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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

運がいい(2)

2020年09月20日 | 学年だよりなど
  3学年だより「運がいい(2)」


 私立龍山高校の「東大専科コース」で学ぶ早瀬菜緒さんと天野晃一郎くん。
 紆余曲折はあったものの、秋を迎えて夏休みの成果が徐々に現れ始めていた。
 そんなある日、早瀬さんが、明治と青山学院を受験すると言い出す。
 知らなかった、これから明治や青学の対策をするのかと問う天野くんに、こう答える。


~「だって、センター利用だもん、センター試験の点数で合否が決まる
 これだと出願だけで済むでしょ。わざわざ試験を受けに行かなくていいから、超便利
 調べたらセンターの文系科目で8.5割ぐらい取れば、明治と青学の商学部なら十分合格圏内
 過去問と模試の私の成績なら全然イケる。
 ……でもさぁ、東大目指して勉強しておいて、ホントによかったよね
 だって、私立文系クラスで普通に受験勉強してたら、明治や青学……絶対に合格しないもん
 一番高いところ目指して、とりあえずやってみることが、実は効果的で……
 コスパがいいってこと、わかった
 あの時、東大専科に入ってなかったらと思うとゾッとするわ、ホントにラッキー!」


 早瀬さんは、東大専科に入ったものの、東大合格だけが目標ではなかった。


~「だって東大落ちたら行くとこなくなっちゃうし、浪人はしたくないんです
 私……一年間一生懸命頑張れれば、それでいいんです
 もちろん、絶対に東大に行きたい
 最後まで気を抜かずに勉強して、必ず合格したい
 でも、合格不合格は結果だし、落ちたとしても受け入れるしかない
 何日かは悔しいだろうけど、納得すると思う
 ……丸一年間、途中で投げ出さず、最後まで勉強した、試験では全力を出し尽くした
 この経験ができれば、それで十分満足
 この自信だけで、あとは私……生きていける気がする」
(三田紀房『ドラゴン桜2』週刊モーニング№41) ~


 この先の人生で、自分を支えてくれるのは、自分の経験だ。
 もちろん勉強だけでなく、部活動でも、いろんな行事でも。
 クラスの友達との楽しかったできごとも、いざこざでも、いつかの何気ないやりとりも、気がつくと体のなかにしみこんで、自分を形作っている。
 大人になれば、たとえば仕事での大きなミスや、うまくいかなかった恋愛も、その人を形成する大切な中身になる。
 ただし、一生懸命やった、逃げなかったという条件は必要だが。
 他人からどう思われるか、見えるかは関係ない。
 未来の自分が見て「がんばったね」「かっこよかったよ」と言う道を選びたい。
コメント
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