ブラス☆ワンダーランド
「七味五悦三会」という言葉ある。その一年に体験した七味(七つのおいしい味)、五悦(その年感じた五つの悦び)、三会(三人との出会い)を、大晦日、除夜の鐘を聞きながら振り返って、大事にするとという言葉だそうだ。若い人ならともかく、ある程度年配になってくると、なかなか「七味五悦三会」を見いだすのは難しくなってくるのではないだろうか。だからこそ、それが見つかる年は幸せな一年だったと言えるのだろう。
2016年を振り返ってみたとき、川北氏との出会いは間違いなく「三会」の一つとして大事にしたいと思えるものだった。
四年前から始まった「吹奏楽男祭り」。昨春、その打合せの席に、2013年吹奏楽コンクール課題曲「エンターテインメントマーチ」の作曲家が来るという情報がもたらされ、どんな方が来られるのだろうと心待ちにしていたところに顔を出された。葉加瀬太郎か? いやむしろベートーベンかと思わせる風貌。落ち着いた口ぶりから音楽的造詣の深さは感じるものの、どこまでが真面目でどこから冗談に入ったのかわからない奥深さをもつ方。その方が、今年度より朝霞西高校吹奏楽部顧問を務められる川北栄樹先生だった。
その後「男祭り2016」「クリスマスジョイントコンサート」とご一緒させていただき、川北氏の作曲、編曲された作品を演奏する機会がもてたことは、自分にとっても、部員にとっても大変楽しく、そして勉強になった。
日本のエンターテイント音楽のエッセンスがすべて詰め込まれているかのようなこの「ブラス☆ワンダーラム度」は、ミュージカルのオープニング? ここは宮川彬良? 映画音楽? ドリフ? というイメージが次々とわきおこされ、ジェットコースターのように展開していく。まさに川北氏の才気があふれんばかりに発揮されたワンダーランドな楽曲といえる。3部の幕開けにふさわしく華やかに演奏したい。(顧問:水持邦雄)