軽井沢から帰り、週末は、遊んできた分、家仕事に勤しみ、日曜日の夕飯が終わって、オットとくつろいでいた時のことであった。
ドラ(ムスコ)よりLINE
「チャリ盗まれた。お宅に余分のない?」
あら一大事、ドラは某私鉄沿線の駅近に住んでいるが、めんどうなので、チャリで某JRの駅まで行って、そこから都心の職場に通勤しているのである。毎日にも差し支えるではないか。
多分娘のチャリが余っているのを期待して言ってきたのだろうが、ボロボロだったのでもう廃車にしてしまっていた。
あれま、かわいそうにと仏心を出した母。
「もしかしたらさ、シルバーのやってるリサイクルチャリの売り出しがあるかもよ、毎月やってるから」
ホームページを調べたら、あら次の日の午前中に売りだし開始、こりゃあタイムリーじゃないと思って
「じゃ、見てきてあげるよ」と言ったのが失敗であった。
「頼むわ、なるべくスポーツタイプのね、ママチャリだったらいらない」とのドラの言葉に(げっ、めんどくさそー)と思ったが、言い出した手前である。
そして更にホームページの説明を読むと、販売初日は番号札配布とあった。更にめんどくさー。
そして当日、配布時間の5分前くらいに会場につけるように自転車で赴く。
ところがすでに長蛇の列ではないか…
その中の4分の1くらいが外国人である。
げっ、と思いつつもせっかく来たからと番号札ゲット
シルバーのじーさんが説明しながら配っている。
見かけ外国人にはテンフィフテーカムバックと若干得意そうに説明。
会場近くには時間をつぶせる施設もないし、仕方がないのでまたチャリを飛ばして一旦家に帰る。
テンフィフティー カムバックした会場前はこんな感じであった。↓
先ほどの番号札は チャリを選ぶ順番でなくて、この会場に入れる順番であった。この順で中に入ってリサイクルチャリまでダッシュしてその権利を確保するらしい。
ボーっと生きてるんじゃねえよとチコちゃんに言われるまでもなく ぼーっとしてたら間違いなく狙ったチャリはゲットできない。
久しぶりに「よしやってやろーじゃん」と闘士が湧いた(無駄に)
シルバーのじいちゃんの説明 気に入ったものがあったらどうしたらいいか そして並んでいるチャリの列ごとにスペックが違う スポーツ車は奥、手前はママチャリ・・・ などと
しかし、説明しているシルバーは声が通らず滑舌も悪い、しかもマスクをしたまま。しかも結構上からでぞんざい。
「何か質問ありますか」に対して
「聞こえませんでした」「もう一度始めから」それにむっとしたシルバーに「せめてマスク取れよ」「そうだ、あたりまえだ」と切れ気味にやじられ、会場少々雰囲気が悪くなる。シルバーは文句を言われる耐性が低いと見た。
しかし、場所柄であろうか、それ以上は揉めず、「説明わからない~」と途方にくれる外国人に流暢な英語で説明してあげる人が何人もいるのはさすがこの辺の住民度である。
その間、ワタシはスポーツ車の列をガン見してだいたい目星をつけておいた。
そして一番から番号が呼ばれ、ワタシの51番が・・・
ママチャリの列には目もくれず、一目散に奥のスポーツ車列に。ここは一番人気のようで特に外国人が多く、その隙間をくぐりぬいて目星をつけていた白いチャリに走る。途中気になったのもあったが、いちいち取捨選択できる余裕はない。
確保して車体に着いている購入希望の番号札を取ろうとしてたら、タッチの差で白人のお兄ちゃんが同じ自転車めがけて寄ってくる。
ワタシに向かって「これ、あなたが乗りたいのか?もし買わないならぼくが買いたいんだけど」と流暢な日本語で聞かれた。そりゃあこの年のおばちゃんが乗るにはちょいと違和感があるチャリである。
「ムスコのためにワタシが買うのよ。」と言ったら納得した様子。
「わかった。じゃ登録の所まで運んであげるよ」と自分が買えなかったのにジェントルマンであった。
それから防犯登録の手続きをその場でしたのだが、それが大変。
シルバーのじいちゃんたちは丁寧だが時間がかかる上、外国人が多いので
「名前は?」
「ほにゃららロドリゲスです」
「陳ほにゃららです」
だの国際色豊かなので余計確認が大変なのであろう。住所を聞いていると、隣の区、またその隣の区とかなり遠くから来ている模様。
買って登録した自転車はその場で乗って行かねばならないのである。みんな根性あるなあ・・・
しかし他人の心配をしている場合ではない。普段電動ママチャリしか乗っていないワタシが、いきなりスポーツ車に乗れるのであろうか?
そしてよく考えてみると、この会場に乗ってきた自分の自転車をまた取りにこなければならないってことではないか・・・
登録が終わったヒトは、その書類と自転車のナンバーの紙を持って自分の選んだ自転車のところに行って、サドルなどの調整をしてもらってその場で乗ってみたりそのまま乗って行ったりしている。それを結構登録待ちの列の人々が見ている。
(あそこでコケたらみっともないなあ)とは思ったが、ここまで来たら仕方がない。
チャリ渡しの係のじいちゃんに「サドルを思いっきり下げてくださいね」と頼み、ショルダーバッグを首から通して男乗りでまたがって漕いでみたら、案外乗れるではないか。
変速ギアもたくさんついているので懸案の坂も上がれて(普段電動なので坂を上がる脚力が退化しておる)遊歩道を走ってみたら軽快であった。
しかし、無事に家についても、まだもう一つ、今度は自分のチャリを回収しなければならない。
それも歩くと結構な距離である。そのまま歩くのもナンなので、どうせなら犬の散歩も兼ねようとGちゃんと一緒にまた遊歩道を歩いていたら、防犯登録のところで目立っていた白人の美人お姉ちゃんが、颯爽と、実に軽快に自転車に乗ってくるのに行き会った。
金髪が秋の穏やかな日差しに照らされてきらきらと輝き、赤い半袖のセーターを着たしなやかな身体、よっぽど自転車をゲットできたのが嬉しいのか実に楽しそうであった。
あちらもワタシを覚えていたのか、ちょっと会釈して通り過ぎていった。
なんだかワタシまで良い気分になった。
こうして半日を費やしてゲットしたチャリである。オットに「よく乗って帰ってこられたな」と言われた。
ムスコは一言「オカン GJ」
それだけかよ と 思いつつ 我ながらGJであった。