水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

シンフォニーからソロモン

2015年03月07日 | 演奏会・映画など

 学年の先生方で食事会にでかける。日の出桟橋からの東京ベイ・クルージングレストラン「シンフォニー」。
 夕暮れ時の東京湾を約2時間遊覧しながら、バイキング形式の料理を楽しむプランだ。
 山手線、ゆりかもめと乗り継いで乗船待合所に向かうと、はとバスが何台も駐まっている。はとバスの会社が運営している船だった。バスから降りて船に向かう団体客が多いが、幅広い年齢層でアベックも多い。
 「ご用意でできましたのでどうぞ」と言われて向かった料理のテーブルは、予想してたよりもバラエティにあふれていた。おいしい。乗船料込みで6200円だから、過大な期待は禁物と心していたが、充分な内容だ。
 カレーがおいしいといっておかわりしてる同僚がいた。バイキングでカレーを大量に摂取できるほど若くはない。かといって、食べずに終わるのもくやしいし、料理も一通りは味わいたいと思うぐらいには枯れてないさ。
 高校生の頃来たかったな。いや、高校時代だと逆に、ちまちま盛られた小洒落たオードブルの値打ちはわからなかったか。いろんなものをおいしいと思えて、元を取るくらいに食べれる年齢って実はかなり幅が狭いのかもしれない。カレーもちらし寿司もそばも食べてスイーツも山盛りにしていた30代同僚がうらやましい。
 夕方出発し、曇っていたのでサンセットは楽しめなかったが、暗くなったあとの東京湾の夜景は実に美しかった。
 さおりやユッコたちに、こっちも楽しんでもらいたかった。
 おなかがくちくなった後、デッキで風に吹かれた。岐阜から来られた女性グループに方々に「写真撮って。きれいにお願い!」と声かけられて、「まかせてください」と普通に撮ったけど、彼女たちをはずして後ろの夜景だけを撮ったら「富岳百景」みたいかなと、国語の先生的なことも思う。

 乗船を終えて、みんなで浜松町まで歩き、そこからは単独行動をとらせてもらい、ナイトショーで「ソロモンの偽証 前編」を鑑賞しにいった。
 軽いアルコールと満腹感で、やべ途中で寝るかもと心配したが、いざ映画が始まると全くの杞憂だった。
 冒頭、尾野真千子が演じる大人の藤野涼子が、教員として母校を訪れるシーンからスタートする。
 なるほど、こうきたか。原作の文庫本で書き足された、その後の「ソロモン」のシーンだ。
 その涼子の視点での回想という形をとるので、状況説明がしやすい。
 文庫なら6巻にもなる長編を前後編とはいえ、映画の尺に収めることがまずは大変だったろうから、適切な手法だ。

 そして18年前の事件の朝。
 ウサギ小屋の世話係で早く登校した涼子は、雪に埋もれて亡くなっている級友の柏木を発見する。
 警察は自殺と断定するものの、「本当は突き落とされたのだ。ボクはそれを見ていた」という投書が送られ、学校内外に波紋が広がっていく … 。

 藤野涼子役をする藤野涼子さんは、全国からの応募によるオーディションで選ばれたという。この映画の前まで素人さんだったとは思えない。ていうか相当なトレーニングを積んできたのだろう。
 今年の主演女優賞は間違いないのではないだろうか。
 他の生徒さんたちもみな上手だ。原作を読んでたときのイメージと、登場する姿とが、重なってたり全然ちがってたりするのも楽しい。神原君はイメージ通りだったけど、柏木君はけっこうちがってたな。三宅さんもよかった。
 脇を固める大人たちがまた豪華な芸達者ばかりで、だからこそ、みんなメジャーな方々なのに、中学生たちをじゃましないようにほどよいオーラの出し方をしているところがプロとしか言いようがない。
 一瞬たりともダレた部分がなく、緊張感を持たせ続けられる。今年観た作品のなかでもっとも短く感じた2時間だった。

コメント (3)
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