NUMMI
2009年7月2日(木)
トヨタとGMとの合弁会社「NUMMI(ヌーミー)」(カリフォルニア州)からGMが手を引くことになり、トヨタの対応が注目されている。
NUMMIは、日米自動車貿易摩擦が加熱していた1980年代に米国への本格的進出を目指すトヨタと日本車メーカーの生産ノウハウなどを蓄積したいGMが提携して設立された。生産能力は40万台以上。
「対応」とは、トヨタがGMの株を買取り単独で事業を継続するか、又はトヨタも撤退するかである。
トヨタは現在世界で350万台(300万台に修正します。2009.8.6)の設備過剰を抱えており、撤退したいのはやまやまだろう。しかも、この工場は数年前に黒字になったばかりで、トヨタとしてはあまり儲かる工場ではない。(カルロス・ゴーン日産なら、奇禍として直ぐに撤退するだろう。)
しかし、豊田章男新社長体制でのトヨタは、撤退しないのではないかと思う。
豊田章男新社長は、膨大な設備過剰の状況でも工場閉鎖はしないと言っており、トヨタは従業員の雇用を大切にする会社だ。平気でリストラするカルロス・ゴーン日産とは企業理念が大きく異なる。
戦後すぐトヨタは、経営が苦しい時、従業員のクビを切った。そのことの見返りに銀行から融資を受けることで生延び、今日のトヨタがある。その教訓からトヨタは、全従業員の退職金を何時でも出せるよう用意している。仮に雇用ができなくなっても最後の最後まで責任を果たそうという企業理念だ。
カリフォルニア州と言えば、全米でもっとも排気ガス規制の厳しい土地柄だ。ハイブリッド車生産が、この問題のカギを握ることになるのではなかろうか。
(一部ネットを参照した。)
(2009年8月6日、追記)
ネットの「産経ニュース」によると、次の通りである。
トヨタ自動車は10日、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)と折半出資する合弁工場の「ニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング」(NUMMI、米カリフォルニア州)について、清算する方向で検討すると表明した。
米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)適用を受けて経営再建中の米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が先月29日に、撤退を発表。トヨタは、GMの保有株を引き取り、単独で事業を継続するか、清算するか検討していた。GMの車種を生産できなくなるため、採算が合わず、清算もやむを得ないとの判断したもようだ。
NUMMIは1983年に設立で合意。日本車輸出拡大による貿易摩擦が高まる中、生産ノウハウを習得したいGMと、日米経済協力のモデルにしたいトヨタの思惑が一致した。
「清算もやむを得ないと判断したもようだ。」ということであるが、私は、そう単純に決着しないと思う。
GMの再生は、オバマ政権にとって重要な課題である。トヨタは誰であれ、支援を求められた場合嫌とは言わない企業風土から、アメリカからGM再生への支援を求められると、何らかの支援をすることになると思う。
NUMMIを活用して、ハイブリッド車をGMへOEM供給するというのは、あまりに楽観的な絵空事だろうか・・。
(2009年9月2日、追記)
8月29日付けの朝日新聞によると、トヨタ自動車と米GMとの合弁工場の生産終了が、正式に決まった。
トヨタの説明によると、「NUMMIの立地では採算が厳しく、GMが抜ければ事業は成り立たない。」ということである。
トヨタといえども、いやトヨタだからこそというべきか、資本の論理が優先された。
問題は4,700人の従業員の処遇だ。ネットでの情報によると、トヨタ自動車は労働者の希望に応じて他の工場への配属を提案している、ということだが、近くにトヨタの工場はなく、配属を希望する人はほとんどいないだろう。
ということは、後は政府が社会保障で面倒を見るということになる。
つまり、企業が資本の論理を優先すればするほど、大きな政府にならざるを得なくなるということだ。
これは、小さな政府を目指す財界・企業にとっては皮肉なことだろう。
ところで、オバマ大統領は、「小さな政府か、大きな政府かではなく、効率のよい政府であることが求められている。」という趣旨の演説を行った。これを解せば、「小さな政府か大きな政府か」という問題は決着が付いて、「効率的な大きな政府」が求められているということだろう。
なお、「生産打ち切り発表の直前まで、プリウスの製造ライン割り当ての希望があったが、かなわなかった。」とネットで報じられている。
私も、ハイブリッド車生産をするのが正解ではなかったかと思っている。
2009年7月2日(木)
トヨタとGMとの合弁会社「NUMMI(ヌーミー)」(カリフォルニア州)からGMが手を引くことになり、トヨタの対応が注目されている。
NUMMIは、日米自動車貿易摩擦が加熱していた1980年代に米国への本格的進出を目指すトヨタと日本車メーカーの生産ノウハウなどを蓄積したいGMが提携して設立された。生産能力は40万台以上。
「対応」とは、トヨタがGMの株を買取り単独で事業を継続するか、又はトヨタも撤退するかである。
トヨタは現在世界で350万台(300万台に修正します。2009.8.6)の設備過剰を抱えており、撤退したいのはやまやまだろう。しかも、この工場は数年前に黒字になったばかりで、トヨタとしてはあまり儲かる工場ではない。(カルロス・ゴーン日産なら、奇禍として直ぐに撤退するだろう。)
しかし、豊田章男新社長体制でのトヨタは、撤退しないのではないかと思う。
豊田章男新社長は、膨大な設備過剰の状況でも工場閉鎖はしないと言っており、トヨタは従業員の雇用を大切にする会社だ。平気でリストラするカルロス・ゴーン日産とは企業理念が大きく異なる。
戦後すぐトヨタは、経営が苦しい時、従業員のクビを切った。そのことの見返りに銀行から融資を受けることで生延び、今日のトヨタがある。その教訓からトヨタは、全従業員の退職金を何時でも出せるよう用意している。仮に雇用ができなくなっても最後の最後まで責任を果たそうという企業理念だ。
カリフォルニア州と言えば、全米でもっとも排気ガス規制の厳しい土地柄だ。ハイブリッド車生産が、この問題のカギを握ることになるのではなかろうか。
(一部ネットを参照した。)
(2009年8月6日、追記)
ネットの「産経ニュース」によると、次の通りである。
トヨタ自動車は10日、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)と折半出資する合弁工場の「ニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング」(NUMMI、米カリフォルニア州)について、清算する方向で検討すると表明した。
米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)適用を受けて経営再建中の米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が先月29日に、撤退を発表。トヨタは、GMの保有株を引き取り、単独で事業を継続するか、清算するか検討していた。GMの車種を生産できなくなるため、採算が合わず、清算もやむを得ないとの判断したもようだ。
NUMMIは1983年に設立で合意。日本車輸出拡大による貿易摩擦が高まる中、生産ノウハウを習得したいGMと、日米経済協力のモデルにしたいトヨタの思惑が一致した。
「清算もやむを得ないと判断したもようだ。」ということであるが、私は、そう単純に決着しないと思う。
GMの再生は、オバマ政権にとって重要な課題である。トヨタは誰であれ、支援を求められた場合嫌とは言わない企業風土から、アメリカからGM再生への支援を求められると、何らかの支援をすることになると思う。
NUMMIを活用して、ハイブリッド車をGMへOEM供給するというのは、あまりに楽観的な絵空事だろうか・・。
(2009年9月2日、追記)
8月29日付けの朝日新聞によると、トヨタ自動車と米GMとの合弁工場の生産終了が、正式に決まった。
トヨタの説明によると、「NUMMIの立地では採算が厳しく、GMが抜ければ事業は成り立たない。」ということである。
トヨタといえども、いやトヨタだからこそというべきか、資本の論理が優先された。
問題は4,700人の従業員の処遇だ。ネットでの情報によると、トヨタ自動車は労働者の希望に応じて他の工場への配属を提案している、ということだが、近くにトヨタの工場はなく、配属を希望する人はほとんどいないだろう。
ということは、後は政府が社会保障で面倒を見るということになる。
つまり、企業が資本の論理を優先すればするほど、大きな政府にならざるを得なくなるということだ。
これは、小さな政府を目指す財界・企業にとっては皮肉なことだろう。
ところで、オバマ大統領は、「小さな政府か、大きな政府かではなく、効率のよい政府であることが求められている。」という趣旨の演説を行った。これを解せば、「小さな政府か大きな政府か」という問題は決着が付いて、「効率的な大きな政府」が求められているということだろう。
なお、「生産打ち切り発表の直前まで、プリウスの製造ライン割り当ての希望があったが、かなわなかった。」とネットで報じられている。
私も、ハイブリッド車生産をするのが正解ではなかったかと思っている。