙させて、理性をその本来の領域に委ねることで、兄弟たちの流血と祖国の破滅を免れることができれば、人々は偉大だと感じるでしょう―真の偉大さを持って」。

このように、1939年8月24日、ピオ十二世は、戦争が差し迫っていたとき、統治者と諸国民の両方に語りかけました。これは空疎な平和主義の言葉でもなければ、多くの方面で行われていた多数の正義への侵害に加担する沈黙の言葉でもありませんでした。今でも耳にしたことを覚えている人がいるように、そのラジオメッセージで、ローマ教皇の訴えは、実りある和平交渉の前提条件として、「互いの権利の尊重」を呼びかけていました。

メディアの物語(ナラティブ)

ウクライナで起きていることを、主流メディアの重大な捏造に惑わされることなく見てみると、お互いの権利の尊重が完全に無視されていることに気づきます。バイデン政権、NATO、欧州連合(EU)は、ウクライナ危機の平和的解決を不可能にし、ロシア連邦を刺激して紛争を引き起こすために、明らかに不均衡な状況を意図的に維持しようと望んでいるような印象を受けます。ここに問題の深刻さがあります。これは、ロシアとウクライナの両方に仕掛けられた罠であり、グローバリスト・エリートが犯罪計画を実行するために、両者を利用するものです。

民主主義を標榜する国々で賞賛されてきた多元主義と言論の自由が、公式の物語(ナラティブ)に沿わない意見に対する検閲と不寛容によって日々否定されていることは、驚くには値しません。この種の操作は、いわゆるパンデミックの間、標準化してしまい、治験的な血清【いわゆる「ワクチン」】の有効性にあえて疑問を呈したという事実だけで、医師、科学者、反対意見のジャーナリストが、信用を失い、排斥されることになりました。

2年後、副作用と健康上の緊急事態の残念な管理に関する真実が、彼らが正しかったことを証明しました。しかし、真実は頑なに無視されています。なぜなら、真実が、システムが望んでいたこと、そして現在も望んでいることと一致しないためです。

世界のメディアがこれまで、厳密な科学的関連性のある事柄についての恥知らずな嘘をつき、嘘を広め、現実を隠してきたのなら、なぜ、現在の状況において、メディアが知的誠実さを突然見出し、またコロナウイルス感染症で広く否定された倫理規範への敬意をいきなり再発見しなければならないのか、私たちは自問すべきです。

しかし、もしこの巨大な詐欺がメディアによって支持され、流布されたとすれば、国内そして国際的な保健機関、政府、裁判官、法執行機関、カトリックの位階階級自体がすべて、この災難の責任を共有していることを認識しなければなりません――それぞれがそれぞれの領域で、積極的にこの物語に対して支持するか反対しないかによって――この災難は、何億もの人々の健康、財産、個人の権利行使、さらには生命そのものに影響を与えているのです。

この場合でさえ、意図され悪意を持って増幅されたパンデミックを支持してこのような犯罪を行った人々が、戦争によって安全と経済が脅かされたとき、突然尊厳を揺さぶられ、市民と祖国に配慮を示すことができると考えるのは困難です。

もちろん、これは中立的な立場にとどまって、自分の周りで起こっていることを冷静に、ほとんど無関心で見ていたいという人々の賢明な判断であり得るかもしれません。しかし、権威ある客観的な情報源に基づき、事実に対する知識を深め、それを文書化すれば、疑問や当惑は、すぐに憂慮すべき確信になるのが分かります。

経済的な面に限って調べたいと思っても、通信社、政治機関や公共機関それ自体が、少数の金融グループに依存していることを理解するでしょう。この少数のグループは、金と権力による結びつきだけでなく、国家や全世界の政治に対する行動と干渉を指導するイデオロギー的所属によっても結び付いている寡頭制に属しています。この寡頭制は、国連、NATO、世界経済フォーラム、欧州連合、そしてジョージ・ソロスのオープン・ソサエティー財団やビル&メリンダ・ゲイツ財団のような「慈善」団体に、その触手を伸ばしているのです。

これらの組織はすべて私的なものであり、自分たち以外の誰にも責任を負いません。同時に、重要なポストに選出または任命させられる自分たちの代表を通して行動することを含め、各国政府に影響を与える力を持っているのです。彼らは、国家元首や世界の指導者たちからあらゆる栄誉をもって迎えられ、その指導者たちから世界の運命を左右する真の支配者として敬われ、恐れられていることを、自ら認めているのです。こうして、「『国民』の名の下に」権力を握る者【政治家】たちは、気がついてみれば、国民の意思を踏みにじり、その権利を制限しているのです。それは、政治家たちが主人たちに対して従順な廷臣となるため、しかも、誰からも選ばれていないにもかかわらず、政治的・経済的なアジェンダ(行動計画)を国家に命じる主人たちのしもべとなるためです。、

次に、ウクライナ危機に移ります。これは、不条理な権利を主張しようとしている独立した民主国家に対するウラジーミル・プーチンの拡張主義の傲慢さの結果だとして、私たちに提示されています。それによると「戦争屋プーチン」は、祖国の土地、神聖な国境、そして侵害された市民の自由を守るために勇敢に立ち上がった無防備な人々を虐殺すると言われています。したがって、「民主主義の擁護者」である欧州連合と米国は、ウクライナの自治を回復し、「侵略者」を追い出し、平和を保証するために、NATOによって介入しないわけにはいかない、と言われているのです。「暴君の横暴」に直面して、世界の諸国民は共同戦線を張り、ロシア連邦に制裁を加え、「国家の英雄」であり国民の「擁護者」である「かわいそうな」ゼレンスキー大統領に兵士、武器、経済援助を送るべきだとされています。プーチンの「暴力」の証拠として、メディアは爆撃、軍事捜索、破壊の映像を流し、責任をロシアに押し付けようとしているのです。さらに、欧州連合とNATOは、「恒久平和」を保証するために、ウクライナを加盟国として迎え入れるべく、その両腕を大きく広げています。そして、「ソ連のプロパガンダ」を防ぐために、欧州は「ロシア・トゥデイ」と「スプートニク」を閲覧禁止にして、情報の「自由と独立」を保証しているのです。

これが公式の物語(ナラティブ)であり、誰もがそれに従います。戦争中である以上、反対意見は即座に任務放棄(敵前逃亡)となり、反対意見を述べる者は反逆罪となり、多かれ少なかれ重い制裁を受けるに値し、コロナウイルス感染症で、「ワクチン未接種」の人々に対するものとしてよく経験したように、公開処刑と排斥から始まるのです。

しかし、真実は、もし真実を知りたいのならば、物事を違った角度から見ることを私たちに許し、事実がどのように提示されているかではなく、事実が何であるかに基づいて判断することを許してくれます。これは、ギリシャ語のἀλήθεια【aletheia、真理】の語源が示すように、真の正しい啓(ひら)き示しなのです【ギリシア語の「真理」(aletheia)は「隠されていない」という語源を持つ a- "否定" + lēthē "隠れた" < *ladh- "隠された"】。あるいは、終末論的なまなざしで、啓示、ἀποκάλυψις【apocalypse 黙示】というべきかもしれません。

NATOの拡大

まず第一に、嘘偽りのない、また変更することのできない事実を思い出すことが必要です。
検閲しようとする人たちにとってどんなに刺激的であろうとも、事実が私たちに教えてくれるのは、ベルリンの壁が崩壊して以来、米国は政治的・軍事的影響力の範囲を旧ソ連のほぼすべての衛星国に拡大し、最近ではポーランド、チェコ、ハンガリー(1999年)、エストニア、ラトビア、リトアニア、スロベニア、スロバキア、ブルガリア、ルーマニア(2004年)、アルバニアとクロアチア(2009年)、モンテネグロ(2017年)、北マケドニア(2020年)に、NATOに加盟させるに至った、ということです。NATOは、ウクライナ、ジョージア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビアへの拡大を準備中です。実質的に言えば、ロシア連邦は、国境からわずか数キロメートルのところで、兵器やミサイル基地などの軍事的脅威にさらされていますが、米国の近接したところに同じような軍事基地をロシアは持っていません。

ロシアの正当な抗議を引き起こすとは考えずに、NATOのウクライナへの拡大の可能性を検討していることは、不可解というほかありません。特に、1991年にNATOがクレムリンに対して、これ以上拡大しないことを約束した事実を考えれば、なおさらです。それだけではありません。2021年末、シュピーゲル誌は、米国との条約とNATOとの安全保障に関する協定の草案を掲載しました(こちらこちらこちら)。

モスクワが西側のパートナーに要求していたのは、NATOがウクライナを同盟に加えてさらに東へ拡大しないこと、また旧ソ連の衛星諸国に軍事基地の設置を阻止する法的保証です。この提案には、NATOがロシア国境付近への攻撃兵器を配備しないことと、東欧のNATO軍を1997年の位置まで撤退させるという条項も含まれていました。

このように、NATOは、ロシアとの約束を守らなかった、あるいは、少なくとも、地政学的なバランスにとって非常に微妙な時期に、この状況を敢えて作り出したのです。なぜ米国は、いや、むしろジョー・バイデンをホワイトハウスに押し上げた不正選挙の後に権力を取り戻した米国の「ディープ・ステート」は、ロシアとの緊張関係を作り出そうとするのか、そしてなぜ想像できるすべての結果を伴う紛争に欧州の同盟国を巻き込みたいのか、私たちは自問すべきです。

【イタリア軍の】統合首脳作戦司令部の元司令官マルコ・ベルトリーニ将軍が、明晰にこう指摘しましたが、その通りです。「米国は冷戦に勝っただけでなく、ある意味で影響力の及ぶ範囲にあるものをすべて奪って(ロシアに)屈辱を与えようと望んだのである。(プーチンは)バルト三国、ポーランド、ルーマニア、ブルガリア(がNATOに加盟するの)を我慢した。黒海へのアクセスの可能性を奪うことになるウクライナ(のNATO加盟)に直面したとき、彼は反応した」(こちら)。

そして、こう付け加えています。「政権の安定性に問題がある。芸能界出身の極めてありえない首相(ゼレンスキー)がいる状況が生じている」。将軍は、米国がロシアを攻撃する場合、次のことを思い起こすのを忘れません。「ウクライナ上空を飛ぶグローバルホークはシゴネラ(イタリア)から出発する。イタリアは大部分が米国の軍事基地である。リスクはそこ【イタリア】にあり、現実に存在している」(こちら)。

ロシアのガス供給を封鎖して利益を増やす

また、私たちが自問しなければならないのは、EUとロシアの間の微妙なバランスを不安定化させる背景には、経済的利益もあるのではないかということです。これは、EU諸国の必要性から来るもので、EU諸国は米国の液化ガスを獲得しなければならず(これに対しては、多くの国が持っていない再ガス化施設も必要で、いずれにせよ、施設建設のためにより多くの費用を支払わなければなりません)、ロシアのガス(これは、より環境に優しい)の代わりにする、ということです。

イタリアの石油ガス会社ENIが、ガスプロムのブルーストリームパイプライン(ロシアからトルコまで)への投資を停止したことは、必然的に追加の供給源を奪われることになります。何故なら、このパイプラインは、アドリア海横断パイプライン(トルコからイタリアまで)にガスを供給するものだからです。

したがって、2021年8月にゼレンスキーが、ロシアとドイツを結ぶノルドストリーム2パイプラインを、「ウクライナだけでなく全欧州にとって危険な武器」(こちら)とみなすと宣言したのは偶然とは思えません。このパイプラインは、ウクライナを迂回するので、キエフから年間約10億ユーロの通過関税収入を奪うものだからです。ウクライナ大統領は、「われわれは、このプロジェクトを安全保障のプリズムを通してのみ捉え、クレムリンの危険な地政学的武器であると考えている」と述べ、バイデン政権に同意しました。米国のヴィクトリア・ヌーランド国務次官は、次のように述べました。「ロシアがウクライナに侵攻するならば、ノルドストリーム2は前に進まない」。ですから、ドイツの投資に深刻な経済的損害を与えつつ、プロジェクト中止が実現したのです。

ウクライナにあるペンタゴンのウイルス学研究所

ウクライナにおける米国の利益ということでは、ペンタゴンの管理下にあるウクライナのウイルス学研究所に触れておく価値があります。この研究所では、外交特権を持つ米国の専門家だけが、米国防総省の下で直接雇用されているように思われるのです。

また、住民に関するゲノムデータの収集に関してプーチンが述べた不満も忘れてはなりません。このデータは、遺伝子選択による細菌兵器に利用可能ですから(こちらこちらこちら)。ウクライナの研究所の活動に関する情報を確認するのが難しいのは明らかですが、ロシア連邦が、これらの研究所が住民の安全に対するさらなる細菌学的脅威となり得ると考えたのは、理由がないわけではないことは理解できます。米大使館は、「生物学的脅威削減プログラム」(Biological Threat Reduction Program)に関するすべてのファイルをウェブサイトから削除しました(こちら)。

マウリツィオ・ブロンデ【Maurizio Blondet イタリア人ジャーナリスト】は、以下のように書いています。

「イベント201」は、パンデミック爆発が起こる1年前に、それをシミュレーションしていた。この「イベント201」には、見た目は害を与えないジョンズ・ホプキンズ大学の恵まれた健康安全保障センターが(いつものビル&メリンダと一緒に)参加した。この人道的機関は、長い間、あまり純真でない名前を持っていた。「民間生体防御戦略センター」(Center for Civilian Biodefence Strategies)と呼ばれ、米国人の健康を扱っていたのではなく、むしろその反対のもの、バイオテロの軍事攻撃への対応を扱っていたのである。事実上、軍民一体の組織である。1999年2月、ペンタゴンのあるアーリントン(バージニア州)のクリスタルシティで第1回の会議を開いたとき、950人の医師、軍人、連邦政府関係者、保健所関係者を集め、シミュレーション演習を行った。このシミュレーションの目的は、「軍事化」された天然痘攻撃を想像して、それに対抗することである。これは、イベント201と「パンデミック詐欺」(Pandemic Imposture)で花開くことになる演習の第一弾に過ぎない(こちら)。ウクライナ軍に関する実験も表に出て(こちら)、2016年には、ウクライナのルチェンコ検事に関して米大使館が介入し、同検事が「G・ソロスとB・オバマの億単位の資金循環」を調査しないようにさせました(こちら)。

中国の拡張主義者の台湾に対する野心への間接的な脅威

今回のウクライナ危機は、中国と台湾の地政学的なバランスに対して、二次的ではあるものの、それでもなお深刻な影響を与えます。ロシアとウクライナしか、マイクロチップの生産に不可欠なパラジウムとネオンの産出国はないのです。【パラジウムはロシアが約4割、ネオンはウクライナが約7割】

「市場調査グループのテクセット社が、多くの半導体メーカーがネオンやパラジウムなどのロシアとウクライナ産の原材料に依存していることを強調する報告書を発表して以来、モスクワの報復の可能性がここ数日で注目されている。テクセット社の推計によると、米国の半導体用ネオンの供給の90%以上はウクライナ産で、米国のパラジウムの35%はロシア産である。(中略)米国際貿易委員会によると、2014年のロシアのクリミア半島併合前にネオンの価格が600%上昇したが、これはチップ企業が一部のウクライナ企業に依存していたためである(略)。」

「中国の台湾侵攻が世界の技術サプライチェーンを危険にさらすことが事実なら、ロシアからの原材料が突然不足することで生産がストップすることによって、この島【台湾】が「マイクロチップの盾」を失い、北京が台北併合を試みるようになることも真実である。」(出典)

バイデンのウクライナにおける利益相反

また、人が深く分析しない傾向にあるのが、2002年からウクライナ市場で操業している石油・ガス会社「ブリズマ」に関連する問題です。

「バラク・オバマの米大統領時代(2009年から2017年まで)、オバマの右腕は、国際政治を扱う「委託権限」を持つジョー・バイデンであった。この時以来ずっと、この米民主党の指導者が提供する「保護」がウクライナの民族主義者に与えられた。これはキエフとモスクワの間の妥協できない不和を生み出した一本の線である。(中略)ウクライナをNATOに近づけるという政策を実行したのは、当時のジョー・バイデンであった。彼は、ロシアから政治的、経済的な力を奪いたかったのである。(中略)近年、ジョー・バイデンの名前は、彼の立候補も揺るがしたウクライナをめぐるスキャンダルとも関連付けられている。(中略)ウクライナ最大のエネルギー企業(ガスと石油の両方で活動)であるブリズマ・ホールディングスが、ハンター・バイデンを月給5万ドルでコンサルタントとして雇ったのは、2014年4月のことであった(中略)。すべて透明であるが例外があった。ジョー・バイデンが、現在ロシアによって承認された共和国となったドンバスのこれらの地域のウクライナによる占有を取り戻すことを目的とした米国の政策を、その数カ月の間続けたことだけは不透明である。ドネツク地域には未開発のガス田が豊富にあるとされ、ブリズマ・ホールディングスがずっとこれを狙ってきている。経済政策と絡めた国際政策は、当時の米国のメディアでさえも鼻でせせら笑いさせた程だった(出典)。」

民主党は、トランプがバイデンの選挙運動に害を与えるためにメディアスキャンダルをつくったと主張しましたが、トランプの非難は真実であることが判明しました。ジョー・バイデン自身が、当時大統領だったペトロ・ポロシェンコとアルセニ・ヤツェニク首相に介入して、ヴィクトル・ショーキン検事総長が、バイデンの息子ハンターを調査しないように阻止したことを、ロックフェラーの外交問題評議会の会合において自分で認めています。

バイデンは、「2015年12月のキエフ訪問の際、米国での10億ドルの融資保証を保留する」と脅していた、とニューヨーク・ポスト紙が報じています。「もし(ショーキン検事総長が)解任されなければ、お金は手に入らない」(こちらこちら)。そして、検事総長はその通りに解任され、ハンターは、さらなるスキャンダルから救われたのです。

バイデンのキエフ政治への干渉は、ブリズマと腐敗したオリガルヒ【旧ソ連地域の新興財閥】への便宜と引き換えに、現職の米大統領が自分の家族とイメージを守ることに関心を持ち、ウクライナの混乱と戦争さえ煽っていることを裏付けています。自分の役割を利用して自分の利益に気を配り、自分の家族の犯罪を隠蔽する人物が、恐喝の対象になることなく、正直に統治できるでしょうか?

【参考資料】バイデンに利用され捨てられたウクライナの悲痛

ウクライナの核問題

最後に、ウクライナの核兵器の問題があります。2022年2月19日、ミュンヘンでの会議でゼレンスキーは、ウクライナの核兵器の開発、拡散、使用を禁じたブダペスト覚書(1994年)を破棄する意向を表明しました。また、この覚書には、ロシア、米国、英国がウクライナの政策に影響を与えるために経済的圧力を行使するのを控えることを義務付ける条項があり、IMFや米国が「グレート・リセット」に沿った改革と引き換えに経済援助を与えることは、さらなる合意違反となります。

ベルリン駐在のウクライナ大使アンドリー・メルニクは、2021年にドイツ公共放送ラジオ(Deutschlandfunk)で、ウクライナがNATOに加盟できなかった場合、核保有国の地位を回復する必要がある、と主張しました。ウクライナの原子力発電所は、国営企業NAEKエネルゴアトムが操業、再建、保守を行っていますが、エネルゴアトムは2018年から2021年にかけてロシア企業との関係を完全に終了させました。エネルゴアトムの今の主なパートナーは、米国政府にたどり着くことができる企業です。ロシア連邦がウクライナの核兵器保有の可能性を脅威とみなし、キエフに核不拡散条約の遵守を要求していることは容易に理解できます。

ウクライナのカラー革命とクリミア、ドネツク、ルガンスクの独立

2013年、ヴィクトル・ヤヌコヴィッチ大統領の政府が、ウクライナと欧州連合の連合協定の停止とロシアとの経済関係の緊密化を決定した後、「ユーロマイダン」として知られる一連の抗議デモが始まり、それは数カ月に渡って続き、ヤヌコヴィッチを打倒して新政府を樹立するに至る革命で最高潮に達しました。これは、ジョージ・ソロスが資金提供した作戦であったと、ソロスはCNNに率直に語りました。「私は、ウクライナがロシアから独立する以前から、ウクライナに財団を持っています。この財団は常にビジネスを行っており、今日の出来事において決定的な役割を果たしました」(こちらこちらこちら)。この政権交代は、ヤヌコヴィッチの支持者と、ウクライナの親西欧化に反対する一部のウクライナ国民の反発を招きました。親西欧化は、国民は望んでいなかったものの、カラー革命によって獲得されたものであり、その総合リハーサルが何年か前に、ジョージア、モルドバ、ベラルーシで行われていたのです。

2014年5月2日の衝突に続き、民族主義の準軍事組織(「右派セクター」などを含む)も介入し、オデッサでの大虐殺もありました。欧米の報道機関も、これらの恐ろしい出来事をあきれ返るように語り、アムネスティ・インターナショナル(こちら)や国連は、これらの犯罪を糾弾し、その残虐性を文書にしました。しかし、今日、ロシア軍の犯罪容疑に対して行われようとしているように、責任者に対する手続きを開始した国際裁判所はありません。

尊重されていない多くの合意の中には、ウクライナ、ロシア、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国の代表からなるウクライナに関する「三者連絡グループ」(Trilateral Contact Group)が、2014年9月5日に署名したミンスク議定書もあります。合意のポイントの中には、武装した違法集団、軍事装備、そして戦闘員や傭兵を、OSCEの監視のもとでウクライナ領内から排除し、すべての違法集団の武装解除を行うことも含まれていました。合意内容に反して、ネオナチの準軍事集団は、政府に公式に認められているだけでなく、そのメンバーには公式任務さえも与えられているのです。

また、2014年には、クリミア、ドネツク、ルガンスクがウクライナからの独立を宣言し――国際社会が認めた民族自決の名のもとに――ロシア連邦への編入を宣言しました。ウクライナ政府は、住民投票によって承認されたこれらの地域の独立を認めるのをいまだに拒否しており、ネオナチ民兵や正規軍自身が、住民に対して自由に暴れるのを放置しているのです。これらの団体がテロ組織とみなされているにもかかわらずです。2014年11月2日の二つの住民投票は、ドネツク州とルガンスク州への分権化と特別な地位の形態のみを規定したミンスク議定書の延長線上にあることは事実です。

フランコ・カルディーニ教授【イタリアの歴史家】が最近指摘したように、「2022年2月15日、ロシアはこの状況を終わらせ、ロシア語を話す住民を守るための条約の草案を米国に届けました。それは紙くずです。この戦争は2014年に始まったのです」(こちらこちら)。

そして、それは、ドンバスのロシア系少数民族と戦いたがっていた人々の意向のうちにある戦争でした。「われわれには、これから仕事と年金があるが、彼らにはないだろう。われわれは子どもを持つとボーナスが出るが、彼らには出ないだろう。われわれの子どもには学校や幼稚園があるが、彼らの子どもは地下室にいるだろう。このようにして、われわれはこの戦争に勝つだろう」と、ペトロ・ポロシェンコ大統領は2015年に述べています(こちら)。

こうした措置が、仕事も給料も教育も奪われた、いわゆる「ワクチン未接種者」に対する差別と似ていることに気づかないわけにはいきません。ドネツクとルガンスクでは8年間にわたり爆撃が行われ、数十万人の犠牲者、150人の子どもの死者、そして拷問、レイプ、誘拐、差別といった非常に深刻な事例が発生しているのです(こちら)。

2022年2月18日、ドネツクとルガンスクの各大統領であるデニス・プーシリンとレオニード・パセチニクは、ドンバス人民民兵とウクライナ軍との衝突が続いているため、それぞれの州の民間人のロシア連邦への避難を命じました。2月21日、プーチン大統領がドネツク、ルガンスク両共和国と締結した友好・協力・相互援助条約を、国家院(ロシア議会下院)が全会一致で批准しました。同時に、ロシア大統領はドンバス地域の平和を回復させるために、ロシア連邦から軍隊を派遣することを命じました。

ここで、ネオナチの軍隊や準軍事組織(彼らは鉤十字の旗を掲げ、アドルフ・ヒトラーの肖像を掲示しています)が、独立共和国のロシア語を話す住民に対して露骨な人権侵害を行っている状況で、なぜ国際社会がロシア連邦の介入を非難に値すると感じ、実際に暴力についてプーチンを非難しなければならないと感じるのか、不思議に思うかも知れません。

1991年8月24日のウクライナ独立宣言で有効とされ、国際社会も認めた評判の高い民族自決権はどこにあるのでしょうか? また、NATOが、ユーゴスラビア(1991年)、コソボ(1999年)、アフガニスタン(2001年)、イラク(2003年)、リビアとシリア(2011年)で【ロシアと】同じようなことを行いながら、誰も異議を唱えることないのに、なぜ今日ロシアのウクライナへの介入が問題となるのでしょうか? 言うまでもなく、イスラエルはこの10年間、北部の国境に敵対的な武装戦線が形成されるのを防ぐために、シリア、イラン、レバノンの軍事目標を繰り返し攻撃してきましたが、どの国もテルアビブへの制裁実施を提案することはなかったのです。

欧州連合と米国――ブリュッセルとワシントン――が、いかなる偽善でゼレンスキー大統領への無条件の支持を与えているのかを見るのは、幻滅させられます。ゼレンスキーの政府は、8年前からロシア語を話すウクライナ人を罰せられることなく迫害し続け(こちら)、彼らは自国語で話すことさえ禁じられています。

この国には多くの民族がいて、その中にはロシア語を話す人々が17.2%いるというのにです。そして、ウクライナ軍が人間の盾として民間人を使っていることについても、彼らが沈黙していることはスキャンダラスです。ウクライナ軍は、人口密集地や病院、学校、幼稚園の中に対空兵器を置き、まさにそれらの破壊によって住民の間に死者を出すことができるようにしているのです。

主流メディアは、ロシア兵が民間人を安全な場所に誘導する画像(こちらこちら)や、人道回廊を設置し、そこにウクライナ民兵が発砲する画像(こちらこちら)を見せないように注意しています。

ちょうど、ゼレンスキーが武器を与えた民間人の一部による略奪、虐殺、暴力、窃盗についても沈黙しているのと同じです。インターネット上で見ることのできる動画は、ウクライナ政府によって巧妙に煽られた内戦という見方を示しています。これに、軍に徴兵されるために釈放された囚人や、外国人部隊の志願者も加えることができます。状況を悪化させ、管理不能にすることに貢献する、規則も訓練もない狂信者の集団です。

ウォロディミル・オレクサンドロヴィッチ・ゼレンスキー大統領

多くの党派が指摘しているように、ウクライナのゼレンスキー大統領の立候補と当選は、近年始まった、喜劇俳優や芸能人が政治へ貸し出されるという最近の決まり文句に対応するものです。

ふさわしい「エリートコース」(cursus honorum)にいないことが、機関のトップに立つ障害になるとは考えないでください。その反対です。政党の世界では、見た目が見知らぬ人であればあるほど、その人の成功は権力を保持する人々によって決定されるとみなされるべきでしょう。ゼレンスキーのドラッグパフォーマンスは、欧州のスポンサーが、男女平等、妊娠中絶、「グリーン・エコノミー」と並んで、すべての国が受け入れるべき「改革」アジェンダ(行動計画)の必須条件と考えるLGBTQイデオロギーと完全に一致するものです。WEFのメンバー(こちら)であるゼレンスキーが、シュワブやその同盟者たちの支援から恩恵を受けて政権を取り、ウクライナでも「グレート・リセット」が実行されるようになったのも不思議はありません。

ゼレンスキーが製作・主演した57回にわたるテレビシリーズは、メディアが彼のウクライナ大統領選への立候補と選挙戦を計画したことを示しています。フィクション番組「国民のしもべ」で彼は、思いがけず共和国大統領に就任し、政治の腐敗と戦う高校教師の役を演じました。絶対的に平凡だったこのシリーズが、それでもワールドフェスト・レミ賞(米国、2016年)を受賞し、ソウルドラマアワード(韓国)のコメディ映画部門で最終4候補に入り、ハンブルクのワールド・メディア・フェスティバルでエンターテインメントTVシリーズ部門のインターメディアグローブ銀賞を受賞したのは偶然ではないでしょう。

ゼレンスキーがテレビシリーズで得たメディア上の評判は、彼に1000万人を超えるインスタグラムのフォロワーをもたらし、同名の政党「国民のしもべ」の設立の前提を作り出しました。この政党には、(ゼレンスキー自身やオリガルヒのコロモイスキーとともに)「クヴァルタール95スタジオ」の総支配人かつ株主であり、「TV 1+1テレビネットワーク」のオーナーでもあるイワン・バカノフもメンバーとして名を連ねています。ゼレンスキーのイメージは人工的に作られたもの、メディアのフィクションであって、ウクライナの集団的想像力の中に何とか作り出すことに成功した政治的キャラクターが、フィクションではなく現実に権力を獲得したという、合意形成操作という軍事作戦なのです。

「ゼレンスキーの勝利が見られた2019年の選挙のちょうど1カ月前、彼は会社(クヴァルタール95スタジオ)を友人に売却し、それでも、家族に対して正式に放棄したビジネスの収益を得る方法を見つけていた。その友人とは、後に大統領補佐官に任命されたセルゲイ・シェフィルだった。(中略)株式の売却は、シェフィルが所有し、英領ヴァージン諸島で登記されている会社、マルテックス・マルチキャピタル社の利益のために行われた」(こちら)。

ウクライナの現大統領は選挙運動で、2丁の機関銃を持ち、腐敗やロシアへの従属を指摘された議会の議員に発砲するという、控えめに言っても憂慮すべきCMを流しました(こちら)。

しかし、ウクライナ大統領が「国民のしもべ」の中の役割で喧伝する汚職との闘いは、いわゆるパンドラ文書から浮かび上がる大統領の姿とは一致しません。この文書では、選挙前夜にユダヤ人大富豪コロモイスキー[1]からオフショア口座を通じて4000万ドルが支払われたと見られています(こちらこちらこちら)。[2]大統領の母国では、多くの人々が、彼が親ロシア派のオリガルヒから権力を奪ったのは、ウクライナ国民に権力を与えるためではなく、むしろ自分の利益集団を強化し、同時に政敵を排除するためだと非難しています。

彼は、保守派の大臣たちを清算した。まずは、力のある内務大臣だったアルセン・アヴァコフである。彼は、自分の法律をチェックする役割を担っていた憲法裁判所長官を突然引退させた。彼は、七つの野党のテレビ局を閉鎖させた。彼は、ヴィクトル・メドヴェドクを逮捕し、反逆罪で告発した。ヴィクトル・メドヴェドクは、親ロシア派のシンパであり、とりわけ、彼の政党「国民のしもべ」に続くウクライナ議会の第二党である「野党プラットフォーム・生活のため」の指導者であった。彼はまた、ロシアやその友人と仲良くしている人以外は誰でも疑ってかかるポロシェンコ前大統領を反逆罪で裁判にかけようとしている。人気者の元ボクシング世界チャンピオンのキエフ市長、ヴィタリー・クリチコは、すでに何度も捜索や押収を受けている。要するに、ゼレンスキーは、自分の政治にそぐわない人物を一掃したいように見える(こちら)。

2019年4月21日、ゼレンスキーは、73.22%の得票率でウクライナ大統領に選出され、5月20日に宣誓しました。2019年5月22日、彼は「クヴァルタール95」の局長であるイワン・バカノフを、ウクライナ治安サービスの第一副長官とウクライナ治安サービス中央総局の汚職・組織犯罪対策主管局長に任命しました。バカノフと並んで、世界経済フォーラムのメンバーであるミハイロ・フョードロフ副首相兼デジタルトランスフォーメーション担当大臣の名前を挙げるべきでしょう(こちら)。

ゼレンスキー自身は、カナダのジャスティン・トルドー首相にインスピレーションを受けたと認めました(こちらこちら)。

ゼレンスキーのIMFおよび世界経済フォーラムとの関係

ギリシャの悲劇的な前例が示すように、国家主権と、議会が表す民意は、経済的な性質を持つ恐喝や明白な強要で政府の政策に干渉する国際巨大金融の決定によって、事実上抹殺されます。欧州の最貧国の一つであるウクライナの場合も、例外ではありません。

ゼレンスキーの当選直後、国際通貨基金(IMF)は、自分たちの要求に従わなければ、ウクライナに50億ドルの融資をしない、と脅しました。IMFのCEOであるクリスタリナ・ゲオルギエヴァとの電話会談で、ウクライナ大統領は、ヤキフ・スモリイに代えて、IMFの「命令」(diktats)に従わない、自分が信頼するキリーロ・シェフチェンコを選んだことを叱責されました。アンデルス・オスルンド【ロシア・東欧の経済政策に関与したスウェーデン出身の学者】が「アトランティック・カウンシル」(Atlantic Council)に、こう寄稿しています。

ゼレンスキー政権を取り巻く問題は、心配すべき状況を迎えている。まず、2020年3月以降、大統領のもとで進められた改革だけでなく、前任者のペトロ・ポロシェンコが始めた改革をも覆そうとしている。第二に、同大統領の政府は、ウクライナの未達成の約束に関するIMFの懸念を解消するための、もっともらしい提案をしていない。第三に、同大統領はもはや議会の与党多数派を持たず、改革派の多数派を形成することに無関心なように見える(こちら)。

IMFの介入が、グローバリストのアジェンダ(行動計画)によって決定される経済的、財政的、社会的な政策に自らを合わせるというウクライナ政府の約束を得ることを目的としているのは、明白です。このアジェンダは、ウクライナの中央銀行の政府からの「独立」から始まるのです。つまり、IMFがキエフ政府に対して、お金の発行や公的債務の管理とともに国家主権を行使する方法の一つである、中央銀行に対する正当な支配を放棄するよう求めることを婉曲に表現しているのです。一方、そのわずか4カ月前、クリスタリナ・ゲオルギエヴァは、クラウス・シュワブ、チャールズ皇太子、アントニオ・グテーレス国連事務総長とともに「グレート・リセット」を打ち出したばかりでした。

BCUの新総裁キリーロ・シェフチェンコとともにWEFの好意を得た(こちら)ゼレンスキーの大統領職のもとで、それまでの政権では不可能だったことが可能になったのです。

その1年足らず後、シェフチェンコは自分が従属していることを証明するために、WEFに「中央銀行が各国の気候目標の鍵であり、ウクライナはその道を示している」という論文を寄稿しています(こちら)。こうして、アジェンダ2030は、恐喝のもとに、実行されるのです。

他にも、ウクライナ国立貯蓄銀行(ウクライナ最大の金融機関の一つ)、DTEKグループ(ウクライナのエネルギー分野における重要な民間投資グループ)、Ukr Land Farming(栽培農業のリーダー)など、WEFとつながりのあるウクライナの企業はあります。銀行、エネルギー、食糧は、クラウス・シュワブが理論化した「グレート・リセット」と第四次産業革命に完全に合致するセクターです。

2021年2月4日、ウクライナ大統領はZIK、NewsOne、112ウクライナなど七つのテレビ局を閉鎖しましたが、いずれも自国政府を支持しないという罪を犯していたとされました。アンナ・デル・フレオがこう書いているように。

「この自由破壊的な行為に対する厳しい非難が、欧州ジャーナリスト連盟と国際ジャーナリスト連盟からも寄せられ、閉鎖の即時解除が求められている。この3放送局は、今後5年間は放送ができなくなり、約1500人の雇用が危険にさらされることになる。3ネットワークが閉鎖されるべきだという実際上の理由は、それらが、情報セキュリティーを脅かし、「悪質なロシアの影響」の下にある、と非難するウクライナの政治的頂点の恣意性以外には何もない。ウクライナのジャーナリスト組合であるNUJUからも強い反応があり、何百人ものジャーナリストが自己表現の機会を奪われ、何十万人もの市民が情報を得る権利を奪われていることから、言論の自由に対する非常に重い攻撃だと語っている。」

今見たように、プーチンが非難されていることは、実際には、ゼレンスキーが、そして最近ではEUが、ソーシャルメディア・プラットフォームの共謀を得て行ったことなのです。デル・フレオの記事はこう記しています。

EFJのリカルド・グティエレス事務局長は、こう述べている。「テレビ放送局の閉鎖は、報道の自由を制限する最も極端な形態の一つである。国家は効果的な情報多元性を確保する義務がある。大統領の拒否権が、表現の自由に関する国際基準に全く合致していないことは明らかである」。

欧州における「ロシア・トゥデイ」や「スプートニク」の閲覧禁止措置の後、欧州ジャーナリスト連盟と国際ジャーナリスト連盟がどのような声明を出したかを知るのは、興味深いものです。

ウクライナのネオナチと過激派運動

ロシアの侵略から国民を守るために国際社会から人道的援助を求める国は、集団的想像力の中で、民主主義の原則の尊重と、"過激派イデオロギーによる活動やプロパガンダの拡散を禁止する法律"の制定を際立たせるべきです。

軍事・準軍事活動に従事するネオナチ運動は、しばしば公的機関の公式支援を受けて、ウクライナで自由に活動しています。これらには次のようなものがあります。
ステパン・バンデラのウクライナ国民党組織(OUN)、これは、チェチェンですでに活動していたナチ、反ユダヤ、人種差別の母体を持つ運動で、2013年から2014年の「ユーロマイダン」のクーデター時に結成された極右運動の連合体「右派セクター」の一部です。
ウクライナ反乱軍(UPA)。
UNA/UNSO、これは、極右政党ウクライナ国民会議の準軍事組織です。
コルチンスキー同胞団、これは、ISISメンバーにキエフでの保護を申し出ました(こちら)。
Misanthropic Vision(MD)、これは、19カ国に広がるネオナチネットワークで、キリスト教、イスラム教徒、ユダヤ教徒、共産主義者、同性愛者、米国人や有色人種に対するテロ、過激主義、嫌悪を公に扇動しています(こちら)。

ウクライナ政府は、これらの過激派組織の代表者の葬儀に大統領警護隊を派遣することによって、また、アゾフ大隊を支援することによって、明確な支援を与えていることを忘れてはなりません。同大隊は、アゾフ特殊作戦連隊という新しい名称のもとで公式にウクライナ陸軍の一部となり、また国家警備隊の組織に組み込まれている準軍事組織です。アゾフ連隊は、ウクライナ系ユダヤ人のオリガルヒであるイゴール・コロモイスキー(前ドニエプロペトロフスク州知事)によって資金提供されており、彼はまた、オデッサ大虐殺の責任者とされる民族主義民兵組織「右派セクター」の資金提供者だと考えられています。パンドラ文書でゼレンスキー大統領のスポンサーとして言及されているコロモイスキーと同一人物です。この大隊は、欧州や米国のいくつかの極右組織と関係を持っています。

アムネスティ・インターナショナルは、2014年9月8日にサリル・シェティ事務局長とアルセニー・ヤツェニュク首相が会談した後、ウクライナ政府に対し、キエフ軍とともに活動するボランティア大隊による虐待と戦争犯罪を終わらせるよう要請しました。ウクライナ政府はこの件に関する公式調査を開始し、アゾフ大隊の将校や兵士は誰一人として調査対象にはなっていないと宣言しています。

2015年3月、ウクライナのアルセン・アヴァコフ内務大臣は、アゾフ大隊が「オペレーション・フィアレス・ガード」の訓練任務の一環として、米軍部隊による訓練を受ける最初の部隊の一つになると発表しました。2015年6月12日、米下院がネオナチの過去を理由に、同大隊へのすべての援助(武器や訓練を含む)を禁止する修正案を可決し、米国の訓練は打ち切られました。その後、CIAの圧力により修正案は撤回され(こちらこちら)、アゾフ大隊の兵士は米国で訓練を受けることになりました(こちらこちら)。

「われわれは彼らをもう8年も訓練している。彼らは実に優れた戦士たちだ。そこで、CIAのプログラムが深刻な影響を与える可能性がある」。

2016年、OSCE(欧州安全保障協力機構)の報告書は、アゾフ大隊が捕虜の大量殺害、集団墓地での死体の隠蔽、身体的・心理的拷問技術の組織的使用に責任があることを明らかにしました。ところが、つい数日前、アゾフ大隊の副司令官ヴァディム・トロヤンが、アルセン・アヴァコフ内相によって州地域の警察署長に任命されています。

彼らは、ウクライナ軍とともにロシア兵と戦っている「英雄たち」です。そして、このアゾフ大隊の「英雄たち」は、自分たちの子どもを守るのではなく、あえて少年少女を入隊させて(こちらこちら)子供たちの体を屠所への肉とさせています。

これは武力紛争における未成年者の関与に関する国連子どもの権利条約の選択議定書(こちら)に違反しています。この議定書は、国家の軍隊でも武装集団でも、18歳未満の子どもを強制的に採用したり、あるいは直接戦闘で使ったりしてはならないと定めている特別法的文書です。

必然的に、ドラギのイタリアを含むEUが「反ファシスト」政党の支援を得て提供する殺傷力のある武器は、これらの子どもたちに対して使われることになるのです。

新世界秩序の計画におけるウクライナ戦争

ロシアの放送局に対する検閲は、明らかに公式の物語(ナラティブ)が事実によって反証されるのを防ぐことを目的としています。しかし、西側メディアがビデオゲーム「War Thunder」の画像(こちら)、映画「スター・ウォーズ」のシーン(こちら)、中国での爆発(こちら)、軍事パレードの映像(こちら)、アフガニスタンのフィルム映像(こちら)、ローマの地下鉄(こちら)、移動火葬場の画像(こちら)を、ウクライナでの戦争の最近の実際の場面として、すり替えて見せている一方で、現実は無視されています。

なぜなら、世界経済フォーラムの「グレート・リセット」と国連の「アジェンダ2030」の計画に従って、西側諸国の自由を新たに制限することを正当化する大量破壊兵器として、紛争を引き起こすことがすでに決定されているからです。

ウクライナ国民は、外交で解決できる問題を超えて、グローバル・クーデターの犠牲者であることは明白です。このクーデターは、超国家的権力によって実行されつつあるもので、国家間の平和ではなく、むしろ新世界秩序の専制政治の確立を意図しているの動きと同じものです。つい数日前、ウクライナの国会議員キラ・ルディクは、カラシニコフを持ちながら、フォックスニュースにこう語りました。「われわれはウクライナのためだけでなく、新世界秩序のためにも戦っている」。

Video

プーチンが繰り返し非難したウクライナの人権侵害とネオナチ民兵の犯罪は、政治的解決を見いだせませんでした。なぜなら、その犯罪は、欧州連合、NATO、米国のディープ・ステートの協力のもと、グローバリスト・エリートによって計画され、煽られたものだったからです。さらにその犯罪は、戦争を不可避なものにしよういう意図のある反ロシア的な色彩を持っており、その戦争の目的は、主に欧州において、エネルギー配給制の強要(こちら)、[3]渡航制限、紙幣から電子マネーへの置き換え(こちらこちら)、デジタルIDの採用(こちらこちら)を押し付けることなのです。

私たちは、理論的なプロジェクトの話をしているのではありません。これらは、個々の国だけでなく、欧州レベルでも具体的に行われようとしている決定なのです。

注[1]2011年、コロミスキーは億万長者のヴァディム・ラビノヴィッチとともに、ユダヤ人欧州議会の共同設立者の一人だった。参照:http://ejp.eu/. なお、ラビノヴィッチは、ゼレンスキーに逮捕された指導者ヴィクトル・メドヴェドクを擁するウクライナの親ロシア政党、「野党プラットフォーム・生活のために」のメンバーである。

【続く】


--このブログを聖マリアの汚れなき御心に捧げます--

アヴェ・マリア・インマクラータ!
愛する兄弟姉妹の皆様をお待ちしております
【最新情報はこちら、年間予定一覧はこちらをご覧ください。】