団塊世代の人生時計

 団塊世代として生きてきた「過去」、「現在」、そして「未来」を、自分自身の人生時計と共に綴り、「自分史」にしてみたい。

最新最高の技術?原子力発電

2011-06-28 18:28:46 | 社会
                  最新最高の技術?原子力発電

                                         2011年6月28日(火)

 私の先輩かつ友人で、理屈の好きな人がいます。
 私も理屈が好きな方ですので、この二人が議論し出すと、だいたいお互いに相手に反論しますから、止処がありません。結末は、大抵酔っぱらって、あいまいな儘になります。

 その先輩が好きそうな新聞記事を見つけました。


 この機械は最も新しく、最も進んだもので当店の自慢の商品。いかに素晴らしい機能をもっているかは今ご自分でも経験した通り。しかし、これはまだできたばかりで、従来の商品と比べ、どんなにすぐれているかはよくわかっているけれど、進歩した半面、どこか悪いところ、不具合になったところができたかどうかはまだ誰もよく知らないのです。ものごとは、ある点で改良されると、それに伴って今までになかった不具合が生じるというのも、ありがちです。とにかく、何かが変わったのですから、気のつかないところでマイナスになるというのも決してあり得ないことではない。いや、むしろ、ありがちなことなのです。この機械については、まだそのマイナス面はよくわかっていない。マイナスが出たらば、直せばよいわけですが、そうすると、また、どこかが変わる。ところで、あなたはロンドンから遠い東のはてに住んでいらっしゃる。不具合がみつかったとしても、その機械をこちらに送ってきて、直して(直ればの話ですが)また、そちらに送る。これはお互いにかなり手間のかかることですよ。だから、私はこれを今あんまりおすすめしません。これまでのものだって、高性能の機械ですし、その機能と構造はよくわかっている。どうしても今ほしいというのなら、私はむしろこちらをおすすめします。今すぐでなくともというのなら、少し待ってごらんなさい。お望みなら、何年かして、今よりはよくわかったとなったら、お知らせしてもよいですよ。


 これは、音楽評論家の吉田秀和氏がロンドンでLPプレーヤーを求めて店に入り、その店員が言った言葉です。そして、吉田氏は、最新最高の機械ではなくて、その一つ手前の機械を買ったということです。(2011年6月28日、朝日新聞「音楽展望」)


 私はこの記事を読んで、今回の福島の原発問題の本質をついていると思いました。原子力が電気を造る最新最高の技術と言っても、「(原子力発電に)不具合になったところができたかどうかはまだ誰もよく知らない」し、不具合(事故)が起こってもそれを終息する技術がないことが分かったからです。


 中曽根元首相は、新しい技術にチャレンジする必要があるとして、航空機と原発を同じように論じていますが、とんでもありません。
 航空機の場合は、色んな事故を想定して実験なりができ、そのデータを基に安全対策を行うことができますが、原発の場合は実験することができません。まさか原子炉を運転したままメルトダウンが起こるような実験をする訳にはいかないでしょう。
 つまり、原子力発電は、現時点において人類がコントロールする技術がないと言わざるを得ないと思うのです。
コメント
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