書評、その他
Future Watch 書評、その他
マイケル・ジョーダン
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私の骨 高橋克彦
作者の本は、「写楽殺人事件」以来、歴史ミステリー、歴史小説を何冊か読んできた。怪奇小説もいくつか書いていることは知っていたが、読むのは本書が初めて。本書を読んで強く感じるのは、都会育ちの人間には何とも理解しにくい「村社会」のようなものの存在である。都会と村社会の対比と言っても良い。都会からやってきた人間が、土着信仰的なにおいのする不思議な世界と接する恐怖のようなものが、本書では設定を変えていくつも描かれている。人の気配だらけの都会に暮らす人間には、全く人の気配のないジャングルはもちろん怖いところだが、少しだけ人の気配がする場所にも別の種類の恐怖を感じるものなのだろう。夏だから読んだという訳ではないが、今年の夏一番の怖い本だった。(「私の骨」高橋克彦、角川文庫)
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