水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

この先(5)

2015年03月03日 | 学年だよりなど

 

  学年だより「この先(5)」


 「素の自分」「ありのままの姿」を大切にし続けることは、丸腰で闘いの場に出ていこうとすることを意味する。
 自分なりに戦闘力を蓄えたつつ、自分の闘える場を冷静に見つけようとしなければならない。
 自分の闘える場を探すことをポジショニングという。


 ~ ポジショニングというのは絶対的な戦闘力ではなく、相対的な戦闘力です。戦闘力でずば抜けていなくても、うまいポジションをとって、相対的に強くなれば、勝てる場合があります。そして勝ちを続けることで、戦闘力自体も磨いていくことができます。
 より戦闘力の高い武器に憧れているだけの、意識の高い(笑)状態ではダメです。戦闘力の高い武器の評論をして満足している場合ではありません。みなさんが行うべきことは、まずは参戦できる最低限の武器を謙虚に磨くこと(つまり、英語と多少の実務経験)。そして、常識にとらわれずに、勝てる見込みのあるポジションをとること。そして、そこで仕事を見つけたら、そのなかでより自分を磨いていくこと。
 できるのはこの三つだけです。王道はありません。 (大石哲之『英語もできないノースキルの文系はこれからどうすべきか』PHP新書) ~


 ただし、みんなは貴重な武器を、すでに相当身につけてきている。
 明るくあいさつできる態度、細かい事務仕事にも耐えられる力、清潔な身なり、健康な身体、素直に取り組もうとする姿勢 … 。
 今の段階でこれらが欠けている場合、大学以降に身につけていくのは実は難しい。
 みなさんの持つ人間的資源は大変な武器になる。ぶっちゃけ、大学の格差的なものを簡単にひっくり返す。これらの武器にさらに磨きをかけ、さらに会うべき人に自分から会いにいけるような学生生活を送ることができたら、鬼に金棒だ。


 ~ 逢うべき糸に 出逢えることを 人は 仕合せと呼びます (中島みゆき「糸」) ~


 みなさんが、この先たくさんの人と出会い、仕合わせな人生を過ごせるようにと祈っています。
 三年間ありがとうございました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この先(4)

2015年03月03日 | 学年だよりなど

 

 学年だより「この先(4)」

 大学生をうらやましいと思う時がある。
 社会的地位の高い人も、有名人も、とにかくどんなに偉い人でも、相手が学生だと気軽に会ってくれることだ。
 大人同士だと、それなりの人を介さないといけなかったり、正式なルートでアポをとってくださいと言われたりする人でも、大学生として手紙を書いて「お時間を作ってください」とお願いすれば、大体は会ってもらえる。
 そこに生まれるのが利害に繋がらない関係であること、学生がまだ何者でもない存在であるからだろう。
 みなさんが、学生である立場を利用し、いろんな世界の人たちと触れあい、様々な現場に生で接して、その空気感を感じる経験を積んだとする。
 すると大学で教えている先生方よりも、もしくは行動範囲の少ない大人達よりも、確かな実社会の動きを感じ取ることだって出来る。
 せっかくそういうことができる立場になれるのだから、就職活動に直接つながりそうなイベントにばかりに気を取られて過ごすのは実にもったいない。
 広く世の中を見れば、いろんな価値観にふれることができる。
 同時に様々な理不尽や不条理の存在を知ることにもなるだろう。
 それこそが正味の経験だ。
 偏差値や学歴や経済的優位性や人脈など、通念として「価値ある」と思われているものを、本当にそれは正しいのかという見方ができるようになる。
 「あいつの大学の方が少し偏差値高い」とか逆に「自分の大学が少し上だ」とかいう感覚が、いかに表層的なものかがわかってくる。
 とはいえ、もちろん今の「素のまま」でいいという話ではない。


 ~ ものごとの戦い方には二種類あります。一つは戦闘力を高める方法。もう一つは戦う場所を変える方法。
 戦闘力を高めるというのは、スキルや経験を高めるということ。これには横み重ねが必要で、将来的にはこれらのスキルや経験の積み重ねは絶対必要です。でも、若い人にとって、そのスタートラインに立つ以前に、スキルや経験を積むチャンスがなくなってしまっているというのが、日本の閉塞感を生んでいる大きな原因です。
 もう一つは、戦う場所を変えるという方法。たった十席の内定のイスをめぐって、学生が何万人も押し寄せるような市場でひたすら戦っていても、戦闘力のない人にとっては、不毛だし疲れてしまう。負け続けるにつれて精神まで病んでしまいます。 (大石哲之『英語もできないノースキルの文系はこれからどうすべきか』PHP新書) ~

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする