局の道楽日記

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生活色々を楽しんで暮らしている日々の記録です

長かったが一挙に読めた本

2021-01-15 21:25:06 | 読む
重さ1kgくらいあったのではないか?のこの本


明治・大正を駆け抜けた、アナキストで婦人解放運動家の伊藤野枝。生涯で3人の男と<結婚>、7人の子を産み、関東大震災後に憲兵隊の甘粕正彦らの手により虐殺される――。その短くも熱情にあふれた人生が、野枝自身、そして2番目の夫でダダイストの辻潤、3番目の夫でかけがえのない同志・大杉栄、野枝を『青鞜』に招き入れた平塚らいてう、四角関係の果てに大杉を刺した神近市子らの眼差しを通して、鮮やかによみがえる。著者渾身の大作。
サイトより

近代史苦手な私立理系、と言い訳しますが、甘粕事件という関東大震災のどさくさで、大杉栄とその内縁の妻の伊藤野枝が虐殺されたというのは記憶のすみにとどまっていた。
この本は、伊藤野枝氏の生涯を書いた本。

村山由佳著 
村山さんの作品はもちろん何冊か読んだことがあった。初期の頃の年下の美少年と美しい従妹との恋愛話はライトノヴェル風。
またいわゆる毒親っぽい母親との葛藤を書いた作品。
最近のねちっこいエロ描写満載の作品(出てくる男が観念的っちゅうかめんどくさそうなのばっかり)
まあ、この辺の作品はあまり趣味ではなく失礼ながら暇つぶし読書の対象だったのですが・・・

この本はすごかった。凶器になりそうな重量を持つ650頁あまりの作品。

伊藤 野枝(いとう のえ、1895年1月21日 - 1923年9月16日)は、日本の婦人解放運動家、無政府主義者、作家、翻訳家、編集者。戸籍名では伊藤ノヱ。 雑誌『青鞜』で活躍するも、のち受け継いだ編集を放棄してこれを休刊。不倫を堂々と行い、結婚制度を否定する論文を書き、戸籍上の夫である辻潤を捨てて大杉栄の妻、愛人と四角関係を演じた。世評にわがまま、奔放と言われた反面、現代的自我の精神を50年以上先取りして、人工妊娠中絶(堕胎)、売買春(廃娼)、貞操など、今日でも問題となっている課題を題材とし、多くの評論、小説や翻訳を発表した。甘粕事件で憲兵に殺害された。



激しい生き方をした女性だったようだ。時代を先取りしたフェミと言おうか、フェミだけじゃなくて原始社会主義者って言うべきか?

そして彼女のパートナー大杉栄

大杉 栄(おおすぎ さかえ、大杉榮、1885年(明治18年)1月17日 - 1923年(大正12年)9月16日)は、思想家、作家、ジャーナリスト、社会運動家。 明治・大正期における日本の代表的なアナキストである。大逆事件の後にマルクス主義者の中で優勢になったアナ系 の大立者であったために危険視され、関東大震災直後、憲兵隊司令部で殺害される。


自由恋愛論者で、居候中に堺利彦の義妹堀保子 を強引に犯して結婚する 。当時、保子は深尾韶と婚約していたが、これは破棄された。だが、栄は保子と入籍せず、神近市子に続き、伊藤野枝とも愛人関係となって、野枝は長女魔子 を身ごもった。女性達からは常に経済的援助を受けていたが、野枝(とその子供)に愛情が移ったのを嫉妬した市子によって刺された日蔭茶屋事件(日影茶屋事件)では大杉は瀕死の重傷を負った。

その後、保子と離別、市子は入獄したので、野枝と家庭を持つが、依然として入籍はせず、次女エマ 、三女エマ 、四女ルイズ 、長男ネストル をもうけた。次女エマ以外は大杉・伊藤の死後、伊藤の実家に引き取られて、戸籍を届ける時に改名されたものである。


この人、政治的な思想はともかく女性の側から見るととんでもない男ですよ。「何事にも自由であるべき」ということで結婚していながら恋愛も自由。戸籍上の奥さんと同時に神近という女性記者とつきあい、更に伊藤野枝とも同時進行し、金銭の援助を神近に要求するという男。キレた神近に殺されそうになる。




生田斗真か? ってほどのイケメンじゃないですか・・・
この外見と拘束されるたびに外国語を習得する頭脳、なんだかんだ言っても秀でた出自と学歴。吃音は激しかったらしいが、それも愛嬌に魅せる弁舌と行動力。
この上なく危険だがモテるだろうな・・・

彼と野枝を拘束して虐殺したのが甘粕正彦、彼も毀誉褒貶が激しく、最後は青酸カリを用いた服毒自殺をしたらしい。この人は身長150cmくらいしかなかったらしいのね。
栄&野枝カップル それに6歳の甥までを虐殺し、むしろに包んで古井戸に投げ込んだという背景にはモテない男の嫉妬ってのを感じるってのは卑近すぎる感想だろうか?

また、この長い長い物語は、この二人だけでなく、青鞜社の平塚らいてうや、野枝の二番目のオットの辻潤、栄のアナキスト仲間たちも描かれていて厚みを増している。
平塚らいてうは心中未遂などで世間を騒がせた後で、5歳年下の男との恋愛で、それから若い愛人が「若い燕」と言われるようになったとか・・・
智恵子抄のモデルの高村光太郎夫人や、有島武郎と美人記者との心中。
これらのエピソードも見ていると、大正時代っていうのは今より人々が激しく生きてた時代だったのではないかと思われる。

この本に刺激を受けて寂聴さんの「美は乱調にあり」はアマゾンでポチった。




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2 コメント

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Unknown (keba)
2021-01-17 11:31:08
凶器になりそうな本(笑)、移動の途中に、とか絶対読めない本ですね。大正時代って、行けたら覗いてみたい時代です。

ここの登場人物と比べるともう少し前の時代の人かもですが、高校時代に、荻野吟子を描いた花埋み(渡辺淳一)を読んで、感動した記憶が蘇りました。
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kebaさん (tsubone)
2021-01-17 20:40:13
この本、ベッドで読むと手が疲れ、寝ぼけて顔の上に落ちてきた日にはケガしそうですw
ワタシも渡辺淳一氏の本は高校時代に愛読しました。
阿寒に果つ とか 無影灯 とか 花埋み
あの頃の作品は良かったんですよね~
その後エロ路線に舵を切り、新潮にエッセイを連載始めた頃から
ワタシの中の突っ込みどころ満載作家になりました
お暇だったらワタシの「読む」カテゴリーで何冊か取り上げてありますのでお読みください。
故人の悪口は言いたくないけど、取り上げた頃はご生存されてたので~
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