総選挙 2009
2009年9月3日(木)
今回の選挙、民主党が圧勝したと言っているが、それは選挙制度が民意を正しく反映していないためであり、民意が民主党に圧倒的多数を与えたのでは、決してない。
次は、党派別の比例区の得票率、そして獲得議席数等である。
「獲得議席数」は、選挙区及び比例区で獲得したものである。「推定議席数」は、全480議席に今回の比例区の得票率を乗じたものである。
今回 前回 増減 (獲得議席数)(推定議席数) (差)
・民主党 42.4% 31.0% 11.4 308 203 105
・自民党 26.7% 38.2% ▼11.5 119 128 ▼ 9
・公明党 11.4% 13.3% ▼ 1.9 21 55 ▼ 34
・共産党 7.0% 7.3% ▼ 0.3 9 34 ▼ 25
・社民党 4.2% 5.5% ▼ 1.3 7 20 ▼ 13
・その他 8.3% 4.7% ▼ 3.6 16 40 ▼ 24
民意がより反映されるのは、小選挙区ではなく比例区であるため、全480議席に比例区の得票率を乗じて、(民意を正確に反映すると思われる)「推定議席数」として試算した。
そうすると、民主党は203議席になる。実際の獲得議席数308との差105議席は、言って見れば「バブル」である。
自民党はほぼ同じだが、公明党、共産党、社民党の推定議席数は獲得議席数の2.6倍~3.8倍にもなる。小選挙区制度がいかに少数意見を切捨てているかというのが良く分かる。
私は、民主党の議席を「バブル」と言ったが、物理現象と同じく、バブルはいずれ弾ける。
いや、物理現象だからではなく、民意を反映していない架空の議席だからだ。小泉郵政解散で獲得した300議席もバブルで、結局は弾けた。歴史は繰返す。
民主党はこれから、いろんな政治局面で、大きく揺れ動くと思われる。連立政権協議、人事、ソマリア沖自衛隊派遣、憲法改正問題、非核3原則、沖縄の基地の問題、日米安保条約、アメリカとのFTA、等々。
決定的なのは、財源問題。そして弾ける。
2009年8月27日(木)
世論調査では、民主党の公約である、子ども手当は55%、高速道路の無料化は67%が「評価せず」と答えている。また、財源に不安を感じていると答えているのが83%もある。
今日の朝日新聞の選挙情勢分析で、民主党は300議席超と予想されているのに、この乖離は一体何なのか?(いずれ、民主党バブルと言われるようになるだろう。)
「評価せず」そして「不安」なのに、民主党を圧倒的に選択するとは。
私は、民主党よ驕るなかれ、と言いたい。
民主党は、予算の組替え、無駄遣いの排除で、15兆円浮くと主張している。主張だけならまだ良いが、それを財源として子ども手当等の政策を訴えているのだ。
仮に、予定通りの財源が出なかったとしたら、詐欺的公約とも言うべきもので、一体この党はどう責任を取るつもりなのか。「議員全員が政界を引退する」という言明がない限り、この党を信任する訳にはいかない。
公明党は、その党名でも分かるように、本質的には主義主張のない党だ。権力の甘い蜜を吸うために、自民党にスリスリしていただけだ。
権力の座に復活するため、民主党の分裂を狙い、揺さぶり攻撃に重点を置くのか?
それにしても、権力の座にない公明党は、「哀れ」に感じる。
社民党の今回の選挙の特徴は、民主党との選挙協力である。民主党の「風」に乗って、小選挙区でも数人の当選者が出そうだが、候補者が自党の党名ではなく「民主党」と絶叫しているのは、どうしてなのか。他党の名前を騙ってでも当選したいのか。党名は「社民主党」が相応しいのではないのか。
選挙公報を読むと、軍事費を削減すると書いているのは、共産党だけだ。
いまや、オバマ政権ですら、今後10年間で軍事費を140兆円削減すると言っている。
私は、無駄の最たるものが軍事費であると考えており、この軍事費を削ることに賛成である。
しかし、この党の支持は拡がらない。原理主義的な政党は日本の風土には馴染まないのだろうか。
2009年8月22日(土)
8月30日投票の総選挙の関心は、専ら、民主党が300議席を獲得するかどうかに移ってしまった。
この国の国民は、ワンフレーズで踊るのか? 2005年は、「郵政民営化」。そして今回は、「政権交代」。
いや、これまでの自公政権が、あまりに酷過ぎたということだろう。つい20年程前までは一億総中流と言っていたのが、年収200万以下が1,000万人を超えるとは!
国民が、一縷の望みを抱いて、政権交代に賭けたとしても、誰も責めることはできないだろう。
しかし、政権に付くであろう民主党も、財源問題で行き詰って終うのが目に見えている。以前、無駄を省くと20兆円の財源が浮くと言っていたのが、最近15兆円にトーンダウンした。しかし、いくら官僚が無駄遣いをしているからといって、15兆円の財源を出せるとは到底考えられない。
4年間消費税を上げないということは、4年後には上げるということだ。消費税は福祉目的税にするとかなんとか言って、国民に目くらましをかけるのは、お手のものだろう。
「福祉」のためといいながら、一番福祉を必要としている低所得者に一番「酷」な消費税をぶっかけるというのは、論理矛盾だろう。
非常に分かり易い例を考えてみよう。
食べるのにやっとの低所得者、例えば年収200万円の者は、生活するために200万円全てを消費する必要がある。消費税10%で約19万2千円。(192を逆から読むと「消費税」ニクイとなる。)
年収1億円の大金持ちは、仮に消費を1,000万円すると、消費税100万円。残りの8,900万円は投資に回し、(少なく見積もって)年率1%の配当を受けたとする。89万円。当然源泉分離課税を選択するだろうから、1割引いて、実質の手取りは80万1千円。先の消費税100万円に配当80万1千円を充当すると、実質消費税の負担は19万9千円。
年収200万円の者と、年収1億円で1,000万円消費する者の消費税の負担が同じで良いのか!
税というのは、応能負担が原則ではないのか。
また、民主党は、官僚攻撃をして、国民受けを狙っているようだが、官僚は使いこなすものであって、「敵」ではない。行政府の長は政治家だということを忘れてはいけない。これまでは、政治家が官僚のコントロールができていなかったというだけだ。官僚を「敵視」するような民主党に、官僚を使いこなすだけの器量があるのか?
(2009年8月23日、追記)
23日の朝日新聞の記事。
自民党の小泉元首相は22日、・・自民党候補の集会で、・・演説した。
「自分もワンフレーズとマスコミに言われたが、ワンフレーズは強い。今回のワンフレーズは『政権交代』と指摘した。
2009年9月3日(木)
今回の選挙、民主党が圧勝したと言っているが、それは選挙制度が民意を正しく反映していないためであり、民意が民主党に圧倒的多数を与えたのでは、決してない。
次は、党派別の比例区の得票率、そして獲得議席数等である。
「獲得議席数」は、選挙区及び比例区で獲得したものである。「推定議席数」は、全480議席に今回の比例区の得票率を乗じたものである。
今回 前回 増減 (獲得議席数)(推定議席数) (差)
・民主党 42.4% 31.0% 11.4 308 203 105
・自民党 26.7% 38.2% ▼11.5 119 128 ▼ 9
・公明党 11.4% 13.3% ▼ 1.9 21 55 ▼ 34
・共産党 7.0% 7.3% ▼ 0.3 9 34 ▼ 25
・社民党 4.2% 5.5% ▼ 1.3 7 20 ▼ 13
・その他 8.3% 4.7% ▼ 3.6 16 40 ▼ 24
民意がより反映されるのは、小選挙区ではなく比例区であるため、全480議席に比例区の得票率を乗じて、(民意を正確に反映すると思われる)「推定議席数」として試算した。
そうすると、民主党は203議席になる。実際の獲得議席数308との差105議席は、言って見れば「バブル」である。
自民党はほぼ同じだが、公明党、共産党、社民党の推定議席数は獲得議席数の2.6倍~3.8倍にもなる。小選挙区制度がいかに少数意見を切捨てているかというのが良く分かる。
私は、民主党の議席を「バブル」と言ったが、物理現象と同じく、バブルはいずれ弾ける。
いや、物理現象だからではなく、民意を反映していない架空の議席だからだ。小泉郵政解散で獲得した300議席もバブルで、結局は弾けた。歴史は繰返す。
民主党はこれから、いろんな政治局面で、大きく揺れ動くと思われる。連立政権協議、人事、ソマリア沖自衛隊派遣、憲法改正問題、非核3原則、沖縄の基地の問題、日米安保条約、アメリカとのFTA、等々。
決定的なのは、財源問題。そして弾ける。
2009年8月27日(木)
世論調査では、民主党の公約である、子ども手当は55%、高速道路の無料化は67%が「評価せず」と答えている。また、財源に不安を感じていると答えているのが83%もある。
今日の朝日新聞の選挙情勢分析で、民主党は300議席超と予想されているのに、この乖離は一体何なのか?(いずれ、民主党バブルと言われるようになるだろう。)
「評価せず」そして「不安」なのに、民主党を圧倒的に選択するとは。
私は、民主党よ驕るなかれ、と言いたい。
民主党は、予算の組替え、無駄遣いの排除で、15兆円浮くと主張している。主張だけならまだ良いが、それを財源として子ども手当等の政策を訴えているのだ。
仮に、予定通りの財源が出なかったとしたら、詐欺的公約とも言うべきもので、一体この党はどう責任を取るつもりなのか。「議員全員が政界を引退する」という言明がない限り、この党を信任する訳にはいかない。
公明党は、その党名でも分かるように、本質的には主義主張のない党だ。権力の甘い蜜を吸うために、自民党にスリスリしていただけだ。
権力の座に復活するため、民主党の分裂を狙い、揺さぶり攻撃に重点を置くのか?
それにしても、権力の座にない公明党は、「哀れ」に感じる。
社民党の今回の選挙の特徴は、民主党との選挙協力である。民主党の「風」に乗って、小選挙区でも数人の当選者が出そうだが、候補者が自党の党名ではなく「民主党」と絶叫しているのは、どうしてなのか。他党の名前を騙ってでも当選したいのか。党名は「社民主党」が相応しいのではないのか。
選挙公報を読むと、軍事費を削減すると書いているのは、共産党だけだ。
いまや、オバマ政権ですら、今後10年間で軍事費を140兆円削減すると言っている。
私は、無駄の最たるものが軍事費であると考えており、この軍事費を削ることに賛成である。
しかし、この党の支持は拡がらない。原理主義的な政党は日本の風土には馴染まないのだろうか。
2009年8月22日(土)
8月30日投票の総選挙の関心は、専ら、民主党が300議席を獲得するかどうかに移ってしまった。
この国の国民は、ワンフレーズで踊るのか? 2005年は、「郵政民営化」。そして今回は、「政権交代」。
いや、これまでの自公政権が、あまりに酷過ぎたということだろう。つい20年程前までは一億総中流と言っていたのが、年収200万以下が1,000万人を超えるとは!
国民が、一縷の望みを抱いて、政権交代に賭けたとしても、誰も責めることはできないだろう。
しかし、政権に付くであろう民主党も、財源問題で行き詰って終うのが目に見えている。以前、無駄を省くと20兆円の財源が浮くと言っていたのが、最近15兆円にトーンダウンした。しかし、いくら官僚が無駄遣いをしているからといって、15兆円の財源を出せるとは到底考えられない。
4年間消費税を上げないということは、4年後には上げるということだ。消費税は福祉目的税にするとかなんとか言って、国民に目くらましをかけるのは、お手のものだろう。
「福祉」のためといいながら、一番福祉を必要としている低所得者に一番「酷」な消費税をぶっかけるというのは、論理矛盾だろう。
非常に分かり易い例を考えてみよう。
食べるのにやっとの低所得者、例えば年収200万円の者は、生活するために200万円全てを消費する必要がある。消費税10%で約19万2千円。(192を逆から読むと「消費税」ニクイとなる。)
年収1億円の大金持ちは、仮に消費を1,000万円すると、消費税100万円。残りの8,900万円は投資に回し、(少なく見積もって)年率1%の配当を受けたとする。89万円。当然源泉分離課税を選択するだろうから、1割引いて、実質の手取りは80万1千円。先の消費税100万円に配当80万1千円を充当すると、実質消費税の負担は19万9千円。
年収200万円の者と、年収1億円で1,000万円消費する者の消費税の負担が同じで良いのか!
税というのは、応能負担が原則ではないのか。
また、民主党は、官僚攻撃をして、国民受けを狙っているようだが、官僚は使いこなすものであって、「敵」ではない。行政府の長は政治家だということを忘れてはいけない。これまでは、政治家が官僚のコントロールができていなかったというだけだ。官僚を「敵視」するような民主党に、官僚を使いこなすだけの器量があるのか?
(2009年8月23日、追記)
23日の朝日新聞の記事。
自民党の小泉元首相は22日、・・自民党候補の集会で、・・演説した。
「自分もワンフレーズとマスコミに言われたが、ワンフレーズは強い。今回のワンフレーズは『政権交代』と指摘した。