学年だより「私たちはどこへ向かうのか~高部大問氏の教え~」
通常の人生を想定すれば、私たちはその大半を「社会人」として過ごす。
ずっと子供でいられたら、または学生でいられたなら、楽かもしれないが、そうもいかない。
社会に出ることを「海に出る」とたとえながら、高部氏はお話を進めていく。
海への出方は、大きく分けて「船を出す」「船に乗る」の二種類あるという話を聞きながら、時代は変わったと思った。
一昔前は、「船を出す」つまり自分で起業することが、「船に乗る」就職との並立にはならなかった。ごく限られた人だけが選ぶことのできる、特別なことだったからだ。
しかし、今は状況が異なる。高部氏もおっしゃっるように、五年後、十年後の世の中に、どんな職業があり、どんな仕事があるかは、誰もわからなくなっている。
AIが人間に置き換わっていく仕事は、加速度的に増えていくだろう。
誰もがあこがれていた企業が姿を消すことも、珍しくないだろう。
そんな状況下で、何かやりたいことがあるなら、むしろ自分で会社をつくってやり始めてしまう方が手っ取り早い。
実際に、中学生が会社をつくった、女子高生社長が利益をあげているといった話題も目にする。
会社を興すには資金が必要だ。もちろん、ほんのわずかなお金で会社の登記だけはできるが、事業という形にするには、ある程度のお金は用意しなければならない。
やりたいことをやりたい、人に使われたくないと思うなら、すぐに起業すればいいと、ホリエモンこと堀江貴文氏はいつも言う。
資金がないなら、借金すればいいだけだ。お金がたまるまで待つことほど時間のムダはないと。
もしお金が借りられないとしたら、それは力が足りないのではなく、信用が足りないのだ。
~ 起業するお金がなく、銀行も貸してくれないというのなら、親や友人から借りればいいだろう。それができない人は、お金ではなく信用が足りないということなのだ。
だから、まず貯めるべきはお金ではなく、信用ということになる。人から何か頼まれたら、期待に応えるように尽くす。金欠の知り合いに、飯をおごる。
そうした行為の積み重ねが信用を築いていく(しかも、そもそも起業に関する金銭的ハードルは、今では大分下がっている!)。 堀江貴文『本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方』SB新書) ~
就職ではなく起業するという選択肢をもつべき時代になったのだ。ただし、その実現に必要なのは、経営学的な知識やら、表面的な人脈とかではなく、他人から信頼される人間性だ。
社会が「海」なら、大学は「プール」だと高部氏は述べていた。
泳ぎ方を学ぶ場所だ。本物の船の航行の仕方、させ方を学ぶ場と考えることもできる。
高校は、プールに入る準備の場と言えるだろうか。水着に着替えること、シャワーを浴びること、準備運動をすること。「おはようございます!」「お願いします!」と言えること。「当たり前のこと」を当たり前にできるようになること。これらすべてが自分の未来のための準備になっている。