週初めに実家に行ってきた。
母の外来に一緒に着いて担当医の話を聞くためである。
肝臓がんの治療後、3か月毎にフォローしてくれている。
実家地方は車社会、病院に入るための車がすでに列を作り、要所要所におじさんがいて車を誘導してくれる。この朝の最低気温は-3℃くらい。おじさんたちはみんな結構な高齢である。
「大変ねえ 寒いでしょうに・・・ ワタシは最近つくづくああいう人たちを見ると 大変だな ありがたいなって思うのよ」と母がつぶやく。
「そうねえ」とワタシは狭い通路を運転する方に気を取られておざなりにあいづちをうつと
「あなたくらいの時はこんなにしみじみ感じなかったかもしれないけど なんか最近ホントに感じるのよ。年とったからかしらね」などと・・・
血液検査、CTなど、大学病院の広い、増築や新館とつながった長い廊下なども、もう二人ともおなじみになってしまった。
先端治療の外来は増築で作った所らしく廊下の突き当たりから「ここからまたつながる廊下があるの?」などと最初はおそるおそる足を踏み入れたものだが、そこももう親しい場所。
母が受けた去年は、まだそんなに知られていなかったのか深閑とした場所だったが、最近行くたびに患者が増えている。その効果のほど、副作用の少なさなどがマスコミなどによってアナウンスもされている効果であろう。
受付のはきはきした事務の女性、有能そうな看護師さんたちももう顔なじみで
「○○さん お元気そうで。お風邪などひかれませんでしたか? 」などと声をかけてもらい、母は
「本当にみんな優しくて、さっきも言ったけど わたしはこの頃、こうやって親切にされるとつくづくありがたいなって思うのよ」と言う。
また殊勝な発言である。なんかそんなにありがたいありがたいとしみじみ思うのもいいけど、なんか死期が近いみたいで気味悪いじゃないか・・・
やだな、癌が再発でもしていたら・・
ずいぶん待合室で待たされてから担当医の部屋に呼ばれる。二時間前の血液検査の結果も 一時間前のCTの画像ももうここにあるパソコンで確認できるのである。便利な時代になったものだと思う。
「○○さん、いかがですか? 何か変わったことありませんか?」と先生
「おかげさまで今年は風邪も引かずにおりますが、やはり足が弱ったのでしょうか? お買いものに行くと疲れます。」
「そうですか?」
「××デパートまで行くと息がきれて・・・」
「胸苦しいですか?咳が出たりしませんか?」
「それは大丈夫です・・・」
先生 血液検査と画像を確かめる。
「○○さん、この画像見てください。癌がほら再発した時の画像がこれですが、ここの癌がほら、今はわからないくらい小さくなってますよ」
「あら~ 先生ホントですね」
ワタシものぞいて確かめたが、最初にできて最初は塞栓術という方法で抗がん剤でたたいた後はそのまま見えるが、その後ろ側にひょうたんのように再発した禍々しいヤツが見えないくらいになっている。
「○○さんは治療を受ける間もとてもやりやすい患者さんでしたが、この結果の良好さはまた一番いいグループの一人ですよ」と先生。
確かにこの治療は一定に呼吸するように要求されて、母はそのタイミングを合わせるのが今までで一番うまい!と言われたらしい。
多分長いこと仕舞と謡で鍛えていたので腹式、胸式呼吸が自在にできるんだと思う。
そして運よくこの経過。ワタシもほっとした。
「ところで○○さんのお宅はどちらでしたか?」
「家は △△町、×の近くです」
「×から××デパートまで歩くんですか!?」
「はい・・」
「僕でも息がきれますw」
「ですよね~ 今までが元気すぎたんですよね~」と私もつい口を出してしまった。
「そうですよ。僕は○○さん診て 年齢を確認するとびっくりしちゃうんですよね。失礼ですが、とてもその年に見えない。血液検査でも悪い所ないですね。腎機能なんてそのお年で というか一般的に見てもすばらしいですね」
母 天まで上る
「ほら、見てください。これが○○さんの電子カルテなんですけど、性別と年齢を表すイラストが出るんですよね」
確かにカルテのNoの隣に こんな感じのアイコンがついている。

「あまりにも○○さんと違いすぎますよね~ 」
顔を見合わせ笑っちまった母娘。 しかし世間で言う80歳女性というとこんなイメージなのであろう。
人の事を言っている場合ではない。ワタシも世間で言う年齢から言うとはこんなイメージなんだから

話は戻って 先生は最後に
「いや 十分にお元気ですよ。ただやはり癌は癌ですからフォローはこれからもやって行きましょう。」と言われた。
三か月後はちょうど治療を受けて一年後となる。節目なのでちょっと詳しい検査を二日にわたってするらしい。
大変だけど母のためにも その後同じように治療を受ける人のための資料としても役にたつと思う。
「またよろしくお願いします」 二人して挨拶して病院を出た。
「あ~ お腹すいちゃったわよ。ワタシ朝から何にも食べてないもの」と母。確かに検査のため液体しか飲んでいないのでお昼もすぎた今空腹だと思う。
「ここのレストランで食べてく? でもおいしくなかったよね」私が言うと
「ホント見かけ倒しで気取ってるくせに不味かったのよ。もう出てお寿司でも食べてこうか? 私がご馳走するから」
二人でランチ寿司を食べる。
「あなたのそのショールいいわね。地味な色だけどホントに映えるわよ どこで買ったの?」
「ヴィヴィアンタムってとこのだよ」
「いいわね~ 自分ばっかり 今度ワタシにも買ってきてよ!」
ヴィヴィアンタムのショールを欲しがる80歳。さっきはこの先短いかと思ったけどやっぱり長生きするかも・・
母の外来に一緒に着いて担当医の話を聞くためである。
肝臓がんの治療後、3か月毎にフォローしてくれている。
実家地方は車社会、病院に入るための車がすでに列を作り、要所要所におじさんがいて車を誘導してくれる。この朝の最低気温は-3℃くらい。おじさんたちはみんな結構な高齢である。
「大変ねえ 寒いでしょうに・・・ ワタシは最近つくづくああいう人たちを見ると 大変だな ありがたいなって思うのよ」と母がつぶやく。
「そうねえ」とワタシは狭い通路を運転する方に気を取られておざなりにあいづちをうつと
「あなたくらいの時はこんなにしみじみ感じなかったかもしれないけど なんか最近ホントに感じるのよ。年とったからかしらね」などと・・・
血液検査、CTなど、大学病院の広い、増築や新館とつながった長い廊下なども、もう二人ともおなじみになってしまった。
先端治療の外来は増築で作った所らしく廊下の突き当たりから「ここからまたつながる廊下があるの?」などと最初はおそるおそる足を踏み入れたものだが、そこももう親しい場所。
母が受けた去年は、まだそんなに知られていなかったのか深閑とした場所だったが、最近行くたびに患者が増えている。その効果のほど、副作用の少なさなどがマスコミなどによってアナウンスもされている効果であろう。
受付のはきはきした事務の女性、有能そうな看護師さんたちももう顔なじみで
「○○さん お元気そうで。お風邪などひかれませんでしたか? 」などと声をかけてもらい、母は
「本当にみんな優しくて、さっきも言ったけど わたしはこの頃、こうやって親切にされるとつくづくありがたいなって思うのよ」と言う。
また殊勝な発言である。なんかそんなにありがたいありがたいとしみじみ思うのもいいけど、なんか死期が近いみたいで気味悪いじゃないか・・・
やだな、癌が再発でもしていたら・・
ずいぶん待合室で待たされてから担当医の部屋に呼ばれる。二時間前の血液検査の結果も 一時間前のCTの画像ももうここにあるパソコンで確認できるのである。便利な時代になったものだと思う。
「○○さん、いかがですか? 何か変わったことありませんか?」と先生
「おかげさまで今年は風邪も引かずにおりますが、やはり足が弱ったのでしょうか? お買いものに行くと疲れます。」
「そうですか?」
「××デパートまで行くと息がきれて・・・」
「胸苦しいですか?咳が出たりしませんか?」
「それは大丈夫です・・・」
先生 血液検査と画像を確かめる。
「○○さん、この画像見てください。癌がほら再発した時の画像がこれですが、ここの癌がほら、今はわからないくらい小さくなってますよ」
「あら~ 先生ホントですね」
ワタシものぞいて確かめたが、最初にできて最初は塞栓術という方法で抗がん剤でたたいた後はそのまま見えるが、その後ろ側にひょうたんのように再発した禍々しいヤツが見えないくらいになっている。
「○○さんは治療を受ける間もとてもやりやすい患者さんでしたが、この結果の良好さはまた一番いいグループの一人ですよ」と先生。
確かにこの治療は一定に呼吸するように要求されて、母はそのタイミングを合わせるのが今までで一番うまい!と言われたらしい。
多分長いこと仕舞と謡で鍛えていたので腹式、胸式呼吸が自在にできるんだと思う。
そして運よくこの経過。ワタシもほっとした。
「ところで○○さんのお宅はどちらでしたか?」
「家は △△町、×の近くです」
「×から××デパートまで歩くんですか!?」
「はい・・」
「僕でも息がきれますw」
「ですよね~ 今までが元気すぎたんですよね~」と私もつい口を出してしまった。
「そうですよ。僕は○○さん診て 年齢を確認するとびっくりしちゃうんですよね。失礼ですが、とてもその年に見えない。血液検査でも悪い所ないですね。腎機能なんてそのお年で というか一般的に見てもすばらしいですね」
母 天まで上る
「ほら、見てください。これが○○さんの電子カルテなんですけど、性別と年齢を表すイラストが出るんですよね」
確かにカルテのNoの隣に こんな感じのアイコンがついている。

「あまりにも○○さんと違いすぎますよね~ 」
顔を見合わせ笑っちまった母娘。 しかし世間で言う80歳女性というとこんなイメージなのであろう。
人の事を言っている場合ではない。ワタシも世間で言う年齢から言うとはこんなイメージなんだから

話は戻って 先生は最後に
「いや 十分にお元気ですよ。ただやはり癌は癌ですからフォローはこれからもやって行きましょう。」と言われた。
三か月後はちょうど治療を受けて一年後となる。節目なのでちょっと詳しい検査を二日にわたってするらしい。
大変だけど母のためにも その後同じように治療を受ける人のための資料としても役にたつと思う。
「またよろしくお願いします」 二人して挨拶して病院を出た。
「あ~ お腹すいちゃったわよ。ワタシ朝から何にも食べてないもの」と母。確かに検査のため液体しか飲んでいないのでお昼もすぎた今空腹だと思う。
「ここのレストランで食べてく? でもおいしくなかったよね」私が言うと
「ホント見かけ倒しで気取ってるくせに不味かったのよ。もう出てお寿司でも食べてこうか? 私がご馳走するから」
二人でランチ寿司を食べる。
「あなたのそのショールいいわね。地味な色だけどホントに映えるわよ どこで買ったの?」
「ヴィヴィアンタムってとこのだよ」
「いいわね~ 自分ばっかり 今度ワタシにも買ってきてよ!」
ヴィヴィアンタムのショールを欲しがる80歳。さっきはこの先短いかと思ったけどやっぱり長生きするかも・・