癌治療とマニュアルメディシン

2006年11月07日 | Weblog
今までに何度か、癌と闘う方からの相談を受けたことがあります。


あっ、勘違いの無いように言いますが、私の役割は癌に対する直接の治療ではありません。


主な相談は『痛み』です。


「何だ、対処療法か…」と思われるかもしれません。

しかし私は、「取れる負担は取る」ことが癌治療を円滑に進めるためには非常に重要なことだと考えます。


と言うのも、

抗がん剤などによる癌の治療は、複数回つづきます。

治療は激しく体力を消耗します。

次回の治療までの間に体力が戻らないまま治療を繰り返せば

身体が治療自体に耐えられないケースも出てきてしまう。

癌に対する治療の合い間の「体力の回復」。

見落とされがちですが、癌治療の結果を大きく左右する重要な要素です。


「体力」を取り戻すには、消化器(胃腸など)の働きが活発であることが望ましい。

消化器の働きが活発に行われれば、栄養をしっかり取り込んで、組織の修復が着実に進んでゆきます。

その消化器を働かせるのが副交感神経。

また、癌細胞に対する免疫機能も、副交感神経の働きが引き金になるようです。

こういった副交感神経の働きも、ふつうの状態であれば、静養していれば自然に起こる反応です。


しかし、『痛み』が強いと交感神経が興奮してしまい、副交感神経の働きが抑えられてしまいます。

こういう状況の下では、次の癌治療に必要な「体力の回復」が遅れてしまうのです。



そうならないためにも、取り除ける『痛み』を取り、不要な交感神経の緊張を取り去ることが重要になってくるのです。

ただ漫然と回復を待つのではなく、自律神経の働きを、手技療法による介入によって

円滑にすることができれば「体力の回復」を促す効果が期待できるのです。



「積極的な休養」とでもいいましょうか、その一手段として手技療法という選択肢もあることを知ってもらいたい。




癌の闘病中には様々な『痛み』を生じる場面があります。

一般的に、手技療法(マニュアルメディシン)は、腫瘍などの内科的な原因による痛みに関しては「適応外」とされています。

私もそう思います。

(増殖した腫瘍細胞が、周囲の神経組織にまで浸潤しておこる痛みに対する根本的な治療が、手技治療に出来るとは言いがたい)

ですが、患者さんの身体をよくよく調べてみると、数ある『痛み』の相談の中に、癌による痛みのほかに、筋肉や関節に由来する痛みもかなり含まれているのです。



冒頭でお話した「取れる負担」とは、これら「筋肉や関節に由来する痛み」のことです。

こういった筋骨格系の問題に、手技療法は強い!!



僕は常々こう思い、歯がみするのです。

「医師と手技療法家がお互いの強い部分で手を握ったら、さらに多くの人生を救えるかもしれない」

と。


しかし、一人意気込んでみるものの、悲しいかな手技療法の認知度が低い。

技術者の知識・技術水準のバラつきも非常に大きい。(まさに玉石混交)

医師からすれば、危なっかしくて手を出せないというのもうなづける…


「マニュアルメディシン」、大きな可能性を秘めていると思うんだけどなぁ…

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