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朽ちていった命 NHK取材班

99年9月の東海村臨海事故で被曝した患者と治療にあたった医療チームの83日間を記録したドキュメンタリーである。医療チームの人々が、自分に出来ることを必死で探し、それを実践していく姿は感動的である。そして、その壮絶な人間ドラマのなかで、放射能汚染問題、エネルギー問題、医療問題、尊厳死問題、など、実に多くの問題を考えさせてくれる。全体の印象でいえば、本書は、放射能汚染の事故を取り上げたものであはるが、直接的に放射能汚染に関する記述はあまり多くない。これは、大変皮肉なことに、被害者が被爆した放射能があまりにも多すぎたために、却って「放射能汚染に対する治療」などすら施す余裕がなかったという事情による。読後に強く感じるのは、この事件がその後の医療にどのような影響を与えたのかということである。(「朽ちていった命」NHK取材班、新潮文庫)
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