配偶者控除の見直し
2014年6月19日(木)
6月18日の朝日新聞に、「配偶者控除の見直し」と題して、識者2人が賛否を論じていました。
私は、何度も読んで、ようやく、要約しました。
・日本女子大教授 大沢真知子さん
(要約)
配偶者控除は見直すべきだ。
およそ4人に1人のパート女性が100万円前後に年収を抑える「就労調整」をしている。こうした制度は、非正規労働者の賃金相場を下げる要因にもなってきた。「家計の補助だから賃金は安くていい」という働かせ方が、男性も含め広がってしまった。非正規で働く働き手は4割弱にものぼり、若い人の活躍を阻んでいる。
配偶者控除をなくす代わりに、子育て世帯への負担を減らす控除を増やしてもいい。女性や、子育て世帯に限らず、低賃金で働く若い世代のことも考えて議論していくべきだ。
・中京大教授 松田茂樹さん
(要約)
配偶者控除は安易に廃止すべきではない。
現実として、子育て世帯の経済的負担を減らすという役割を果たしている。
政府は1980年代から少子化対策に取り組んでいたのに、あまり回復していない。フルタイムで共働きする正社員夫婦の世帯を想定し・・支援を充実させてきた(が)、実際には子育て家庭の多くは、妻が専業主婦やパートの世帯で、支援策が届かないミスマッチが起きたためだ。
(配偶者控除は)女性の労働時間を抑制している面が(あるため)、見直すのであれば女性の働く時間に影響を与えないのと同時に、子育て世帯の経済的負担を増やさないという視点が欠かせない。二つを同時にかなえられるような仕組みに作り替えることが望ましい。
私は、この両者の議論には決定的に欠けている問題があると思います。それは、「同一価値労働 同一賃金」ということです。ヨーロッパでは当たり前になっているこの原則が日本の労働市場にも導入されれば、両氏が問題点として指摘していることは、基本的に解決します。
例えば、
大沢氏は、非正規労働者が賃金相場を下げる要因になっていると指摘していますが、同一賃金になれば解決されます。
松田氏は、子育て世帯の経済的負担を増やさないという視点が欠かせないと指摘していますが、子育て世帯で多いと言われている妻のパート収入が同一賃金で大幅に増えれば、解決される訳です。(多分3割程度増えるのではないでしょうか。)
冒頭、お二人のことを識者と言いました。
「識者」とは、有職に通じている人。
「有職」とは、その道にあかるい人。ものしり。学者。
以上、広辞苑。
そういえば、両者「学者」でした。