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はなうた日和 山本幸久
これも先日書いた「本の雑誌」の過去の書評から見つけた本。作者の本は「美晴さんランナウェイ」(2007年10月30日紹介)に次いで2冊目だが、本書の方が断然良かった。昔の書評を読んで本を買うという新しい本選びの手法は、なかなか良いものだと思った。文章の長さ(短さ)、文章のテンポ、軽めの内容がちょうどマッチしていて読みやすいし無駄がない。最初の短編のつかみも良いし、2つ目の短編で短編集としての質の高さが感じられ、3つ目の短編でさらに本書がバラエティに富んでいることが判る。なお、各短編では東急世田谷線の各駅が1つずつ舞台になっているという趣向が施されている。世田谷線はかつて「玉電」と呼ばれていたが、終戦前に東急世田谷線になったらしい。我々の世代は、かろうじてまだ「玉電」と呼んでいる人が周辺にいたのを記憶している。こうした舞台もそうだが、本書の登場人物のメンタリティは、おしなべて随分と古風だ。それも、私には読みやすい原因の1つかもしれない。びっくりするような本ではないし、こうした分かりやすい本ばかりでは読書が味気なくなる気がするが、こうした本も時には良いと感じる。(「はなうた日和」山本幸久、集英社文庫)
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