相続税
2013年9月29日(日)
竹中平蔵という名前の人は、日本全国に何十何百人いると思いますが、一番有名な人は、あのお方でしょう。「小泉・竹中路線」(いや「竹中・小泉路線」と言った方がより本質的かもしれません。)の竹中氏です。
余談ですが、私は、竹中氏を嫌いな人が大好きで、竹中氏と反対の意見の方に賛成するという、超単純な思考回路の人間です。
この竹中氏が、相続税増税に反対する考えとして、「やる気を失う」という趣旨のことを言っています。(9月26日、TV朝日系)
しかし、相続の一番の問題は、公平な競争の前に格差を付けるということで、多く相続をする人は良いかも知れませんが、相続がない人はそれこそ「やる気を失う」のではないでしょうか。
例えて言えば、100m走をするのに、相続の多寡に応じてハンディを付けるようなものです。これが公平でないことは勿論で、多くの人がこんな競争では「やる気を失う」でしょう。多く相続する人も本当に実力があれば、ハンディのある競争は嫌がるでしょう。
先のTV番組では、相続税を増税するか否かに焦点を当てて、各種データが示されていました。
それによると、
(現行) 5000万円+1000万円×相続人数=控除額が、(2015年1月から)3000万円+600万円×相続人数=控除額になるといいます。相続人が2人で計算すると、現行では7000万円の控除があるのに対して、2015年1月からは4200万円になるといいます。
一方、現在年約100万人が死亡しており、年100兆円の相続財産が発生しているということです。その税収ですが、現行では1.4兆円といいます。
私は、相続税を増税し、それを年金財源とする目的税とすべきと考えています。
その根拠ですが、年金制度により老後の生活保障が社会化されたということにあります。
人々が財産を残すのは、老後の生活保障として子どもに与え、それで面倒をみてもらおうという側面が大きいと思います。
しかし、今は、年金制度により老後の生活保障が社会化されました。相続財産はそのような時代変化に伴い、社会へ還元しましょう、というのが私の考えなのです。
100兆円相続財産があるということですので、税率を平均30%としても30兆円!の税収です。「平均」としたのは、税率は所得税程度に累進課税にするべきと考えているからです。消費税増税は必要なくなります。おっと、税制が変わると合法的な税金逃れが起こります。つまり、死ぬ前に消費してしまおうということです。これで仮に7掛けになるとしても、21兆円で、消費税を10%として増収になる約13.5兆円をはるかに上回ることになります。
さらには、死ぬ前に消費しますから、景気刺激策にもなります。
最も大きな効果は、格差の是正にあると思います。
持てる者から持たざる者へ、これが人類の叡智というものではないでしょうか。