英雄の証
~ 壮大なストーリーの幕開けを感じさせるこの勇壮な曲は、“モンハン”の愛称でも知られる大人気ゲーム・ソフト「モンスターハンター」シリーズの第1作から使われて、テーマ音楽ともいえる「英雄の証」。「モンスターハンター」は、プレイヤー自身が主人公となり、技と知恵を駆使してモンスターを狩猟する内容で、雄大な大自然を舞台に繰り広げられる狩りの楽しみ、古代や中世を思い起こさせるような村や街や人々の様子、迫力あふれるモンスター、協力し合う狩り仲間など、多くのファンを惹きつけてやまないゲームとなっており、2013年夏には最新作の「モンスターハンター4」が登場予定です。
ゲーム音楽が単なるゲームの効果音から、ストーリーの様々な展開に密接にリンクする重要かつハイクオリティなサウンドトラックへと急速に進化する中、「モンスターハンター」は、その高い音楽性でも注目の作品。近年では、オーケストラ演奏によるコンサート‘‘狩猟音楽祭,,が全国各地で開かれるなど、その音楽への注目度も高まっています。
狩りを告げるかのような勇壮なホルンから始まる「英雄の証」は、このオーケストラ・コンサートのオリジナル・スコアをもとに編曲されており、ゲームの世界を越え、さらなるモンハン・ファンを獲得するきっかけとなりそうです。(2013年春出版スコア「曲目解説」より) ~
原曲の調のままアレンジされていますので、調号(♯や♭)が多く、転調もあって、易しい曲ではありませんが、森田先生の色彩感あふれる譜面は、吹奏楽の楽器群を的確に配置し、豊かな響きを導き出します。演奏会のオープニングにふさわしい演奏をしたいと思います。
斐伊川に流るるクシナダ姫の涙
~ 古事記上巻に記される出雲神話「ヤマタノオロチ退治神話」より、物語のヒロイン、クシナダ姫にスポットを当て曲を描いています。
ヤマタノオロチ神話とは、海の神スサノオが、クシナダ姫を守るため、八つの頭に八本の尾を持つ大蛇ヤマタノオロチを退治するお話です。
この神話は、スサノオが暴力をふるったことで高天原から追い出され、下界に降り立ったことにより始まります。その場所が出雲国の肥の河の鳥髪、現在の出雲市を流れる斐伊川の上流でした。川をしばらく歩いていると、老夫婦とその娘クシナダが泣いているのを見つけ、スサノオは声をかけます。訳を聞くと、年に一度村にやってくるヤマタノオロチに、娘七人が既に生贄にされ、最後に残ったクシナダも今から喰われてしまうと言うのです。逆らうことのできない運命に涙を流すクシナダを気の毒に思ったスサノオは、クシナダを妻にもらうことを条件に、ヤマタノオロチの退治を引き受けます。
スサノオはクシナダの姿を隠すため彼女を櫛に変えて自分の髪に挿し、老夫婦には、強い酒を造ること、八つの門を作ること、その門の内側に大きなおけを置き、その酒を注いで入れておくようにと申し付けヤマタノオロチを待ち受けます。その作戦は見事功を奏し、八つの頭を八つのおけに差し入れて飲み干したオロチはすっかり酔っぱらいスサノオに切り刻まれてしまいました。見事ヤマタノオロチ退治に成功しクシナダを妻としたスサノオは、「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣つくる その八重垣を」と喜びの詠を読んだと言われています。(樽屋雅徳「解説」より) ~
「マードックへの最後の手紙」(21回)、「マゼランの未知なる大陸への挑戦」(22回)に続き、三年連続で樽屋作品を演奏いたします。どの作品も、自然に情景が思い浮かぶような美しいメロディーと、ドラマティックな構成でつくられていますが、この曲は日本風の旋律や音楽的趣向が特に印象的です。様々な情景を思い浮かべながらお楽しみください。
ミュージカル「オペラ座の怪人」ハイライト
ミュージカル「オペラ座の怪人」は、1986年10月、ロンドンでの初公演以来、観客動員数は1億人を超え、興行収入はすべての映画・演劇を含め歴史上最高を記録しています。世界的な現象となったこのミュージカルは、音楽が非常に魅力的。重厚でありメロディアスなサウンドは物語を一層引き立たせてます。
数あるナンバーの中から、「Angel of Music/エンジェル・オブ・ミュージック」「The Music of The Night/夜の音楽」「Notes/ノーツ」「Think of Me/シンク・オブ・ミー」「The Phantom of The Opera/オペラ座の怪人」「Wishing You Were Somehow Here Again/ウィッシング・ユー・ワー・サムハウ・ヒア・アゲイン」を、メドレーでお送りいたします。
吹奏楽への編曲は、オランダの作曲家「ヨハン・デ=メイ」。細部までこだわり抜いたシンフォニックなサウンドは、原曲の魅力を余すことなく伝えています。
ミュージカルを観た人にとっては目の前にストーリーが浮かんでくるような、観たことのない方でもどこかで耳にしたことのあるメロディーばかりだと思います。昨年は、フィギュアスケートのプログラムに、羽生由弦選手はじめ何人もの選手が使用していました。演奏会第一部最後の曲を、迫力ある演奏でお楽しみください。